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19.「Vーている」について考えてみた。

お久しぶりです。
ずいぶんご無沙汰してしまいました。
何もかも確定申告が悪いのです。
計算が極端に苦手な私に、あんな訳のわからないことをさせてはいけない。
前年の領収書の整理整頓だけで年末からずいぶん時間がかかってしまいました。

それはさておき。

今日は日本語の文法「Vーている」について考えてみます。
日本語教育の勉強をしているとよく聞く、「動詞の分類には4つあって、継続動詞・瞬間動詞・状態動詞・第4の動詞があるんだよ~」とかってやつですね。
金田一春彦先生の分類です。

でもあれ、「瞬間動詞」と「第4の動詞」、「継続動詞」と「瞬間動詞」の区別がつきにくいことがあるという難点もあるんですよね。
私自身としては、うーん、なんかどっか違うんだよな~と思っていたのですが、思ったっきりそのまま放っていました。

ところが昨日、クライエントから「Vーている」についての説明を求められました。
クライエントに「瞬間動詞」だなんだと専門用語を話したところで、そんなの意味ないですからね。どう説明したものか、考え直してみました。その結果が以下です。
ちなみにこれは私なりの考えで、「学術的な根拠なんぞは知ったこっちゃないわよ」というものですのでご注意ください。

え~動詞には、
1.『「Vーている」の形にならない動詞』と
2.『「Vーている」の形になる動詞』があります。
そして、2.『「Vーている」の形になる動詞』には、3タイプー①②③あります。

まず、1.は、「ある」とか「いる」とか、「値する」などなど、辞書形(/ます形)のままで、あるものの状態を表すことが出来る動詞のことです。

つぎに、2.の3種についてです。

まず1つ目は、
①「Vーている」が、「動作の進行中」のみをあらわす動詞です。

例えば、
ex.1 ご飯を食べる⇒ご飯を食べている⇒ご飯を食べた。
ex.2 桜が散る⇒桜が散っている⇒桜が散った。

この動詞の「V-ている」は、「辞書形(/ます形)」から「た形(/ました形)」の状態に至るまでに一定の時間がかかります。

2つ目は、
②「Vーている」が「動作の進行中」と「動作が完了した結果」の2つを表せる動詞です。

ただし、②の動詞の「動作の進行中」は、①の「Vーている」のように「辞書形 (/ます形) 」から「た形 (/ました形) 」の状態に至るまでに一定の時間がかかるものではなく、実際にはほぼ一瞬で終わってしまいます。

例えば、下の例文で(スローモーション)と書いてあるものが「動作の進行中」を表す「V-ている」です。
この種の動詞が「動作の進行中」を表そうとすると、その動作をビデオにでもとってスローモーション再生とかでもしないといけないですね。でもスローモーションの状態なら「V-ている」で言い表すことが出来ます。

ex.3 椅子に座る⇒椅子に座っている(スローモーション)⇒椅子に座った⇒椅子に座っている
ex.4 めがねをかける⇒めがねをかけている(スローモーション)⇒めがねをかけた⇒めがねをかけている

で、上の例文で(スローモーション)と書いていない「V-ている」は、「動作が完了した結果」を表します

最後の3つ目は、
③ 常態では「V-ている」の形ばかりを使う動詞です。

そもそも、日本語の動詞の辞書形(/ます形)は、近い将来を表すことが多いです。例えば「食べる/食べます」と言ったとき、それは話者が食べる前の状態を表しています。「これから食べる」んです。
その例外に当たるのは、1.の動詞ですね。

ところが、「ありふれる」とか「似る」とかいう動詞は、『「ている」の形にならない動詞』のように、辞書形で目の前の状態を表せる動詞ではありません。このタイプの動詞は、辞書形(/ます形)の形で使うと、近い将来を表す意味を持ってしまうようになって、どうも収まりが悪い。

結果、②の「動作が完了した結果」を表すために「Vている」の形にするのが③の動詞の常態となります。

ただこの動詞、名詞修飾の場合は「た形」が使われることも多いです。
例えば「ありふれた食べ物」とか、「似たもの夫婦」とかね。

さてこの説明、クライエントには「なるほど」と納得いただけましたが、皆さんはどうお感じでしょうか。

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