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蒼穹の見聞録11


余裕の
悪鬼が
傍観する

私の

握り潰した
頭部を
掴みながら

高みの見物

悪鬼
「最後の砦だろう」
「呆気なく潰せると思ったがな」

前進する
500m級の
大型侵食者を
頭上に
見上げる

悪鬼
「手こずるなら神殺しでも使ってやるか」
「もしくは大御神にこのエノクを見せつけてやるか」

爆発

悪鬼
「あ?」

振り向く
自分の
左腕が
根こそぎ
無くなる
代わりに



私の
振り上げた
蹴りが
悪鬼の顎を
吹き飛ばす

そのまま
最大クラスの
聖釘を
真下に
ベクトル照準
展開すると

集束した
閃光を
放った

蒼穹
「エノク、そんな近距離で⁈」
「駄目駄目‥」

大爆発


群青の
赤い眼光が
直ぐ反応する

反転すると
真っ二つに
裂開し
霊波動を
放った

半分の
頭部を
失った私は
展開した
式を継続

霊波動の
衝撃を防ぐ

ゆっくり
両手をかざし


真上まで
振り上げ

足元に
振り下ろす



無数の
巨大な式が
蒼穹に
展開される



配置

縦横無尽に
現れると

暗雲が
消し去られる

交戦する
侵食者の
活動が

ピタリと
静止する

遊撃部隊
「暗雲濃度消失!」
「侵食者活動停止⁈」
部隊
「馬鹿な‥⁈」
「総員、攻撃中止!止めろ!」
遊撃部隊
「おい‼︎止めろって!」



輪廻中枢司令部
オペレーターが
騒ぐ

オペレーター
「侵食者急速反転を開始!」
オペレーター
「何だ⁈これ」
ラドゥ
「これが‥天魔の章⁈」


遥華
「ならば、エノクの所在が特定されそうな気が‥」
「フィー!」
フィー
「救護班と合流。遥華様」
「侵食者は一点方向を向いています」
遥華
「一点方向‥」
フィー
「パンはその先に‥」
ラドゥ
「良し、賭けてみよう!」




悪鬼が
笑う

大破した
身体の姿で

腕も足も
消失する

悪鬼
「やるじゃねーか」
「結合された半分以上を失った」

侵食者が
悪鬼を
捉える

悪鬼
「どうした?あ?」

氷山が
砕ける様な
裂開音

悪鬼
「全員俺を向いてやがる‥まさかエノク」
「コイツら使って俺を消すか⁈」

伸びる
霊波動攻撃が
閃光となって
真っ白に
輝く

悪鬼

「ハハハハ‥ヤベェ」
「最高だぜ‼︎」


衝撃が
走った

一帯を
火球が包む

それは
第二波
第三波と
攻撃が
到達

集中する

オペレーター
「衝撃波来ます!」



声が
聞こえる

蒼穹の
心配そうな
声掛けが

エノク
です

「負傷者だ!救護班急げ!」

エノク
「‥私‥気を失‥痛っ!」
「頭‥無い⁈」

握り潰された
鈍痛
群発頭痛

見覚えのある
黄金の
甲冑姿

フェイスガードが
格納され
素顔を見る

貴女‥

フィー
「どうだ?立てそうかエノク」


エノク
「 」
フィー
「悪鬼と交戦とは‥無茶をする」
エノク
「‥ミカエル?」


フィー
「それは部隊名だと説明した筈だ」
エノク
「?」
「頭に何か‥え?この子」


フィー
「救護班の霊獣。おまるだ」


エノク
「お、おまる?」

一瞬
乳幼児の
厠を想像した

ピリッと
救護班の
圧が
否定する

ごめんなさい

クスッと
フィーが笑う

フィー
「治療が必要だ」
「しばらく安静にしていろ」
エノク
「‥あ、はあ」

フィー
「これでもう安心だ」
エノク
「貴女が迎えに来ないから私大変だったのよ」


フィー
「恨むか?」
エノク
「いえ」
蒼穹
「どう言う事スか?」


フィー
「貴殿、私情は控えろ」
「非公式だぞ」
蒼穹
「 」
エノク
「蒼穹、良いの。やめて」
蒼穹
「エノク‥」

暴れ回っていた筈の
侵食者が
一切の活動を
静止
している




フィー
「我々最後の砦‥輪廻だ」
「酷い有様だ」
エノク
「ん」
蒼穹
「エノク、交代するっス」


エノク
「ええ‥」

抉れた地表
炎上
黒煙
残骸‥

蹂躙された
都市部の
惨状を
俯瞰に
収め

私達は
輪廻中枢司令本部に
向け進路を
取った

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