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1回目の統合失調症。8

病院に着いた。夜が更けている、8時ごろだ。 
ちゃんと歩けるからちゃんと歩かせて、と、
みんなに言う。
病院では、マスクを目と鼻に覆っている車椅子のおばあちゃんが居た。(これは正夢で見たことがある。)

母が、先ほど電話した(師匠の名前)です。5歳です。
(いやいや、私はもっと違う名前だし5歳ではない。何が起こってる?)精神疾患だと思うのですが診ていただけますか?と焦って看護師さんに話しかけている。

看護師さんが私のそばに来て
ご自身の名前は言えますか?年齢は幾つですか?電話番号は?住所は言えますかー?沢山質問してくる。

質問にはあまり答えられなかった。
答えたら
では、お座りになって待っていてください、そう言われる。

周りに居る人が気になり歩き回る。
女性が座っている。
あの人はお腹に赤ちゃんがいたけど降ろしたからここに居るのか。
あの旦那さんは私の旦那とバッテリーを組み世界に挑めるのになぜ世界に行かないのか?と思い始める。
旦那を見ると相当な汗だ。
どうしたの?どこか悪いの?
こ、腰が痛い。そう言って、とても辛そうだ。
私の変容ぶりにストレスを感じているのだろう。

あの奥まで行ってみよう。いつかの正夢で見た。
この扉の奥に師匠がいるに違いないと思ってこっちに来たけど誰もいない。
あの奥にレントゲン室があるけどあの服を着たらゴム臭くて死にそうだからあんなの着なくてもいいのに
とか、
頭が騒がしい。

そうしているとテレビが見えた。
小栗旬が写っている。時代劇だ。
画像が荒い。時より線が入る。
おい、日本のテレビ局、線が入ってるぞー
電波会社か?おいおい、そんなお粗末な奴ら日本にはいないだろ。

そうしているうちにポン!
〇〇さんー〇〇さん、と名前が呼ばれる。
私は気付かなかったが
母と旦那が私を誘導して
診察室に入る。

女性の先生だ。
私は、その先生が喋っていることが
半分しか理解できなかった。
こんー(ば)んは、たー(ん)とうの〇〇です。よー(ろ)しくおねー(が)いします。という感じで、音が飛ぶ。
よく聞いていれば判るが私は疲れていた。
上手く聴く余裕がない。
言いたいことはかねがねわかったが
(要は、どうされましたか?と言う内容だ。)
私には先生の声が上手く聞こえてこない、
そう旦那に伝えた。

そこで私は、話が上手く聞こえてこないので、
あいうえお順に発声練習して発音の練習を試みた。
(診察室の中なのに失礼な話だ。)
あーいーうーえーと言いながら口を縦横無尽に動かす。かなり大きな声を出しながらあいうえおと言っている。障害のある人はこうやってコミュニケーションを取っている時もあるので気持ち悪がらなくても良いと医師に示したかった。

お前らこう言う患者治したいっと思ってるだろ、ずっと思ってるだろ。お前らが出来ないことを俺は出来るんだぜと叫んでいる。何処からか舌打ちが聞こえて来た。(医師が煩いと思ったのだろう。)

それから、じっと座っていられなかった。発達障害のある子はじっとしていなさいと言われてもじっとしていられない事を医師に伝えたかった。

変な顔で叫び回っている我が子を見て母は退席する。我慢ができなかったのであろう。
私の脳裏には植物状態の寝たきりの人が私の治療で目覚めてこれから世界を動かすんだ、
そう思っているニュースが世界を駆け巡る、
そう想像していた。(そう言う夢を寝ている時見た)

今度は医師が黒い服の男性に変わる。
彼のポケットには、
私の服のポケットに入れていた
紫色の紐のついた白い香り袋がある。
それをポケットからチラッと見せた。
日光東照宮に行って私が唯一買ったお土産だ。
神様の証を彼は持っていると思った。
(きっと母が渡したのであろう)
診察台に横になって下さい、そう医師から言われる。割りかし若い女性の看護師さんに案内される。
私は彼女の言うことは聞きたくない。
ハッキリと、俺は嫌だと言う。
テツがわがままを言っている。
他の看護師を呼んで欲しかった。
こいつは俺のことよく分かってくれねぇ、
他の奴がいい。
コイツじゃない、コイツでもない。
何人か看護師さんが来てくれたが、
そのなかで、割と年配の看護師さんが現れた。
彼女の言うことになら従える、そう思った、
ゆっくり横になりましょうね、
ゆっくりしましょう、まるで保育園の先生の様だ。
とても心許せる温和な看護師さんだ。感動すら覚える。

その間旦那が私の仕事の勤務体系や日中の過ごし方について訊かれている。
随分的外れな答えだ。
おめぇ私のこと何にもしらねぇんだなと苦笑いする。もとより私に興味がないのだろう。そんなふうに思った。

レントゲンやX線の様なものを撮ったが身体がうまく動かずロボット人間の様だ。レントゲンを撮るのにも身体をカクカクさせながら動く、そんな歩き方をした。
それが終わると看護師さんが
体に電極をつけて何かを測っている。
(今思えばきっと心電図だ)
目を閉じて電波がきた(筋肉がピクッと動いた)そんなところを伝えれば、電気の会社の人の役に立てる、なぜかそう思った。
右臀部青、左上部背筋赤、と、色と身体の名前を言えば電気のチューニングが出来てると思った。舌打ちが聞こえてきた。(単純に私のボヤキが診察中にうるさいだけであろう(お前らよくそれで良いと思ってんな!とか言う))

看護師さんが点滴をしてくれるらしいことを話している。触るな、俺に触るな、大声を出す。
日本語で通じないならと英語をと、話してみる。No,No,No!!Don't touch me!
たくさんの看護師さんが私を抑えているのだろう。
まるで分娩室のようだ。
年配の看護師の目を見る、本当に大丈夫なのか?コイツらを信じて本当に大丈夫なのか??
大丈夫だよ、大丈夫、そう言われてリラックスする。

と、急に左鼠径部から卵が1.2.3個、ぽこ、ぽこ、ぽこ、と現れたのを感じた。え?私、爬虫類みたいに妊娠した?この卵どうやって取り出すの?

それをチューブで外に排出するのか!
その為に今日のこの景色があったのか…
私には卵がこんなにも身体の中に溜まっていたのか。
一生卵を産み続けるニワトリのように、
私はそんな為に生まれて来たのか、
そう認識した。
意識がなくなった。

出産する為に、私は魂の旅を何回も繰り返しているのか、そう悟った。

意識が戻るとしゃがれ声になっていた。

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