【10回連載小説】タケルとスミカ最終話(10)
【電車で多摩川を越える】
「こんな午後早い時間に、帰る方の電車に乗るの、あんまないから、ビックリだね、空いてて。」
「でも、これ、各停だぜ。空いててもいいんじゃねえか?」
「別に、急いで帰る必要ないじゃん。」
「まあ、そうだけど。」
「もう、多摩川越えるよ。」
「意外に早えよな。多摩川まで。」
「だよねえ。多摩川越えたら、もううちらの駅だもんね。」
「座って、ゆっくり多摩川越えんの、スゲエ、久し振りな感じがする。」
「そうだねえ。いつもなら、川越える時、大体つり革もって、スマ