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蒼穹の見聞録2

エノクです

少し
落ち着きを
取り戻す

流れる
涙を拭う

先生
「即席とは言え、新しい体に慣れて貰わねばな」
「外に出よう」

新しい体

私の魂の
半分を
担う

彼女

先生
「対極であり一体である」
エノク
「 」

対極

魂の半分
とは言え
私にとっては
他人

蒼穹は
私を
凝視する

先生が
固有結界の
扉を開く

窓一つ無い
先生の
ラボから
歩き出す

眩しい

扉から
吹く風

回廊を歩く
振り向くと
三脚の神殿が
建つ

エノク
「先生‥此処は⁈」
先生
「輪廻。我々最後の砦」


エノク
「最後の⁈」
先生
「そうだ」

輪廻の
全景が見える

六つの花弁が開く
広大な世界を
俯瞰に収める

先生の
ラボは
最上部の
外周を回る
浮島に
位置していた

ゆっくり
回るのが
理解できる

雲に
隠れながらも

この世界で

私‥蒼穹と
生きるのかしら

先生
「不満か?」
エノク
「はい」
先生
「素直だな」

先生が微笑む
私は苦笑いする

先生
「だが、運命を受け入れ前に進めよ」
「人も神も、そこは変わらぬ」
エノク
「先生、本当にお身体大丈夫なんですか?」
先生
「もはや前線には出まい」
「翼ならば代わりがある」


エノク
「良かったです」

此処で
先生が
蒼穹と
交代するよう
答える

エノク
「えっと、式の展開から」
先生
「そうだ。想像は創造され、展開される」
エノク
「はい」

私の
足元から
黄金の
式が輝く



螺旋を描き
頭上まで
上昇すると
蒼穹の姿へと
変わる



蒼穹
「‥はい?」
エノク
「はいっ、て」
「仮面被ったまま?」
先生
「それは戦闘用のフェイスガードだ」
蒼穹
「仕舞い方わかんないっス」
エノク
「ええ?」


私が
消えろとか
格納とか
説明するも
蒼穹はケラケラ
笑いながら
私と談笑
したがっている

こんなで
大丈夫
なのかしら?


蒼穹
「先生、背中のこれ何スか?」
先生
「推進ユニット」
「飛ぶには早かろう」
蒼穹
「こうっスか?」

全開出力で
急上昇した

蒼穹は
私を巻き込み
先生のラボが
どんどん
小さくなっていく

エノク

「蒼穹⁈何⁈」

「先生!」



先生
「蒼穹⁈戻らんか!」
「いかん。このままには出来ん」

先生は
緊急回線を使い
連絡する



蒼穹は
輪廻の
直上まで
上昇すると

私を
まじまじと
見つめる

エノク
「蒼穹!戻って!」


蒼穹
「エノク、何故恐れてるんスか?」
「蒼穹に?それとも他?」


エノク
「 」

初対面で
私から
尋問する

やめて

私の
深層意識に
土足で
入って
来ないで

混乱する
私の
喉元から
逆流する

そのまま
吐いた


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