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コーチングのテクニック 質問編 「6つの鏡」

ここしばらく、コーチングのお仕事を引き受けています。効果が見られる回もそうでない回もあり、毎回少しずつやり方を変えながら試行錯誤する日々です。

そしてそろそろアウトプットするのに十分なナレッジが溜まってきたので、備忘も兼ねて、コーチングの際使えるテクニックを共有できればと思います。

エッセンス

1. 部屋の明かりをつける:直近の点数を訊ねる
2. 鏡を増やす:周囲のモデルやリソースを材料にする
3. 鏡を反転させる:あえて相手の言っていることと違う内容に整理して要約してみせる
4. 鏡をボヤけさせる:相手にとってよく分からないであろう言葉で要約したり、早口でまくし立てる
5. 鏡を歪める:相手の言葉の一部を抽出して誇張や卑下する
6. 化粧鏡になる:相手の考えを更に美化する

コーチングとは?

コーチングとは、対話を通して目標達成や課題解決に必要なスキルや知識・考え方を備えたり行動することを支援するプロセスです。一度ではなく、何度も何度も対話を繰り返すことで効果を発揮していきます。

よくある勘違いとして、部活のコーチのように具体的な方針やテクニック・作戦などを教導する立ち位置ではありません。指導者や教導者ではなく、理解者であり伴走者と言えるでしょう。※1

もしくはその性質から「鏡」と表現されることもあります。

鏡になる

コーチングの最も基本的なテクニックが「鏡になる」です。自分が相手の鏡像になってあげるのです。

鏡なので、自ら意見を述べたりアドバイスを提供したりはしません。相手の言葉をオウム返ししたり、整理して「〜〜ということですか?」と返したりします。

整理した内容やオウム返しの内容が間違っていても多くの場合相手が訂正してくれますが、人によっては指摘する勇気を持てなかったり、返ってきた言葉に納得してしまうことがあります。

なので、出来るだけ情報が劣化しないよう注意が必要ですね。僕はこれを屈折率が低い(高い)鏡と呼んでいます。

コーチングを継続すると自分の中に鏡が生まれる

ただ、多くの場合、単なる鏡になるだけでは不足してきます。

何故なら、何度もコーチングを受けた人は、上記のような基礎的な鏡を自分の中に生み出し始めるからです。

本来、自分のことを客観視するのは難しいものですが、コーチングは客観的な視点を育てる側面を持っており、整理やオウム返しだけでは、コーチの必要が無くなる日がいずれ訪れます。

ある人についてコーチングで解決できる課題が少なくなってきたと感じたら、およそこの作用のためです。コーチング自身の貢献度や力不足ではなく、相手の中に鏡がインストールされたのです。

これはとても喜ばしいことです。だから、もしコーチング相手がそうなっていたら、コーチは、より高度なコーチを紹介してあげるか、卒業を促してあげるのが賢明です。

鏡にもバリエーションを持つ必要がある

では、より高度なコーチングのテクニック──より高度な鏡というものは存在するのでしょうか?

はい、あります。

鏡のなり方や鏡の使い方はたくさんあります。そもそも、要約したりオウム返しするだけでは、まともなコーチング効果を発揮しません。

最初の内は良いのですが、あまりに一辺倒だと相手に「この人は言葉を繰り返してるだけだ」という印象を与えてしまい、不信を植え付けることになります。

対話がベースのソリューションにおいて信頼関係は重要で、不信は大敵となります。避けるための手札を持っておくべきです。

これはコーチングだけでなく、プロダクト開発などの現場で行われるユーザーインタビューなどにも通ずるところがあります。

(ラポール形成と言います。)

一般的にラポールとは「親密な関係」や「信頼し合っている関係」を差し、相手を信頼して打ち解けた状態を「ラポール形成」と呼びます。 「一緒にいて心地いい」とお互いに感じられる二人の間には、ラポールが形成されていると判断できます。
── あしたの人事

テクニック1. 部屋の明かりをつける

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