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テツガクの小部屋8 エムペドクレス

エムペドクレスは、火・水・空気・土の四元素を万物のアルケーとした(多元論)。世界はこれら四元素が愛によって結合されたり、憎しみによって分離されたりするところに成立するとした。

エムペドクレスは合理的精神に満ち、科学的探究心の旺盛な人であった。彼はまた医者でもあり、医術のイタリア派の創始者とされ、その水準はきわめて高かったといわれている。解剖も行い、胎児の形成のされ方なども詳しく観察した模様である。彼はまた「等しいものは等しいものによって認識される」という知覚論を展開した。

また、断片から彼が魂の輪廻説を信奉する熱狂的なオルフィック教的宗教家であったことがうかがえる。

参考文献『西洋哲学史―理性の運命と可能性―』岡崎文明ほか 昭和堂

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以下は私のコメント(不定期)↓

今回は四元素と愛と憎しみの関係についてはだいぶ省略した。私個人の興味の程度によって文章量も左右されるがおゆるしいただきたい。
「等しいものは等しいものによって認識される」という命題の持つ力は大きい。これとほぼ正反対の知覚論を唱えているのが、次に登場するアナクサゴラスである。どちらも正当な主張のように思えてしまう。次回の知覚論と比較してみてほしい。


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