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【海外生活】私にとって努力とは息をするのと同じこと。1%の才能と99%の努力が作り上げたデザインと人間力【カナダ】

第22回目は、クリエイティブデザイナーでありバンクーバーを拠点とするMellow Plus Creative Inc.の代表でもある田中順子さんにお話を伺いました。Mellow Plus Creative Inc.はデザインを通じて企業のブランディング、各種デザインからマーケティングまでトータルプロデュースを手がけており、洗練されたキャッチーなデザインとクライアントの魅力を100%以上引き出す手腕から絶大な信頼を寄せられています。創業当時から変わらないクライアントに対する大きな愛情と作品への強いこだわりはどのように生まれたのか、デザイナーである田中さんの生き方や想いを少しおすそ分けしてもらった記事がこちらです。

さまざまなバックグラウンドやキャリアを持つ人々が集まる町、カナダ・バンクーバー。そこで活躍する日本人の方々とこれまでのステップや将来への展望を語り合う「カナダ・バンクーバーの今を生きる日本人」。それではどうぞ!

プロフィール
2005年にワーキングホリデーで渡加し、9年間のフリーランス経験を経て2018年にワクワクを具現化するブランディングデザイン会社Mellow Plus Creative Inc.を設立。
日本とカナダの両国で培った広告デザインの知識と経験を元に、商品や店舗、ブランドなどのCI(コーポレートアイデンティティー)やイメージの確立、マーケティングなどを行っています。
愛犬ジェフとワインと運動が大好き!


今は肩の力を抜いて人生を楽しめている瞬間


──2005年にワーキングホリデーでいらっしゃった事がバンクーバーでのキャリアのきっかけだったそうですね。

そうですね。

──日本でもデザイナーの仕事をされていたんですか?

いいえ、日本で大学を卒業したのが2005年なので卒業してすぐ2ヶ月後にこっちに来たんですよ。学生の時にデザイン系の学科にいたのでアルバイト感覚で先生のお手伝いをして、本当に微々たる金額ですが報酬もいただいていました。そんな時、例えばポスターでも英語がデザインに入っていると何故かかっこよく見えたりしませんでしたか?

──確かにありました

自分がデザインする時も、それがかっこいいとは思いつつも意味がわかってないのに英語を使っていることにすごく違和感があったのと、その当時たまたま姉もオーストラリアに留学していたので、英語を使ってデザインを発信するのであればきちんと話せるようになりたいなと思ってワーホリを決意しました。私はスノーボードがすごく好きだったので、スノボもできるし良いかもという単純な理由でカナダに来ました。

──バンクーバーへの移住を検討されたきっかけは何でしたか?

ワーホリが終わって日本に帰ったんですよ。それで1年間は企業で仕事をしていたんですけど全然日本の生活が合わないっていうのと、英語も中途半端だなとワーホリが終わった時に思っていたんですね。そこでもう一回カナダに戻った後、ビザや私生活の環境にも変化があった中で少しずつ長く残りたいなと意識するようになっていきました。最初は17年もバンクーバーに居るなんて考えてなかったです。だからその時々で気が赴くまま自然な流れに身を任せていた感じはありますね。

──振り返ってみると、過去の点と点が線になって今日まできたという感じなんですね。

私は「これがやりたい」みたいなゴールを設定しがちな性格で、フリーランスもやりたい、デザイナーとして仕事をしたいというのもゴールの1つだったんです。1度ゴールを設定すると達成するまでは満足しないので、そこしか考えないんですよね。1つを叶えたら次は起業したい、結婚がゴールではなかったですが彼と一緒にいるために結婚というプロセスがあったり、若い時は自分の中に明確なマイルストーンがありました。だから点と点が繋がって線になったというのは本当にそうだなと思います。

写真提供@田中さん

──若い時は、ということは今は少しスタンスが変わりましたか?

そうですね。カナダでいろんな経験と実績を積み上げてきて、私生活での変化もあり、とにかく人生をがむしゃらに走り抜くフェーズを抜けた感覚です。ですから逆に今は「さあ次はどこに行くかな?」みたいにふっと肩の力を抜いて人生を楽しめている瞬間ではあるかもしれないです。

──今の自分に舞い込んで来るものを受け入れてらっしゃるということですが、例えば、人と会う時には一期一会を信条にされていたり、長いお付き合いをするという前提でコミュニケーションされていたりしますか?

お仕事も含めて人と接することが多いので、お客様や業者さんとも基本的には長いお付き合いをしたいとは思っています。もちろん毎回そうなるとも限らないのでうまくいかない時は仕方がないですが、基本的にはすごく人が好きです。だからお会いして相手の方とも仲良くなって深くお付き合いすることが多く、シャイな性格ではないので相手から覚えていただけることも多いですね。

──素晴らしい才能ですね!Mellow Plus Creativeのお客様で「順子さんはクライアントが何を望んでいるかを察知し、ちょっとしたサプライズまでしてくれる」と仰っている方がいらっしゃって

ああ〜(笑)

──ちょっとしたサプライズって例えばクライアント自身も気がついていない「あったらいいな」っていうのを掬い取っていらっしゃるのかなと思ったんですが

仕事面で言われてるのか、プライベートでも仲がよく長いお付き合いをさせていただいている方々なので、プライベートな面かどっちの事なのかな(笑)お仕事としてもちろん発注受注はあるんですけど、私は好きになるととことんなので別に自社スタッフじゃないのにクライアントのお誕生日を企画したりしますね。特に長くお付き合いさせていただいているクライアントだと仕事関係を超えた愛情があるからかもしれないですね。

──ちなみにビジネスとプライベートの線引きってされていますか?

クライアントの場合は社長だったりマネジメント層の方々とお話しすることが多く、そういった方々と仲良くなることが多いのでコミュニケーションで飲みに行ったり、イベントをしたり、そこの部分ではプライベートとビジネスっていうのをそこまで分けてはいないですね。逆に区別しているところは何かと言えば、自社スタッフへの関わり方はある程度明確にしているかもしれません。

日本だと飲みニケーションで毎日上司に誘われて断れないっていうのも聞きますが、私は彼らがしてくれる仕事へのリスペクトがあるのでそういう事はあまりしたくないと思っています。もちろんクリスマスパーティーでディナーに行こうとか、大きい仕事が終わったら打ち上げに行こうとかはあるんですけど、彼らにもプライベートがあると思うので会社を出たら好きにお友達と遊びに行ったり趣味を楽しんだりして欲しい思っています。だから自分が飲みたい時に無理に付き合わせて仕事の愚痴を言ったりはしないようにしています。そういった意味でのビジネスとプライベートの線引きはありますね。

デザインが出来る留学生が海外でフリーランスを経て起業するまで

写真提供@田中さん

──学校でデザインを学ばれていたということですが、デザインが好きだと気がついたのはいつだったか覚えていらっしゃいますか?

いつなんだろうなぁ。でも本当に小さい時から何かを描いたり、作り上げるのがすごく好きでした。絵も描いていたし、あとコンピュータが好きだったんですよ。まだワープロの時代から年賀状じゃない時期にはお父さんのワープロを使って何かを作ったりとか、コンピュータグラフィックスみたいなことが好きだったんですよね。デッサンよりもコンピュータやパソコンを駆使して自分の思いを形にするのがとにかく好きでした。

──デザイナーとして生計を立てるとなった時、海外であることによって感じるハードルはありましたか?

特別なハードルはなく、日本で培ったスキルや経験は海外でも活かせると思います。自分が1から作れるのであれば、あとはそれをどう売り込むかじゃないですかね。

私はワーホリが終わって日本に1年間ほど帰っていた時にはすでにデザインでフリーランスになりたいという思いがありました。それが日本だろうと、海外だろうとです。その当時は広告代理店に就職したんですけど、デザインじゃなくて営業として入ったんです。そこで、どうやって先輩の人が商品を売り込んだり、マーケティングしているかをひたすら見て吸収していました。

──先を見据えての職業選択ですね

主にはデザイン会社がクライアントとどのようにやりとりするかなどを見てました。要は会社だとデザイナー、営業、企画、スタッフがいて、デザイナーが直接クライアントと会うことはないんです。どちらかというと営業や企画がクライアントに会い、フィードバック持って帰ってきてデザイナーに伝えるっていう会社だったんですね。だからそこを学んでフリーランスに活かしたいという目的意識はありました。

──営業も学ばれて自信をつけて満を持してフリーランスになられたんですか?

実はフリーランスになった時は、なりたくてなった訳じゃ無いんですよ(笑)こっちで就労ビザをいただいていた会社が夜逃げみたいなのをしちゃって突如いなくなっちゃったんです。急に「わ!会社なくなっちゃった!」みたいな出来事がありまして・・・。

──波瀾万丈ですね。ビザサポートされていた会社が突然無くなるのって、正直どんなお気持ちでしたか?

「ぎゃああああ」ってなりましたよ(笑)「もう日本帰ろうかな!どうしようお母さん!」って感じだったんですけど、でもまあなんかこれもきっかけなのかなと思いましたよね。そこからはビジネス経営者が集まる日系のコミュニティに参加してみて、「名刺でも何でも作るんでお仕事下さい!」と自分を知ってもらうところから始めて、そこからどんどんクライアントをご紹介いただけるようになったりしました。

──妥協をしないお仕事が少しずつ繋がっていった形なんですね。日本人コミュニティのお話が出ましたが、そこでの繋がりはやはり大切でしょうか。

そうだと思います。助けていただいたこともたくさんありますし、どちらかというとそれがうちの売りかなと思ってます。語学の壁がある日本人経営者さんもいらっしゃいますし、印刷技術や現地業者の繋がりがない方が困っている時に、私や弊社のスタッフが皆さんと業者の架け橋になれるので、うちでデザインしたら最初から最後までノンストップで出来ます。
業者に連絡すれば彼らも私のことを知っているので、意思疎通が円滑に早くできます。安さ重視であったりクオリティ重視の印刷会社であればこの会社という風に、現地で長年培った関係性からサービスの選択肢もグッと増えたと思います。

──元々フリーランスで活動されていて、そこから会社を作られた理由っていうのは何だったんですか?

会社を作るまでは自分でグラフィックデザインだけをやっていたんですけど、とある飲食業のクライアントからデザインを作りながらマーケティングやグランドオープニングイベントの指揮もとって欲しいとのご要望でお仕事をいただきました。自分が指揮をとるわけですから、カメラマンが誰で、こういうことは誰がやってなど1つのチームとしてオペレーションを組んで働いていたんですね。

今までは自分がデザイナーとして1人でやっていたので同じ目標に向かうチームがいなかったんですが、そのメディアイベントを成功させるために2〜3ヶ月ほどチームで動いていた時、すごく楽しさを実感していました。そのイベントもおかげさまで成功して、自分の許容範囲が少し広がり、誰かと同じ目標に向かって走るのっていいなというのを感じたのがまずきっかけの1つです。

そして、クライアントや業者と打ち合わせをするときに自分のオフィスがないのがずっと嫌だったんです。だからオフィスを構えたいなという思いがあった中で、現オフィスのお話をいただいた時にご縁があるならぜひということになりました。最初は1人だったんですけど、始めていくうちにあれよあれよと関わってくれる人数も増えて自然と会社になっていきました。

デザイナーとしての矜持

写真提供@田中さん

──スタッフでありともに仕事をするチームメンバーに対して、常に心がけて欲しいことは何かありますか?

クライアントへの愛情かな。「これでいいや」というものを提案して欲しくなくて、そういう気持ちで仕上げてきたものは私にもバレます。愛情の詰まった作品って見た瞬間に惚れるんですよ。そういう作品を作ることができるのであれば一緒に仕事ができると思います。
やっぱり愛情を持って作品に関わり、私たちの作品がクライアントの売り上げに繋がったり認知度を高めるために役立って欲しいという思いがベースにあります。クライアントは私達の実力を信じてお願いしてくれていると思うので、やはりそれに応えたいですから。もしそういう愛情を持てないのであれば仕事は一緒にできないかなと思います。

──経営者の方々ってそこの判断もしていかなければいけないんですよね。お客様の大切なものを預かってそれをプロとして仕上げていくことを基準に、チームを組んでいかなければいけない

そうですね。私たちはブランドロゴやウェブサイトなどクライアントの「顔」になるものを作るわけですから、妥協は絶対にしちゃいけない。

──ご自身が今の活動をされていて、「あ〜幸せ!」と思う瞬間はいつですか?

それはもうお客さんに褒めていただいた時です。順子さんのところでとか、Mellow Plusで作った〇〇ですごく繁盛してる、有名になった、良いロゴだねって言われる、素敵なサイトだねって言われるというお言葉が、私たちにとっては何よりも嬉しいですし励みになります。

──例えばブランドロゴを考える時、クライアントのどんな部分を引き出されてるんですか?

一応、ヒアリングという形でマーケット層、商品、ターゲットに関するお話はするんですけど、私はその方のファッションを見たりとかこういうことが好きなのかなっていうのも見たりしますね。

──観察眼ですね!

あはは(笑)そういうのもあったりします。例えばロゴを作る際にも、この方はこういう系統を選ぶんじゃないかな?というのを会話の中で感じながらですね。

──Mellow Plus Creativeのデザインをウェブサイトから拝見して、あんなにユニークでアイコニックなデザインがどうやって生まれるのかすごく興味がありました。私はそっちの才能が皆無なので(苦笑)

色々なデザイン案があり、クライアントとも相談して提案と修正を繰り返しながらロゴが出来上がっているので、自分たちだけのアイデアという表現は少し違うのかなと思います。逆に「順子さんが出すものだから信用してます」と言われると「おおおお、プレッシャーですよ」と思いますが、でも本当にほぼ修正なしのクライアントも中にはいらっしゃいますね。

──デザインって本当に奥が深いなと。パッと見てこれはこういう商品なのかなとか、これってこういうスタイルなのかなって伝わるってすごいことだなと思うんです。私のような素人は色々詰め込みたがるんですけど(笑)それを極限まで削って洗練させるってすごいなと思うんですよね。生みの苦しみも計り知れません。

楽しくて苦しいです。作成しているときは苦しくて苦しくてしょうがないんですけど、でもやっぱり楽しいんですよね。

──クライアントの思いを形にするデザインやビジュアルコミュニケーションの中で、田中順子さんという1人の人間としてのエッセンスも入れていたりするんですか?

クライアントの希望がまず目の前にあってそれを形にするというよりも、お客様の希望を「私」というデザイナーのフィルターを通して作るような感覚です。だからお客さんが「こういうことしたいんだよね。」って言ってそれを100%そっくりそのまま可視化させるのではなく、それがさらに良くなるにはこっちの方が良くないですか?これはどうですかっていう提案をそこに入れて、私というフィルターを通して、さらにいいものを作り上げるという感じですかね。

例えば、クライアントのイメージが「スタバのロゴでビーナスで丸くて、なんか足みたいなのが両方に分かれてる」ってそこまで出来上がっていたら、もうそれを作るのはデザイナーじゃなくてオペレーターなんですよ。

──もう少し詳しくお聞きしても良いですか?

やりたいことがすごく具体的に詳細に決まってるクライアントもいらっしゃるんですけど、その場合はその方自身がデザイナーなんです。それをイラストレーターやフォトショップでビジュアルに描き起こすだけなので、その方以外はオペレーターになっちゃうんですよね。

でも、あくまでも私はデザイナーなのでキーワードになる言葉の中からいろいろなポイントを拾っていきます。丸いロゴがいいとか四角いロゴがいいという要望に対して「丸いものだとこういう印象になりますけど、どうですか?」とか「今お客様がお話しされているものだともうちょっとシャープな感じがいいので、こういったラインはどうですか?」などの提案力がデザインには入ってきます。
あのエリアに出店されるのであればこの年齢層の方が多いのでこういうデザインの方がいいと思う、など自分の知識や知恵を提案しながら形にする。そういう感覚です。

──今お話を聞くまでは想像できていなかった部分ですけど、田中さんにとっては言われたことをそのままアウトプットするのがデザイナーの仕事ではないということですね。

私はそうかなって思ってます。何にもない真っ白なところから作る仕事、デザインに関してはそう思いながら作っていますね

写真提供@田中さん

──インタビュー前に「休日こそインプットが多い」と仰っていましたが、ご自身の中でアイデアを生み出すきっかけとしていろんなところからインプットなさっていて、それを作品でアウトプットしていらっしゃるんですね

そう、だからスタッフも休ませたいですし、休みなさい!って言います(笑)土日とかに出勤なんか絶対にして欲しくないし、旅行も行きたいなら有給とって行ってきてください、その時に仕事なんて持ってかないでください、インプットをガンガンしてきてくださいっていう考えです。自分も同じでどこか休みを取って行く時は、極力連絡して欲しくないってオーラを出します(笑)とはいえ、社長なのでもちろん色々な対応はしなきゃいけないんですけど、ひたすら吸収する時間を作って経験を積んで、それをどうにか仕事でアウトプットしたいという考えです。だから遊びも超全力ですよ。

「田中順子」という人の人間力

──田中さんにとってデザインワークとは?

変に聞こえるかもしれないですけど、才能ないって結構ずっと思っています。私の中では才能がある人はアーティストなんです。私は才能はないんですけど、努力は好きなんですよ。才能が1しかなかったとして、99努力すればその1が100になるじゃないですか。そしたら100の才能がある人と同じフィールドに立てる。だから私は「デザインの才能」は正直ないと思います。だけど、クライアントのために作るものに対してとことんこだわりたいので99の努力をするんですよ。だから100になっているんです。

──田中さんの生き方が今の言葉に詰まってるんだなと感じます。それをはっきりと言葉にできるのはそれに裏付けられた本当の努力をされてきたからなんだなって

ありがとうございます。先程、私はデッサンは上手くないですと言ったんですが、実は私の姉はどちらかというとアーティスト気質で描かせれば描ける人なんです。実際そういう人もいます。だけど私はパソコンがないと表現できない。でも目の前にパソコンがあって、自分が努力して描いていれば形になる。アイデアが1つあって、自分が99努力して形にできればそれはもう才能がある人と並ぶと思っています。

──インタビュー前に「失敗したって後悔したっていいと思います。」というお言葉を頂いていたのですが、私も本当にその通りだな思っていて、田中さんが思う失敗や後悔からの立ち上がり方、向き合い方がもしあれば教えていただきたいです

もちろん、お仕事での失敗は猛反省して二度と繰り返さない努力をしなければいけないことが大前提です。その上で、その時が失敗というだけでそれがあったからこその成功があると考えると、結局それは失敗じゃないと思うんですよね。失敗っていう言葉がそもそもあまり好きじゃないです。失敗ではなく「きっかけ」だったと思うんですよね。

間違っちゃうのが怖いよりも、間違った後にどれだけ自分が更なるパワーを発揮できるか、もっと気をつけて自分の実力を発揮できるかが大事だと思います。人生の楽しみ方も一緒です。例えば、ワーホリに来たけど全然海外生活がうまくいかなかった、1年間無駄にしたなって思ってる子がいるとするじゃないですか。でもそれって経験したから言えることで、それは失敗でも無駄でもなくて、「知れたよね。」って。それを知ることなく死んじゃう人もいっぱいいます。だからそれは無駄でもないし失敗でもないって私は思います。

写真提供@田中さん

──ちなみにこれは質問するまでもなく、毎日を楽しんでいらっしゃるっていうのがもう表情や言葉から溢れています

40代になって人生がもっと楽しくなりましたね。最初にお話ししたように20、30代はゴールを設定してとにかく進め進めだったのが、なんか40になったらそういうスタンスじゃないやり方、Go with flowで生きているので。

──積み上げてきたものがあったからこそですよね、仮に無職になっても何か新しいことを始められるという自信もあるんじゃないかなと思うのですが

海外でフリーランスから会社にしたことはすごく自信になったと思います。実は父も経営者なんですけど、4代目とかなのでゼロからではないんですよ。会社の規模は違いますが、両親でもしなかったことを成し遂げたっていうのは凄く自信になったと思います。だから明日から無職ですってなったら、まずは無職を楽しみますね。楽しんでから、その間にどういう風が吹くかを感じて、なんでも始められるって思ってます。

──やっぱり気持ちが強いですよね

だってもう英語やデザインは自分の武器じゃないですか。ドラクエで言えば「順子は〇〇を手に入れた!」みたいなのがいっぱいあるんですよ。

──引き出しがいっぱいあるわけですね

そう!だから、起業する時も書類とか税金だとかめちゃくちゃ大変ですけど、それは経験したからもうわかるわけです。海外留学もやった、お家の買い方もわかる、オフィスも借りて人も雇ってみたわけです。最初はすごく大変なんですけど、それが余裕に変わって自分の武器になってくれますから。

振り返ると、郷に入って郷に従ったからこそ成長が大きかったと思います。デザインも大学で学んだのが今どれくらい役に立っているかと言えば0.5%ぐらいなんですよ。学校の知識はデザイナーの仕事のきっかけを作っただけであって、あの時の知識が今の仕事に100%活かせてるかと言えばそんなことは無いです。もう絶対その業界に入ってがむしゃらになっている時の方が学んでいることは多いと思うんですよね。

──ちなみに今は新しいプロジェクトを準備されているそうですね!

そろそろまた違うチャレンジをしたいなとは思っていて、構想は1年くらいしてるのかな。

──楽しみですね。どんなお気持ちですか?不安はありますか?

不安はないかなぁ。うん、不安はないですね。だって大丈夫ですよ、何でも信じれば出来ますから!

▼Mellow Plus Creative Inc.のウェブサイト▼
ウェブサイト
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編集後記

田中さんはとってもエネルギーのある方で、話していてそれがすごく伝わってきます。例えるなら、夏に太陽に向かって咲くひまわりのような方です。本文に「努力が好き」というキーワードがありましたが、その言葉は努力をし続けている人からしか出てこないと思うんです。短い言葉ですが、その一言に田中さんの生き方が詰まっていると思います。ちなみに今回のタイトルをご本人様にお伝えした時に、少し大袈裟かもしれないですというフィードバックをいただいたのですが、私がインタビューの中で感じた田中さんの人柄や思いを感じて、自信を持ってこのタイトルで書かせてくださいとお願いしました。そしてインタビューしている時から脳内には情熱大陸のテーマが再生されていました!笑

それと同時にバランス感覚が素晴らしいなという印象があって、デザインやお仕事に対して並々ならぬ情熱とこだわりがあると同時に、そこに執着しない潔さを持っていらっしゃるなと感じました。オペレーターではなくデザイナーになると特に提案力が求められるのだと思うのですが、田中さんのお話を聞くと「私が!私のアイデアが!」ではないんですよね。いつでもクライアントと彼らのブランドの成功のために動く、でも妥協せずに彼らにとって良いものであると信じたものは提案し続けていく、デザイナーさんってクライアントさんのニーズも引き出しながら、それをアウトプットする発想と根気強さのスペシャリストなのかなとこのセッションを終えて改めて思いました。クライアントの気持ちややりたいことを上手に引き出して、それを本人が考えているスケールより大きくして叶える。田中さんが今されていることは、業種は違っても私がこれからやりたいこと、やっていることとも共通しているなと勝手ながら感じていて、もうお話ししている時からワクワクが止まりませんでした。

末筆ではありますが、この度インタビューを快諾してくださった田中さん、本当にありがとうございました。

最後まで読んでいただきありがとうございます!!

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