BGAアグリコラム④食料基盤

この記事はアリーナモード(4人戦・追加アクションなし・8-7ドラフト・禁止カードあり)を想定しています。

安定して食べていくということ

アグリコラには日雇いコンボだったり畑番わら小屋だったりと、圧倒的なパワーで轢き潰すようなパターンの勝ちもあるわけですが、当然そんなゲームばかりではありません。8-7ドラフトであればなおさらです。

強い手札なら、余りある資材と唸る手数で食料くらいチョチョイといつのまにかどうにかなってしまうことでしょう。
では、飲み屋の亭主を食料基盤にゲームを進められる自信がありますか?

このカードは基本的には何かと組み合わせて使いたいのですが、ある程度狙ったタイミングで小麦を獲得できる、単体でも使えなくないカードです。
一見難しい条件に見えますが、自分で踏めば起動できるので、多少ムリすれば小麦の獲得量はある程度コントロールできます。
では、どの程度ムリして起動すべきか?
つまり、自分はどの時点でいくつの小麦を持っていなければならないのか?
という視点が問われるので、食料基盤の構想力を測るのに丁度いいと思うわけです。

ということで、今回は特別なカードがなくてもできる食料基盤の構築です。
言い換えると、今回のテーマは大進歩で食べていくためには具体的にどうするのかという話でもあります。
特別なカードとは何かというと、代替カードが少ないことを指します。
例えば、シチュー(日雇いで+4飯)は同じ動きをするカードが他にないので、今回のテーマからは外れます。
一方、「何かの小麦補助でステ3までに小麦を3個得る」であれば、達成するための代替カードは多く、難しくないミッションでしょう。

結局食料ってどれだけいるのか

この点の見積もりは、追加アクションなしのほうが簡単です。
増員が遅いので、食料の必要量は緩やかにしか増えないからです。
大抵は以下のイメージになるでしょう。
 ステージ1:4飯
 ステージ2:4~6飯
 ステージ3:4~6飯
 ステージ4:6~8飯
 ステージ5:6~9飯
 ステージ6:6~10飯

ここからわかる重要なことは何かというと、
アリーナモードでは1ステージあたり6飯出れば当分食えるということです。
しかし、全員がこの量の食料を必要だとすると、アリーナモードでさえゲームボードに落ちている分だけでは賄うことはできません。
例えばステージ3(8,9ラウンド)の間で累積する食料は4飯+2羊+1~2猪だけです。全員で20飯以上は必要なのに、累積される分だけで言えば20も行かないということになります。
つまり、ボードから取って食べるだけだと誰かが食いっぱぐれます。
食いっぱぐれるのが自分にならないように、カードの力を借りて食料獲得の効率を上げなければならないわけですね。

汎用的な食料供給には「パン焼き」「家畜」「工業」の3つがあります。
今回はそれぞれに焦点を当てて、それぞれのプランの要点を整理してみたいと思います。


・パン焼きの概要

レンガ暖炉を持っているとき、パン焼きは小麦2撒き1焼きなら3麦5飯相当、
1撒き1焼きでも1麦5飯相当の強力アクション
になります。
もしこれが共通アクションなら1手目にでも取りたいくらいですが、
自分がレンガ暖炉を持っていれば、ほとんどの場合競合がおらず最終アクションにできることがパン焼きの強い点になります。
また、スペースの捲れ方に影響されず、展開が安定し易い面もあります。

パン焼きはステージごとに1回起動すれば3人分の食料を概ね賄えます。
不足分は資材市場・進歩・累積食料でフォローしましょう。
工業が1つあれば無理なく足りるようになります。
アリーナモードなら、パン焼き起動補助はなくても運用可能です。
基本的な運用イメージは以下のようになります。

 ステージ1:4飯  なし(資材市場、進歩、累積飯) 
 ステージ2:4~6飯 レンガ暖炉獲得
 ステージ3:6飯  小麦2撒き+レンガ暖炉起動
 ステージ4:6~8飯 野菜撒き+レンガ暖炉起動 or 石暖炉獲得
 ステージ5:6~9飯 石暖炉獲得 or 野菜撒き+レンガ暖炉起動
 ステージ6:6~10飯 小麦+野菜撒き
ただし、ステージ5の石暖炉獲得までは通らない可能性も高いです。
パン焼き補助以外でもいいので、何か食料が出るカードを持っておくと弱いアクションを取る回数を減らせるでしょう。

ステージ2までに小麦を2~3撒きしたり、ステージ2をレンガ暖炉でなく累積5飯で食べるなどの変形もありますが、要点としては以下のとおりです。
・ステージ3までに小麦を2撒きする
・ステージ4までに野菜を1撒きする
小麦を2撒きしなければならないのは、得点用の増やす小麦と食べる小麦が必要なためです。
種まきにデッドラインがあるのは、ステージ6までに畑を空けて、もう一度種まきをしたいためです。

このことから、パン焼きのためにはステージ3までに小麦を4個獲得する必要があるということがわかりますね。内訳はレンガ暖炉2回+2撒きです。
つまり、畑も2枚必要になります。できれば、累積資材量の少ないタイミング(特にR1,2)に耕しておくのがオススメです。
序盤に2木や2レンガのような弱いアクションでなく、畑を拡大再生産として打ち、使いきれるのもパン焼きの強い点の1つです。

・パン焼きのプラン

小麦の獲得パターン別にプランを考えると以下のようになります。
①ステージ3までに小麦4個以上出る または
 ステージ3までに小麦3個以上かつステージ4以降も小麦が出る
(紐あみ、飲み屋の亭主、倉庫番など)
→できればステージ3までに2撒き1焼きしたいが、1撒き1焼きでも可

②ステージ3までに小麦が3個まで出る
(刈り取りフック、畑の世話人、小売業者など)
→他で食料を調達してパン焼きを1回スキップ または
 ステージ2までに2撒きして、ステージ3にも撒き焼き

③ステージ3までに小麦が3個出ないがステージ4以降も小麦が出る
(かご運び・黒檀家具職人など)
→ステージ3までにレンガ暖炉獲得し、ステージ4に小麦1野菜1で撒き焼き

④小麦が出るのが遅い/少ない/不安定
(穀物倉庫・大枠のこぎり/調教師など)
→パン焼き向きでなく、得点源として扱う

ただし、②~④を複合させて①と同等に扱うことができます。
例えば、刈り取りフック+穀物倉庫の場合、ステージ3時点で小麦を3~4個手に入れられるため、十分パン焼きを食料基盤として活用できます。
調教師+冬場の管理人で2小麦を得て、それを増やすような動きもあり得るでしょう。


・家畜繁殖の概要

パン焼きに比べると早期の家畜繁殖は難易度が高いです。
かまど・調理場は複数あるので基本的に競合がおり、家畜の出現する順番で供給量も大きく変動するため、安定したプランを構築しにくいためです。
そのため、基本的には動物を取って食べることを想定しつつ、上手く行けば繁殖に移行というスタンスで臨むことが多いでしょう。

家畜を食べるプラン自体は、かまど・調理場さえあればいいので、パン焼きに比べるとお手軽であるという面はあります。
また、レンガ暖炉の場合、1Rに出る食料は基本的に5飯なので、家族が4人になると追加で何か用意する必要がありますが、
家畜の場合は家畜を取る1手を増やすだけでよい、拡張の簡単さも長所と言えるでしょう。

しかし、家畜を盤面から取って食うだけのプランが許されるのはライバルが1人の時までです。シーズン4以降は得点として家畜を狙うライバルも増えるので、それまでに繁殖体制は整えておきたいところです。
もしも羊のつがいをシーズン1から6まで保持できれば10飯出ます。
早期繁殖に成功すれば、繁殖準備のための多少のロスは十分取り返すリターンが見込めるので、狙える手札のときは積極的に狙っていきましょう。

・家畜繁殖のプラン

家畜繁殖で食べるには以下の3つのステップがあります。
 ①羊を3頭確保できるスペースを確保する
 ②羊のつがいを取った上で食べずに保持する
 ③かまど/調理場を取る(塩作りも可)
しかし、一刻も早く増員したい序盤において、貴重な木と1手を使って柵を建てる余裕はほとんどの場合ありません。
また、家畜の獲得や食料変換手段の確保に近道はほぼないため、
早期家畜繁殖プランができるかどうかは、繁殖スペースの効率的な確保ができるかどうかだと言ってもよいでしょう。

以下は早期家畜繁殖と食料供給の両立の一例です。

①1手で繁殖スペースができる(最速繁殖)
(小牧場・屋内飼育の専門家・厩の親方・家畜収容所など)

3木x2、2葦、4レン、4飯、スペース確保、2羊(計7手)

②ペット仲買人
(ステ1)3木x2、2葦、4レン、調理場、X羊、職業1(計7手)
(ステ2)仲買人
ポイント①:羊を食べた後の残りの1羊を繁殖に繋げる
ポイント②:追加アクションありの場合、1R2手目の家畜市場も○

③木製ホエイ桶
(ステ1)3木x2、2葦、ホエイ桶、2羊、4レン、4飯(計7手)
(ステ2)3木、調理場、2羊
ポイント①:先に効果で厩が置かれるので2羊は一旦受けられる
ポイント②:かまど調理場あればステージ1で2羊→1羊は全然あり

④杣人
(ステ1)3木x3、柵、2羊、4レン、4飯(計7手)
(ステ2)杣人
ポイント:主に葦を取れず7木以上取れたときのプラン

⑤厩2(R1厩設計士)
(ステ1)3木x3 2葦 4レン 調理場 4飯(計7手)
(ステ2)増築 2羊 
ポイント:4件目が遠くなるのでステージ1ではあまりしない
     増員沈み(3件プラン)のステージ2でする動き

・家畜繁殖の発展

家畜繁殖は単に羊をキープするだけでなく、2種繁殖できるようにしたり、家畜を入れ替えたりと、変化・発展していくものです。
半端な柵を建てるのは何も産まないので基本的には弱い行動ですが、家畜繁殖はそれを十分補う強さがあります。
増築という弱い行動は増員という強い行動のための準備だったように、
2種繁殖の柵というのは、家畜のつがいという強アクションの受けを2回作る、いわば2件増築のようなものです。

ステージ3~4で以下の条件が発生したとき、一旦柵を建てることを検討してもいいでしょう。
2木以下しか手に入らない
・2種繁殖の形にできる
・つがいが確実に手に入りそう
2種繁殖の受けを作ったからと言って、直ちに2種取れる必要はありません。
最低1種取れれば十分で、もう1枠は次のつがいの受けになります。

すべての状況を書きつくすわけにはいきませんが、ここでは
比較的よくある状況に絞って、繁殖の変形について以下に紹介します。

①1種繁殖→2種繁殖→3種繁殖

柵を2回に分けて建てるパターンで最もよくある形です。
厩は増員上位なら4件目で、増員下位なら3件目で建てます。
羊6+猪5+牛4を飼うことができる形です。
厩1(または動物園)でもほぼ同じことができますが、
「厩2は置けないが7本柵は建てられる」状況があまりないのでやや珍しい形です。
柵を建てるまでは、家畜を受けることはできますが繁殖はできない点は注意が必要です。

②9本柵

増築時に厩を建てなかったが、増員が沈んで4件目は建てたくない時によく出る形です。
効率のいい6マス13本柵や8マス15本柵の受けをつぶしますが、
それに未練を残して厩なし7本にするよりは、こちらの方がよいことが多いでしょう。

③羊→豚入れ替え(2厩時)

シーズン4で獲得した猪のつがいは、5頭まで繁殖するため4点行動になります。
7本以上の柵を建てて2種繁殖の形にすると、ステージ5で羊か牛を受けられるようになります。
5頭は丁度豚持ちの条件を達成する数でもあります。



・工業の概要

資材の累積しやすいアリーナモードにおいて、製陶所・かご製作所は食料基盤としてなかなか優秀だという話は別の記事でもしました。
製陶所・かご製作所の2つが取れれば、収穫ごとに半自動で5飯が出るのでこれだけで3人家族を十分に支える力はありますが、
実際には他の食料基盤+工業1種で補助的な活躍になることが多いでしょう。

これをプランに組み込むために必要な要素は2つです。
①ゲーム中盤以降も特定資材が出る状況であること
(森林評論家・水辺の労働者・レンガ大工・背負いかご 等)
②資材市場を踏むこと

どちらも当たり前のことのようですが、②は追加アクションありに慣れている人がついつい2葦を取ってしまいがちです。
なぜ追加アクションありで資材市場よりも2葦が重視されがちなのかというと、増築・増員という最強拡大再生産に1手早くアクセスできて、石は増築に関係ない資材だからです。
しかし、アリーナモードにおいて最速増築は最速増員ではありません。
3個目以降の葦は、石以上に拡大再生産と遠い資材であることが多いです。
アリーナモードでは理由がなければ2葦より資材市場を取るべきです。
他プレイヤーに石を獲得させないというのも工業の対抗を減らすために重要なポイントですし、1食料は葦よりももっと早く必要に迫られる資材です。


まとめ

・アリーナモードでは1ステージ6食料あれば大体食べられるが、
 ボードの食料だけでは足りないので、食料基盤の構築は必須
・パン焼きは序盤のアクションの強さと展開の安定感が優秀
・パン焼きなら、ステージ3までに2畑+4小麦獲得が基本形
・早期家畜繁殖には手効率/木材効率のいいスペース確保が必要
・柵を2回に分けるなら2種繁殖の形にする
 家畜のつがいを取れるなら半端な柵を建てる価値はある
・特定資材がたくさん出るか、既に持っているなら工業は強い
・工業の受けを作るためにも、理由がないなら資材市場>2葦

食料は最も価値の低い資材ですが、1つでも不足した時に最も重くのしかかる資材でもあります。
4木などの美味しい資材があるのに、初手から4飯を取らないといけなくなった苦い経験のある人は多いでしょう。
そんな事態にならないように、どんなゲームでも食料基盤は意識的に構築しなければいけません。

いつもかまど・調理場で食料供給をして、パン焼きでの食べ方がよく分からなかったりしていませんか?
せっかくパン焼きで強いカードが流れているのに、よくわからないから流してしまうのはもったいないですね。
特に今は強い小麦獲得が多く、アリーナ環境でパン焼きはかなり強いです。

もしあなたが「なんとなく関連カードが多いからパン焼きができるかも」のような考え方をしているなら、
あるいは「パン焼きするつもりだったのに小麦が全然ない」といった事態に心当たりがあるなら、
「ステージ2にレンガ暖炉を獲得する」「ステージ3までに小麦を2個撒く」といった基本形の小目標の達成を意識するようにしてみてください。

食料基盤構築の引き出しを増やし、毎試合の食料供給効率を上げて、
資材を取る手数・効率を上げていきましょう。

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