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Sacred Nail of Exeveria8

日の入りと共に
街灯が灯る

昼下がりの
賑わいが変わると
店の雰囲気も
静かに変わる

へべれけになるまで
飲み明かす者も
路頭に嘔吐する者も
日常茶飯だろう

その程度の失態など
人生観では
可愛いもの

ここからは
こちらの時間だ

僕はクナイ

今頃
サキを含む三人は
夕飯の時でも
迎えている筈だ

手頃な店を選ぶ

カウンターでは無く
目立たない
角の席を陣取り
静かに飲む

大した情報が
無ければ
店を転々と
すれば良い

ニールから
伝言があり
戻って来た筈の
サキが何やら
コクピットに篭り
弄り回していると言う

仲間達で
揉め事は勘弁だ
何を企んでいるかは
知らないが
そっとして
差し上げろと
伝える

ため息を一つ付くと
立ち上がり
精算して
次の店を当たる

此処では
有力な情報は
入らなそうだ

もっと裏通りを
攻める必要が
ありうる

街の雰囲気も
ネオンが少ない
彩りへと変わる

ここなら
情報収集も可能
だろう
店に入る必要は

どうやら無さそうだ

「此処は初めてかい」
クナイ
「嗚呼、僕かな?」

男は溜め息
混じりで答える

「見ない顔だ」
「エルフか」
クナイ
「何か用かな」

男は失笑する
振り返る僕は
目を見開く

クナイ
「‥ユング⁈」

「ユングを、知ってる
顔ぶりか?」
「用があるのは
そっちの様だな」


しまった

この男
ユングを知っている

隊長譲りか
男は一気に
前に躍り出た

掌底打ちを
胸部に食らう
格闘慣れしてる⁈

クナイ
「‥っか⁈」

僕は
突き飛ばされ
倒れ込んだ

男は颯爽と
拳銃を取り出す
‥仕方ない
僕は詠唱する

クナイ
「デュールグラス!」

「おっ⁈」
「‥やるね!」

男の握る拳銃ごと
凍りつかせ
この距離‥
離脱する!

ポータルを発生
飛び込んだ僕は
迅速に消す

「ははっ逃がさんよ!
‥チッ、やるねぇ」

男はポータルの
ログを辿るが
消された事で
追跡は断念した


ふう‥
危なかった

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