【この歌詞がイイ!】『デイ・ドリーム・ビリーバー』より「ずっと夢を見て いまもみてる」

 日本一有名なコンビニのCM曲、と言っても過言ではない名曲「デイ・ドリーム・ビリーバー」。忌野清志郎に「似ている」ロックンローラー ZERRY(本当は忌野清志郎ご本人)率いる過激なロックバンドの、温かいナンバーです。

 この曲はもともと、「ザ・モンキーズ」というアメリカのバンドのナンバーで、寝坊助の主人公と美人の彼女とのラブソング。それを忌野がカバーしたのですが、彼はただ歌詞を和訳するのではなく、彼が三歳のときに亡くなった実母と、その後彼を育て上げた継母への感謝の歌詞に書き換えて発表しました。
この曲には「夢」という言葉が頻出します。この「夢」とは、もう記憶も残っていない実母との遠い思い出でもあり、そしてその後何十年も一緒に過ごした継母との幸せな生活のことでしょう。しかし、この曲が書かれたとき、既に二人とも他界していました。二人との生活は、もう過ぎ去った過去となっているのです。曲でも二番までは「ずっと夢を見て安心してた」や「ずっと夢を見て幸せだったな」と、過去を振り返るような歌詞が続きます。
しかし、二番のあと、この歌詞が出てきます。

ずっと夢を見て いまもみてる

「いまもみてる」。過去の出来事のはずなのに、いまでも進行しているかのよう。これは、「二人の母との生活を忘れないよ」という意味にもとれますし、「二人の母との生活は、二人の亡きあとも残り香のように自分を幸せにしている」とも読み取れます。
過去の思い出を現在にまで引っ張って来る。昔話の歌かと思いきや、今も続いている話だった。聴き手もこの突然の一文に、胸を揺さぶられます。さすがはキヨシローというところですね。

それではまた次回お会いしましょう、ぐーばい!

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