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ragula genesis5

高所恐怖症

ロニです

散々
喚き
散らした
恐怖の
絶叫も

涙も

鼻水も

この
シミュレータは
充分
吹き飛ばして
くれた

ヘッドマウントを
起動させ

視界が
円錐形の
巨大な
空洞施設から

一変する

上空

蒼穹からの
ダイブを
擬似体験した

その筈

ロニ
「 」
「す、凄い!」

もがいた
不安定な
姿勢を
変える

うつ伏せに
大の字になる


レイネ
「慣れたかな?」
モニカ
「充分でしょ」
「明らかに姿勢制御してるわ」

もう
恐怖も
感じない

このまま
ダイブを
続けたら

そう
思い始めた
矢先


風力が
低下し始め

高度が
下がり始めた
気がした

ロニ
「何?急に⁈」

ヘッドマウントを
解除すると
シェルターの
床が
閉じるのが
見えた

重力制御で
ゆっくり
降下した

着地

気が
抜けた
瞬間

腰も抜けた

レイネと
モニカが
制御室から
駆け寄る

モニカ
「ロニ!お疲れ様!」
ロニ
「えっ⁈終わり?」
「ちょっ⁈」


モニカが
抱きしめる


レイネ
「姿勢制御まで始める
くらいに成長したなら
もう大丈夫だねぇ」
ロニ
「 」
「もうぐしゃぐしゃ
なんですが私」


モニカ
「ロニはやっぱり強い子よ!」
「私が睨んだ通りだわ!」
ロニ
「そう?腰抜けたし」
「睨まれると困る」
レイネ
「あははは」

最初は
怖かった

けど

勇気なんて
私には
無いと
思っていた


案外

土壇場で
勇気出せた


まだ
手の震えも

抜けた腰も

鼻水も
出たまま

人生最大の
スリルを
味わった
瞬間だった


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