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ネタバレをしないギリギリ映画レビュー。 vol.1"No Time To Die"

あぃどわなくろーずまぃあーぃず!!

まったく関係ない歌から始まる、
ネタバレをしないギリギリ映画レビュー。(五七五)
特に映画に詳しくもない私がお送りする、誰も待ってない記念すべき第1回目。
皆様ご存知007シリーズ、
" 007/ No Time To Die ''です。

そもそも、従来の007シリーズは数作見ただけで、ジェームズ・ボンドに関しては『神聖モテモテ王国』のファーザーと同様の認識しかなかった。(コードネームはスパイ大作)

しかし、『カジノ・ロワイヤル』を初めて見た時の衝撃ときたら。
寡黙でタフなMI6スパイ、美しい女スパイとの恋。歴史ある街の映像美!
スピード感溢れるカーチェイス!
美しい女スパイとの恋…!(大事なことなので二度言う)
以来、珍しくシリーズ全作見ている。
そのダニエル・クレイグ演じる最後のボンド作品。(にも関わらずアマプラで見る)

まず、この映画の感想を簡潔にまとめてみる。

①言っておくけど、ダニエル自身は最後まで素敵
②日本の北方領土がいろいろ酷い目に遭う
③全米が泣いた、007シリーズ初のハリウッド映画化

『な、何を言ってるか わからねーと思うが…』
とポルナレフ調でお送りします。
本当にこんな感じです。

あらすじを少しだけ。

愛するマドレーヌとの人生を選び、引退を表明したボンド。
彼女とともに向かったイタリアで、一人、ヴェスパの墓を訪れる。
ふと墓に置かれたカードに目を留めると、そこには、スペクターの紋章が。
次の瞬間、墓に仕掛けられていた爆弾が起動!
ボンドは次々と現れるスペクターを倒しながらホテルに向かい、マドレーヌを連れて逃げる。
こちらの動きを漏らしたのは誰か?
疑念が芽生えたところに、マドレーヌの携帯電話が鳴る。
かけてきたのは、地下牢獄に収容されているはずのスペクターの首領、ブロフェルド。
マドレーヌの裏切りを仄めかし、
「彼女は、スペクターの娘…」
ブロフェルドはそう嘲笑って電話を切る。
逃げ切った駅で、ボンドはマドレーヌを列車に乗せる。無実を訴え、震えながら
「これで最後?」
と聞くマドレーヌに、頷くボンド。(ひでえ)

その5年後、ひとりジャマイカであてもなく過ごす毎日。
そんなボンドに、旧知の中であるCIAのフェリックス・ライターが仕事を依頼し…

こんな感じで始まります。
シリーズ当初からの関係者たちからも犠牲が出る中、人類を脅かす技術を巡り繰り広げられる戦い。
ボンドは人類を、愛する者を救えるのか。
といった感じ。

前半はとても面白かった。
相変わらず映像は美しいし、役者さんたちは魅力的。
今回、出番は少ないものの、共演の女スパイたちが魅力的。
初めての任務で浮き足立ってる新任CIAエージェントのアナ・デ・アルマスはとてもキュート!
何回も練習したのよ!とはしゃいだり、いきなり着替えを手伝おうとボンドのネクタイを緩めようとしたり。
大丈夫かこの新人さん、と思った直後のデキる女系の爽快なアクションとのギャップにやられる。
またね!とサラッと去っていくところが良い。

ノーミは野心的でガタイの良いタフな女スパイ。ボンド去りしのちナンバー007を継いでいて、ボンドパイセンに対抗意識満々。
演じてるラシャーナ・リンチは、両親がはジャマイカ出身というルーツもあって起用されたとのことだが、007の従前の女スパイ像を覆すかっこよさだ。

懐かしいメンバーも出てるよ!
CIAのフィリックス・ライターも、引退もアリかななんて気心知れた同期トークを繰り広げるし、Mも相変わらず嫌味で厄介な上司(でも本当は愛国心強い)だし。
マネーペニーは存在感薄いけど、ボンド引き連れてQの家に突撃するしで、キャスト的にも総集編みたいになっている。
おっと忘れないで!タナーもいるよ!
wikiで個別項目作られてないちょっと不遇な役だけど、良き同僚だよ!わたしのお気に入りのQも後半しっかり出番あり。いい奴だよ、Qは。

問題は後半かな。
007シリーズ全体のファンも、クレイグ版007が好きな人も、後半は正直見ない方がいいんじゃないかな、と思う展開でした。

いやあ、このシリーズでこれとこれをやるのか…というくらいの禁じ手の連続。

ほんとにね、後半は本当に007シリーズ初のハリウッド映画になってたわ。
全米も、いや全ファンも泣くわ色んな意味で。
よくこの脚本通したね、と思ってwikiを見たら、脚本は、
ニール・パーヴィス&ロバート・ウェイド
キャリー・ジョージ・フクナガ(今回の監督)
フィービー・ウォーラー=ブリッジ
ずっとクレイグ版007の脚本を担当してきたニール&ロバートが担当したなら…
きっと…この結末で正解なんだろう…
(自分に言い聞かせる)

ネタバレは避けますが。
ボンド視点のラストシーン、私の脳内に
あぃどわなくろーずまぃあーぃず!
ってエアロスミスが歌い始めちゃったよ。
まさにいろんな意味でハリウッド映画そのものと化しておりました。

映像は美しいし、ダニエル・クレイグは素敵だし、マドレーヌや他のメンバーもいい。
だけど、
最凶の敵のはずなのに、ルーシトファー・サフィンの扱いが雑すぎやしないかい。

毎回このシリーズは悪役がとっても魅力的だった。
・カジノ・ロワイヤルのMr.ホワイト
(悪い奴…でもマドレーヌのため命を差し出す)
・スカイフォールのラウル・シルヴァ
(Mを狙う理由がすっごく個人的でちょいキモ)
・スペクターのプロフェルド
(さりげないのに悪のカリスマ!感が滲む)

サフィンだって、演じるラミ・マレックは物憂げでミステリアスな、魅力あふれるサフィン像を作り上げている。

なのになー。
後半からもうサフィンが何をしたいのか、目的を明確だし本人の口から理想も語っているも関わらず、なんだか展開に説得力がないというか、存在感がない。
あのラストに導くためのマクガフィンの一部として使われてるだけに思える。
それじゃ悪役ではなく、ただの舞台装置じゃないか。

いや、悪役をきちんと描いてよ。
最後は、人間vs.人間ってところが大事なんでしょと思ってしまう。
マッドサイエンティストでも復讐鬼でも支配欲の権化でもマザコンでもいい、悪に走った人間としての生々しさを見せてくれ。
舞台装置になっちゃだめ。

そう考えると、ハリウッド映画なのに悪の内面を残酷なほどに克明に描いたノーラン版バットマンはすごかったなー。

そんなこんなで正直大きな不満はある。
前作で終わっておくべきだったと個人的には思う。
いろいろなレビューサイトでも評価は真っ二つに分かれているのも納得がいく。
まあ、ほとんどは007シリーズでの禁じ手をあえていくつも使っていることに対しての賛否両論なんだけども。

そんなこんなで惜しいというより気持ちの上でも評価しづらい映画でした。

・満足度★★
・映像の美しさ★★★★
・ハリウッド映画度★★★★★
・ボンドに何してくれてんの度★★★★★

もう何が何だかわからない評価になりましたが、まだ見てない人は見てほしい。
そしてこの気持ちを共有したい。そんな気持ちです。

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