BGAアグリコラム②井戸と工業

この記事はアリーナモード(4人戦・追加アクションなし・8-7ドラフト・禁止カードあり)を想定しています。

EIKから効果が変わっていないので、こんなテーマは100万回語られたとは思うのですが、BGAのアリーナモードではどうなのかという観点で改めて私見を述べたいと思います。

盤面の効率

工業の効率の話をする前に、比較対象として盤面の効率の話をおさらいしておきます。

以下の表は、補助なしで盤面を作ろうとしたときに、何手で何点取れて、
1手当たり何点作ったことになるのかを自分なりにまとめたものです。

たとえば15柵8マスの場合、12点を合計6手(資材5手+柵1手)を作っており、
1手当たりに換算すると2点という意味になります。
価値判断にはそれぞれ意見もあるかと思いますが、
ここでは 1手=3木=3レン=2石=2葦=4飯 として扱っています。

ここでは表を細かく見なくても大丈夫です。
伝えたいことは、柵材としての3木は+2点だし、畑1枚も2点で、
大体1手って2点くらい出ればまあまあ強いということだけです。

工業・井戸の効率

まず工業から。
結論として、得点源として見たときの工業はかなり効率が悪いですが、
食料基盤として見たときの工業はそこまで悪くはありません。
下の表は、1手で取れる木・レンガは3個、葦は2個として見積もりました。
どれも1手2点相当未満ですが、食料に変えると1手2点相当に近くなります。

この表をもう少し具体的なイメージにすると以下のようになります。
・4レン→3レン→2石→製陶:4手2点+10飯(1手1点×2、1手5飯×2)
・4レン→3レン→2石→製陶:4手4点(1手あたり1点)
・1羊→1猪→1野菜→1小麦:4手8点(1手あたり2点)

しかし、資材はゲームごとに価値が変わります。
下の表では、1手で取れる木・レンガは4個、葦は3個と増やしてみました。
食料としてはかなり見れるレベルの効率になっていることがわかりますね。
アリーナモードは増員が遅くて資材が累積しやすいので、
製陶所・かご製作所はむしろこっちのほうがイメージに近いでしょう。

井戸の最大バリューとの比較のために、シーズン3獲得の効率も入れています。
飯に変えたら得点効率が上がるのは、浮いた手数で別の得点行動ができるからです。

そして井戸です。

3手未満の手数で獲得でき、2手分の得点と1手分の食料が手に入ります。
しかも、ステージ3までに獲得すれば最大バリューが出ます。
食料をちゃんと回収できるなら、井戸は下手に盤面作るよりも効率がよく工業で井戸の価値に並ぶためには資材が追加で7個くらい必要になります。

井戸は常に工業より優先か

今回一番確認したかったのはこの部分です。

実は上の表でも答えは出ているのですが、
特定の資材が安い場合、工業が井戸の効率を上回ることはあると思います。
逆に食料が余るほど安い場なら工業の強みはなくなりますが、
あまりそのような展開は見たことがありません。
具体的には、家具・製陶は1手で資材4個取れれば1手2点レベル、
1手で資材5個取れれば井戸レベルの効率になります。
かご製作所は1手3個くらいで井戸レベルになります。
ただし、優秀なのはあくまで食料変換効率なので、
早く獲得・起動する必要があることには注意が必要です。

葦は最も価値崩壊の起こりやすい資材です。
4件目を目指さないことが多いアリーナモードでは、ステージ2以降葦は大抵3つまで累積します。
ゲーム中に葦は最大28個供給されますが、ゲーム中で増改築で使われる数はせいぜい20個くらいです。
更に、水辺の労働者、森林評論家、ヒキガエル、かご運び、柴結びなどのカードがいると、葦はあっという間に飽和します。
これらのカードは1ゲームで4つ以上の葦を出すため、井戸・かごの価値逆転を起こす1手3葦以上を満たしやすくなります。
資材市場は他の資材を得ているので、0.4手で1葦と考えられます。
資材市場を終盤まで強アクションとして使えることも、かご製作所の偉いポイントの一つです。

レンガは葦に次いで価値崩壊が起こる資材です。
レンガ大工・粘土調達人・粘土層の窪地などが複数出ると、1手当たりのレンガ獲得量は4以上になることがあります。

一方、木は価値崩壊が起こりにくい資材です。
R13までの木の供給量は78本で、1人あたり20本もない計算です。
1件と柵だけで使い切ってしまいます。
木は多く取れても進歩や厩に使えるので、ほとんど余ることはありません。
森林所有者や森の宿屋は木の供給量を大きく増やしますが、累積するわけではないため、盤面の4木以上は基本的に取られます。
樹木術師・情報屋・木こり・木材荷車・森林所有者(本人)などであれば家具製作所を活用しやすいでしょう。

そして、時に資材の価値崩壊は自分だけに先に訪れることがあります。
ボードにある資材は要らないなら取らなければいいだけですが、
水辺の労働者や森林評論家などを出したら、葦は嫌でもついてきます。
このようなとき、井戸よりも工業を先に取ったほうがいいと思います。

理由の一つ目は森林評論家の2木や水辺の労働者の2葦など、他プレイヤーには微妙だけど自分にはおいしいアクションの受けが残ることです。
二つ目に、価値が同じ程度なら食料の方が拡大再生産的には優秀です。
三つ目は、工業と井戸を両方取る展開になったとき、工業から取ったほうが合計の価値が高くなります。

井戸を他のプレイヤーに与えてしまったとき、そのプレイヤーを伸ばすことになってしまいますが、得するのはその1人だけです。
ただし、対抗が井戸は取れるけどかごは遠いようなプレイヤー(主に発掘者)であれば、井戸から取って両取りを狙ってもいいでしょう。

盤外点の価値

ところで、盤面で作る4点と盤外で作る4点(井戸)は、同じ効率ならどちらのほうが偉いと思いますか?
答えは盤外で作る4点のほうが偉いです。
なぜかと言うと、盤面の点数はある程度までは伸ばしやすく、ある程度から伸ばしにくくなるからです。

「3石→1木→井戸」の動きと、「1羊→1猪→5飯」の動きは、どちらも3手4点5飯で効率的には同じです。
しかし、前者は1羊や1猪といった1手2点行動の余地がまだあるのに対し、
後者はもう一度1羊や1猪をとっても2点にはなってくれません。
井戸や工業で点を取る動きは、そういった観点でも強いと言えるわけです。
ただし、柵や畑は家畜のつがいや種まきと言った強い動きの受けを増やす行動であることには注意してくださいね。

まとめ
雑に要点だけ振り返ってまとめとしたいと思います。
・1手2点出ればまあまあ強い
・工業の得点効率は1手2点に及ばずかなり悪い
・工業は早期活用すれば食料基盤としては効率は優秀
・井戸はめちゃくちゃ効率がいい
・特定資材が安くなりそうなら、工業は井戸より優先して抑えてもよい
・同じ効率なら盤面点より盤外点のほうが偉い
 ※ただし、柵や畑は家畜のつがいや種まきの受けを増やすよ

つまり、「アリーナモードにおける製陶所・かご製作所は資材の相場を読み切って早期から運用できれば強い」「井戸は最強」です。
ではまた。

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