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「何様」ついに読み、学び、弱みを知る

かれこれ半年以上前に買った本を、ようやく読み終えました。

どれだけ遅くても遠回りでも、必ず決めたことは達成することを自負しています。
言行一致、これは何においても大事です。

半年待って今読み始めたのは、1つはGWで暇だったから。バイトも休み、遊びもほとんどなしですから、何か成し遂げてやりたいと漠然と思っていました。4時間くらいかな。読み慣れていないのでかなりかかりました。

もう一つはうっかりコーヒーをこぼしてしまったからです。自分で買ったものとはいえヨレヨレの茶色になった紙にはため息を禁じ得ませんでした。読書のモチベーションが下がる前に処理しておかないと、いよいよ手をつけられなくなりそうだという一抹の不安がありました。

1週間もの間コーヒーを徐々に吸って茶色の侵食が広がっているそれを手にとって、80ページくらいから読み始めます。

この「何様」は6つの短編がまとまったもので、よくある一続きの物語ではありません。本屋で立ち読みをしたときは、目次に書かれた6つのタイトルが章題だとしか思いませんでした。じっくり1つの物語を味わいたい、という当初の目標は叶いませんでしたが、エピソード記憶が弱い僕にとってはむしろ短めの話がたくさんある方が流れをまとめやすくてよかったくらいでした。


たった一冊読んだだけで大袈裟な、と思われるかもしれませんが、この読書経験で学ぶことは多かったように感じます。
まず読むスピード。時間がかかってしまうことが僕を読書から遠ざける一番の要因だったので、ネットの情報を頼りに速く読もうと頑張ってみました。

・口を動かして読むこと (声は出ていないにせよ音読) をやめ、黙読にすること
・頭や体を極力動かさず、目だけ動かして読むこと
・頭の中で音楽が流れたら、一旦待って話が終えるようになるまで小休止を挟むこと

このあたりを意識しました。途中から眠気と集中力の低下でぐんと読書速度が落ちましたが、それさえなければあと30分は早かったかも。

それぞれの話のストーリーは読書の後もそれなりに思い出せました。それぞれの話が短めだったからか、読んで間もなかったからか、はたまた両方か。いずれにしても「ショーシャンクの空に」のあらすじを見たその日に言えなかったあの頃と比べると、ずいぶん上達しています。

風呂に入りながらそれぞれのストーリーを大枠だけ口に出してまとめてみます。すると案外、1つ1つが2〜3分で説明できてしまうくらいに短くできる。細かい説明を省いたり、必要な部分を端折ってしまっている可能性は大いにあるとしても、約5万字ずつ書かれた文章が、これだけコンパクトに収まってしまう。

小説って肉付けなんです。
伝えたいことが根っこにあったら、あとはそれに付随するストーリーを付け加えていく作業なんだと悟りました。

最近1,500字〜2,500字程度のショートショートをよく書いてます。5万字が2分で終わるなら、僕の2,500字の小説のあらすじは (単純計算で) 6秒で説明できることになります。たった1文あれば、それくらいの話は作れないといけないのだと思います。


自分の弱みを知れたことも大きな学びであったと思います。

小説を書くことを最終目標に据えている僕ですが、これまで書いてきた自分の謎小説と「何様」の各小説を比べて、根本的な違いに気がつきました。

登場人物の人数と、そのカテゴリーの多様さ。

僕の文章は基本男性、それも自分の年代に近いくらいの20代の若者が主人公であることがほとんど。登場人物も主人公の知り合いが1、2人出てくる程度です。ところが「何様」では、主人公が男性である場合もあれば女性である場合もあるし、年代も高校生、大学生から社会人1年目、数年目と幅広い。主人公の知り合いだけでなく、たまたま出会った店員や知り合いの同僚なども登場します。

この差を生んでいるのは経験の違いでしょう。男女の恋も知らない人間が高校生のイチャコラを書こうなんて無茶な話です。就活生の側なのに、それを面接する側のことを書くのも同じく無謀です。

計り知れないほどの想像力がない限りは、自分が経験してきたものでしか語ることができません。そして僕には溢れんばかりのファンタジーの世界はなかった。それだけの話です。ただ、男女関係については知っておいた方が今後を考える上でも大切なので解決したいところではあります。小説を書きたいがためにマッチングアプリを始めるなんて未来もそう遠くはないのかもしれません。

あとは三大欲求を大切にすることかな。
「何様」の各小説には必ずどれかの「欲」が根底にある、ないし細かく描写されていたように感じます。特に食事の描写はどれも秀逸で、タピオカを「デンプンのかたまり」と表現していたのは痛快でした。

食にも性にも疎い僕には、おそらくまだ睡眠の描写しか描けていません。それも行間が空くだけの、あってないような描写。このあたりを意識していかないと、生きた文章にはならないんだろうな、という気づきでした。

朝井さんの表現技法は独特で、頭を悩ませることもありました。僕には朝井さんの描写する直喩がイマイチしっくりこなくて、どんな感じだろうと毎度のように手を止めて考えては、が浮かばぬまま読み進めました。この文章さっきも書いてたよな、なんでもう一度書くの?と首を捻ることもありました。

比喩やリフレインといったレトリックはある意味ストーリー以上に個性が宿りやすいものなのかもしれません。ここは自分の型を磨くしかなさそうです。


思った以上にすんなり読めて楽しかったので、これからも読書していきます。
とりあえずこの前買った小説と、直近で買った本と、友人にもらった2冊は、今年中には読み切らないと。GWにこのうち2冊は読むことを目標にしてみます。

ちなみに明日は昼から (たぶん深夜まで) 友人宅で麻雀です。
…大丈夫かな。


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