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弱気相場におけるUXD Protocolの取り組み

はじめに

現在クリプト市場はかつてない弱気相場に突入しています。

DeFi市場もその影響を強く受け、資金の流出や精算リスクに見舞われています。UXD Protocolは資金効率の高い完全担保型ステーブルコインであり、精算リスク等とは仕組み上無縁ですが、それでもプロトコルを維持するために必要ないくつかの課題に対処しています。

UXDの裏付けとなる、無期限先物を用いたデルタニュートラルポジションを維持するため、弱気相場ではマイナスのファンディングレート(FR)を保険ファンドから支払い続けなければなりません。

メインネットローンチ以後のファンディングレートの支払ペースを基にした試算では、現在の保険ファンドには約15年間支払いを継続できる余力があります。しかしさらに持続性を高めるため、直近では以下の施策を実施しています。

UXDの保険ファンドとFRに関する過去の考察はこちらの記事をご覧ください。

マーケットメイキングによるFRの改善

UXDは現在Mango Marketsという単一のデリバティブDEXをバックエンドとして発行されています。UXDの裏付けポジションのうち、約95%がSOL-PERPを用いたデルタニュートラルポジションであるため、SOL-PERPのFRは保険ファンドの持続性に特に大きく影響します。

過去30日間のSOL-PERPのFRを見ると、5月前半のボラティリティは非常に高く、マイナスに大きく傾く場面もあったことが分かります。

5/9-5/16ごろの価格急落にあわせて、FRは最大-0.1%近くまで低下しています

こうしたFRのボラティリティは後述する金利裁定取引に不都合であり、またマイナスFRはUXDProtocolの保険ファンドにダメージを与えるため、何らかの対策を行う必要がありました。

そもそもこの事態は、市場にマーケットメイカーが不足していることが原因です。大規模な取引でFRが他の取引所と大きく乖離した場合、マーケットメイカーがこの差を埋める取引を行わなければその市場は、エコシステム全体のトレンドから不自然に切り離されてしまいます。これはその市場を利用するUXD Protocolにとっても好ましいことではありません。

そこで、この問題はUXD Protocol自身がマーケットメイカーBotを運用することによって解消し、ファンディングレート支払いは以下青枠のように推移するようになりました。

右側青枠内がBot適用後の金利の推移を示しています

弱気相場の中、FRは依然マイナスではあるものの、対策前と比較してFR水準をかなり引き上げることができました。

担保資産としてのBTC、ETHの受付停止

従来UXD ProtocolではUXDを発行する際に預け入れるトークンとしてSOL、BTC、ETHの3種類を選ぶことができましたが、現在はSOLのみの対応となっています。

理由は以下の通りです。

UXDのバックエンドであるMango Marketsで扱っているBTCとETHはネイティブトークンではなく、「Sollet Bridge」というブリッジを通して持ち込まれたブリッジアセットです。

Solanaではブリッジの主流がPortal Bridge(Wormhole)へ移行しつつあり、Mango Marketsも今後のアップデートで対応アセットをSollet Bridge版からPortal Brifge版に切り替える予定です。

またその移行の過程で流動性が低下することが危惧されており、対応するMango MarketsのBTC-PERP、ETH-PERPの無期限先物市場においてもFRのボラティリティが非常に高くなっていました。このボラティリティがUXD Protocolの保険ファンドに損失を与える可能性を考慮し、現在BTC及びETHでの発行(MINT)は停止し、償還(REDEEM)のみに対応することとしています。

なおUXDの裏付けポジションの内容は、UXD Protocolが作成したダッシュボードにて確認できます。

今後Solanaエコシステムが本格的にPortal Bridge版のBTC・ETHに移行し、安定した流動性を確保できた場合、これらのトークンを用いたUXDの発行に再び対応する予定です。

金利裁定取引プロトコルとの提携

弱気相場において、無期限先物(PERP)のファンディングレートはマイナスに傾きますが、以下のデルタニュートラルポジションを別に構築することで、ファンドの正味支払いを緩和することが可能です。

  1. 証拠金を預け入れ、SOL現物を借り入れショートする。

  2. 同数のSOL-PERP先物をロングし、マイナスのファンディングレートを受け取る。

現在SOL現物の借り入れコストは年利約2〜3%であり、ファンディグレートは概ね年利約20〜30%で推移していることから、差額の金利を受け取ることが可能です。

UXDProtocolはSolana上に構築された自動運用プロトコルであるFriktionと提携し、保険ファンドの一部を金利裁定取引VaultであるBasis Vaultで運用することとしました。

これにより、弱気相場におけるファンドの支払いを大きく緩和し、プロトコルの持続性をより高めることができます。

またBasis Vaultは一般に公開されているため透明性が高く保たれています。運用実態についてはこちらから確認することが可能です。

おわりに

この記事では主にファンディングレートにまつわる施策について紹介しましたが、他にも【セキュリティ対策】や【開発チームのファイナンス】等、UXD Protocolを維持するために重要な施策を多角的に行っています。

我々は分散型金融市場(DeFi)の未来を信じており、その成熟にはステーブルコインのトリレンマを解決したUXDが必要不可欠だと考えています。今後活気を取り戻した市場で大きな成長を遂げるために、現在はプロトコルの安定性向上を優先しています。


ここまでお読みいただきありがとうございました。以下のリンク先のサイトでは、UXD Protocolに関するより詳細な情報を掲載しております。

公式ウェブサイト:http://uxd.fi/

Twitterアカウント:https://twitter.com/UXDProtocol_JPN

Discordサーバー:https://discord.com/invite/BHfpYmjsBM

<注意喚起>この記事は情報提供を目的としており、いかなる行動を推奨するものでもありません。何らかの投資判断を行う際には十分な調査を行ったり、財務アドバイザーに相談したりした上で行動するようにしてください。また、記事の正確性には万全を期していますが、内容に何らかの瑕疵があった場合の責任を負うものではありません。

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