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蒼穹の見聞録8

悪鬼が
目の前にいる

蒼穹に
振り切って
もらうしか

いや

振り切れない

悪鬼の
瞬間移動

俊敏な
動きで
背後を
取られてしまう

悪鬼
「俺から距離を取ろうと思うな」
エノク
「 」

悪鬼の
手の内

何処かに
転移され

連れて
行かれる


‥エノクです

此処は
一体

エノク
「何処?」
悪鬼
「俺が救済する為に集めた」
「固有結界」
エノク
「卵を救う為‥?」
悪鬼
「お前には卵に見えるのか?」
エノク
「 」

サッパリだ

訳が
分からない

悪鬼
「鈍いな。気付きは早えが」


エノク
「 」

卵は
果てまで
並ぶ

よく見ると
それぞれ
ぐらつく様に
揺れる

殻から
何かぶつぶつ
喋る様に
聞こえる

閃光が
光る

エノク
「打ち上がってる‥?」

その列の
隙間が空き

卵は失われた

エノク
「卵が消えた?」


悪鬼
「流れを止めた」
エノク
「流れ‥?」
悪鬼
「エノク。俺達人類が殻を破ったのはいつだった?」
エノク
「 」

これは

この卵は
まさか

エノク
「全部‥人?」
蒼穹
「 」


悪鬼
「奴ら眠ってやがるのさ」
「集団アルゴリズムよ」

再び
卵が
打ち上がる

エノク
「流れを止めたって‥まさか!」
悪鬼
「どんな事があっても流れは止めちゃならねえのよ」
「自殺は絶対駄目だとママから教わらなかったのか?」

エノク
「だったら、救済する為なら止めなきゃ!」
悪鬼
「やってみろ」
エノク
「え?」
悪鬼
「止めてみろよ」

年間
どれだけの
人間がこんな
選択してると
思ってるの⁈

エノク
「みんな聞いて!」
「目を覚まして!」

眠ったまま
実体を下げ

永遠に繰り返し
枯らして行く

光の
速さで
流れる
二乗から
弾き出され

奈落を
落ち続ける
人類の
救いのない
真実‥

何?

殻から
何か私に
伝えている

「うるさい」
「黙れ」
「何言ってんだコイツ」

エノク
「 」

次々に
返ってくる

批判抽象
同調圧力
呪詛の塊

蒼穹
「エノク!危険っス!離れて!」

蒼穹が
腕から
ブレードを
展開させ
卵に
斬りかかる

悪鬼に
掴み上げられ
止められる


悪鬼
「救済処置の農場だ」
「手ェ出すんじゃねぇ」
エノク
「 」

悪鬼に
ぶん投げられる

ユニットを
展開した
蒼穹が
立て直す

悪鬼と対峙し
睨みつけ
剣を構える
蒼穹

エノク
「悪鬼、アレは何?」
悪鬼
「まだ分からないか?」
エノク
「違うわ。群青の怪物達よ」


悪鬼
「あれか?勝手に現れ、そのうち消える」
「殲滅するまでな」
エノク
「そんな‥!貴方が呼んだんじゃないの⁈」
悪鬼
「全ての知識情報を与え眠らせる奴らだ」
「その救済処置って訳だ」


エノク
「‥どうやって救済する気なの」
悪鬼
「取引だ」
エノク
「同意を得て‥?この人達が⁈」
悪鬼
「取引を理解してねぇな、お前」
「俺が救済する為に集めた。連中の同意もクソもあるか」
エノク
「 」
悪鬼
「魂に輝きがあるうちは喰えねえ」
「最終的に枯らしてからが収穫時よ」

最悪

悪鬼は
笑い狂う

これが
全部の
人類で
ないにしても

悪鬼
「救いのねぇ精神世界だろ?」
「絶望したか?エノク」

止めの
悪鬼の
セリフ

悪鬼
「この集団アルゴリズムを完成させたのは他でもねぇ。コイツらよ」

悪鬼は
再び
笑い狂った

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