記事一覧
【短編小説】小生先生、走る!
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「では、これで添田先生のみんなの作文のコーナーを終わります。今日も添田先生、ありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとうございました。このラジオを聴いてくれてるみんなも、ありがとうございました。みんなまた、楽しい作文を書いて送ってくださいねえ。」
off…
「先生、ありがとうございました。」
「いや、ありがとうございました。では、私はもう行かなきゃ。」
「今日はどちらですか?」
【ちょっとだけ推理小説】笑ってよ、ルーカス(3/3)
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私と、ルーカスは朝、病院から帰った。
家への帰り道、ルーカスが笑ったのを、私は問いただした。
「ルーカス、全部、分かったの?」
ルーカスは、鼻を鳴らした。
彼が鼻を鳴らす時は、まだ、という合図だ。しかし、真相には迫っているとみて間違いない。
「いいわ。じゃあ、分かったら教えてね。」
ルーカスは神妙な顔をして頷いた。
午後。署に出勤すると、形ばかりの捜査本部が設置されていた。
密室の殺人
【ちょっとだけ推理小説】笑ってよ、ルーカス(2/3)
真夜中。
ルーカスが唸る声が、彼の部屋から聞こえた。
何かが起きた。
私は察知した。そして、ルーカスの部屋のドアを叩いた。
ルーカスは、すぐにドアを開けた。
そして、私の顔を見るなり、「空気が揺れてる。」と言った。
そして、彼は私を部屋に招き入れた。
ルーカスは、デスクの前に座り、PCの画面を指す。
PCには、この辺りのマップが表示されている。
ルーカスは人差し指で、5丁目の辺りに
【ちょっとだけ推理小説】笑ってよ、ルーカス(1/3)
バターーーン!
…
バターーーン!
…
バターーーン!
…
バターーーン!
…
バターーーン!
バターーーン!
木村家の朝のルーティーン。
全部、ルーカスがドアを閉める音だ。
彼は律義に、全部のドアをできる限りの力で勢いよく閉める。
キチンと閉まらないと、彼は癇癪を起す。
だから、全部のドアの力いっぱい閉めるのだ。
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私の作品を2編も紹介していただき、note運営の皆様に厚く御礼申し上げます。次ですが、久々にミステリーものを上げようと思ってます。と言っても、私のミステリーですので、そんなに謎はないのですが…明日中には前編を上げます。宜しくお願い申し上げます。
【小説】ひとつではない世界で(後)
「みんな捨てて、逃げっちまえばいいんだよ。そこから」
「逃げる?」
「そう、逃げるんだ。自分を守るために。大体、アンタ、今勤めている美容室って、どうやって入ったんだい?」
「専門学校の募集案内を見てよ。」
「それまでに、その店は知ってた?」
「知らないわ。」
「ほら見た事か。じゃあ、元々その店には縁がなかったんだよ。別に何でもよかったんだ。」
「何でもよくはないわ。だって、私の夢を叶えるために…」
【小説】ひとつではない世界で(中)
※はじめにおことわり…
本作は前後編の二編で構成する予定でしたが、後編が長くなってしまったので、前・中・後編に編成し直します。お詫びするとともにお伝えいたしますので、何卒宜しくお願い致します。では、以下から中編がスタートです。
「手が…手が痒いの。」
「シャンプーのせい?」
「そう。」
「手を見せて。」
私は、ノラの前に両手を差し出した。
私の掌と指は、皮がむけてボロボロになっている。
「可哀そ
【小説】ひとつではない世界で(前)
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夜明けの新宿副都心辺り。
どこからか、バカみたいに早くからやっている朝の情報番組のお天気コーナーで、今日何度目かの「この秋初めての本格的な冷え込み」という説明をしている声が聞こえる。
夜が明けた。
新宿のビルをオレンジ色に輝かせる。
道路では、カラスがアスファルトに降り立ち、ゴミを漁っている。
自転車で走る人、散歩をする人、走る人。朝が来たばかりなのに、もう通りには人が行き交う。
アテ書きについて、たくさんのスキをいただき、ありがとうございました。ご意見等ありましたら、教えていただけるとありがたいです。次ですが、ヒューマンストーリーなのですが、ちょっとファンタジーチックなものを上げます。また宜しければお読みください。宜しくお願い致します。
アテ書きの件ですが、「通じる その後(最終話)」のコメント欄に書いておきます。本作を読んでいただいた中で、そんな情報は要らない方がいる場合の事を考えての事です。ご了承の上、お楽しみいただける方はご参照ください。宜しくお願い致します。
マナリです。「通じるその後」をいくつかのマガジンで掲載していただいた事を感謝申しあげます。私はどのストーリーでも大体「アテ書き」しております。「通じるその後」では熊谷と三沢さん、笠松、そしてヒロ兄を俳優さんでアテております。ご希望が多いようなら呟いてみる事にします。
【4回連載小説】通じる その後(最終話)
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トイレで、何度も顔を洗った。
ようやく涙が止まった頃、僕はトイレを出た。
理美を見ると、長椅子に崩れるように横になり、僕のジャケットを肩までかぶり、ぐっすりと寝ていた。
よっぽど疲れたのだな。
それはよく分かった。
理美が横になったので、僕は隣の長椅子に腰かけた。
座ってすぐに気がついた。
腹が減った。
そう言えば、昨日夜中に帰った時に買ってきた焼きそばを食べていない。
昨日は昼も、デスクでコ
【4回連載小説】通じる その後(3)
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最初、理美が出てきたのが、分からなかった。何故なら僕は、出入り口に背を向けて、長い廊下を歩いていたからだ。
「まささん?」理美が僕を呼ぶ声で、僕は振り向いたんだ。
理美が僕を見つけた。僕は理美に駆け寄った。
「どうだい、ナオちゃんの容態は?」
「うん、点滴で入れてる薬が効いて、熱は下がってきてる。そして、熱の原因が分かったの。」
「ええ、そりゃよかった。で、原因は何だった?」
「私も全く気付い