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テツガクの小部屋

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西洋哲学史の概略を、私見を交えずに、淡々と追うシリーズ。引用に用いる文献のサブタイトルはー理性の運命と可能性ー。哲学は時にとんでもないコトを大真面目に考えたりします。あなたもテツ… もっと読む
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記事一覧

テツガクの小部屋17 プラトン①

・イデア論前半 既述のように、善・正義・勇気・美の定義は、その本性上、善それ自体、正義そ…

まどろみ天使
2週間前
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テツガクの小部屋16 小ソクラテス学派②

アリスティッポスはソクラテスの「よく生きよ」を「快く生きよ」という意味に解し、そこからこ…

まどろみ天使
1か月前
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テツガクの小部屋15 小ソクラテス学派①

小ソクラテス学派には、アンティステネスとキュニコス派、アリスティッポスとキュレネ派、エウ…

まどろみ天使
1か月前
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テツガクの小部屋14 ソクラテス③

ソクラテスの方法は対話(ディアロゴス)である。これはロゴスが二つに割れることを意味する。…

まどろみ天使
2か月前
89

テツガクの小部屋13 ソクラテス②

・死の準備 前回より続く~「無知の知」の自覚をもってソクラテスは自らの教育的使命を自覚し…

まどろみ天使
3か月前
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テツガクの小部屋12 ソクラテス①

・無知の知 ソクラテスは研究上きわめて困難な対象である。というのは彼は自己の思想を表現す…

まどろみ天使
4か月前
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テツガクの小部屋11 ソフィスト

ソフィストとは教養および徳の教師と称し、裕福な市民層から高額の報酬を取って一般的教養や雄弁術などを教えて回った一群の職業的教師たちのことをいう。 ソフィストたちの最も重要な教育科目は雄弁術(レトリケー)であった。レトリケー・テクネー(テクニック)とはことばのためのことばの技術であって、そのことばが真実性を有するか否かということには関知しない。ただそのようにみえれば、その目的は達せられている。それゆえソクラテスやプラトンは、ソフィストたちの教えた雄弁術を詭弁術として非難した。

テツガクの小部屋10 原子論

原子論者としては、レウキッポスとデモクリトスの二人が分類される。 原子論はそれ以上分割し…

まどろみ天使
5か月前
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テツガクの小部屋9 アナクサゴラス

アナクサゴラスの哲学は、多元論的な考え方を導入することによって、エレア派の一者の思想とヘ…

まどろみ天使
6か月前
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テツガクの小部屋8 エムペドクレス

エムペドクレスは、火・水・空気・土の四元素を万物のアルケーとした(多元論)。世界はこれら…

まどろみ天使
7か月前
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テツガクの小部屋7 ゼノン②

ゼノンのパラドックスその他(多の否定・場所の否定)は 「テツガクの小部屋6」を参照くださ…

まどろみ天使
7か月前
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テツガクの小部屋6 ゼノン①

ゼノンの議論は「もし多が存在するならば」と仮定し、そこから様々な不合理な帰結を取りだすと…

まどろみ天使
8か月前
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テツガクの小部屋5 パルメニデス

パルメニデスの思想は簡単である。「ある、そしてないはない」というものである。この簡潔な命…

まどろみ天使
8か月前
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テツガクの小部屋4 エレア派

エレア派にはクセノパネス、パルメニデス、ゼノンの三者が属する。この学派の思想は、現象においてみられる生成、消滅、運動、空虚、数多性をすべて仮象として否定し、世界にはただ一者しか存在しないとした一元論であり、しかもその一者を不変不動とした絶対的な静止哲学である。 クセノパネスの思想のポイントは、ギリシア宗教の神人同形同性説に対する批判にある。ギリシア宗教における神はきわめて人間的であって、ホメロスやヘシオドスによって描かれた神々は、人間が可死であるのに対し神々は不死である点を