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14. 中上級レベルのクラス例:Nの場合_13.の教材の利用一例

Nは日本人です。
ですが、両親は国際カップルで、本人は海外育ち。
Nにとっての第1言語は育った国の言語で、日本語はその次点。
日本にオフィスがある外資系企業で職を得て営業部門に配属されました。

Nの場合、待遇表現や敬語に少々難があるものの、口頭での日本語のやりとりには殆ど問題がありません。そのため日常生活には困ることはないのですが、使える語彙に限りがあり、漢字は殆ど知らない状態でした。

Nの学習到達目標は以下の5つでした。
①漢字ができる限り読めるようになること⇒つまり、語彙を増やすこと。
②医薬品関係を主とした新聞記事が読めるようになること。
③日本語でビジネスメールが書けるようになること。
④日本語でのビジネス電話のやりとりができるようになること。
⑤日本語能力試験(JLPT)2級に合格すること。

勤務先が全て費用を負担してくれたものの、目標達成のために与えられた学習期間は108時間。1コマ90分のレッスンを週2回行う形で学習が始まりました。

学習期間前半は初級漢字500字、基本的な電話応対、定型的なビジネスメール文のの習得を目標としてレッスンを実施しました。
500字の漢字とそれを使った漢字語彙が読めるようになってきたところで、この記事の1つ前の記事「13.」をレッスンに導入することにしました。

以下は、「13.」に書かれている教材の使い方の1例です。

  1. 何も見ないで、記事を読み上げた音声ファイルを聞かせる。

  2. 音声の内容について、理解した範囲の内容を話させる。

  3. フリガナも英訳も無い記事原稿の音読に挑戦させる。

  4. フリガナ次の原稿の記事原稿の音読をさせ、その内容について、理解した範囲の内容を話させる。1度目の音読後と比べ、理解がどのくらい深まったかを確認。

  5. フリガナも英訳付きの記事原稿の音読をさせる。1文ずつ音読するごとに、内容の完全理解のため、クライエントの語彙・表現・文法・背景知識等の質問が無いか確認、質問にはすべて答える。

  6. フリガナも英訳も無い記事原稿の音読に挑戦させる。

  7. この時点で6は大抵できる。しかし、一時的なワーキングメモリを使っているだけで、長期記憶には至っていないはずなので音読を宿題にする。

  8. 次回クラスでフリガナも英訳も無い記事原稿を読ませ、漢字の読み、意味内容の理解、音読と意味理解の速度の一致を確認して終了。



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