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同人イベント主催のすすめ〜WEBオンリー、プチオンリー、個人主催即売会を比較して〜【前編】

はじめに

このnoteは推しカプの新刊が欲しいから、あるいは推しカプを盛り上げたいから、イベントを主催したいと考えている人に向けたものです。
なお開催規模としては50スペース以下、ジャンル全体のオンリーが時々COMIC CITYで開かれているカップリングをイメージしています。ジャンルオンリーすらやってないよ!という場合はどれをやってもきっと楽しいし界隈の人が集まってくれると思います。やろう!!

※このnoteの「プチオンリー」とは、赤ブーブー通信社が開催するCOMIC CITYにおいてサークル参加者が企画するイベント内イベントを指します。

書いているのは誰?

BLメインで同人活動をしている平凡なオタクです。平凡なオタクでもなんとかなります。
主催歴はWEBオンリー2回、プチオンリー2回(3回目準備中)、個人主催即売会1回です。
初めて主催したのはプチオンリーでした。「もう一生主催なんてやらない!」と言っていたはずがこの有様です。
スケジュール管理と事務手続きと文章作成が得意で、オリジナリティのある企画を作ったりイベント用のイラストを制作するのは苦手です。ロゴは自分で作ることもありますが、イラスト関係はだいたい誰かに依頼しています。
基本的に共催や副主催は立てないようにしています。困った時には友人たちに相談するようにしていますが、最終的には自分で決めます。イベント主催にはお金のやり取りが発生するため金銭面でトラブルになる可能性や、担当していたタスクをすべて投げて途中で失踪される可能性を考えると、ある程度の作業は周りに依頼しつつも自分1人で責任をとるのが一番安心だと考えています。

注意事項

お金の話もします。趣味の話題でそういう話は聞きたくないという人はこのnoteは読まない方がいいかもしれません。が、主催するなら絶対何かしらの費用が発生するので諦めてください。必要なものをなるべくハンドメイドすることで節約が可能ですが、その場合はお金の代わりにあなたの時間が必要になります。

このnoteを読むような方はサークル側から見た各イベントのメリットデメリットについてはよく分かっていると思いますのでその辺りは説明しません。



難易度

低い WEBオンリー < プチ < 個人主催 高い
そもそもの話になりますが、イベントを主催するとして「まずは個人主催即売会から始めよう!」という話にはならないと思います。あまりにも難易度が高いからです。ですので初心者の方はWEBオンリーをやるかプチをやるかで悩んでいるのではないでしょうか。とはいえいつか個人主催で即売会をやってみたいと思っている方もいると思うので、個人主催についてもざっくりと書いていきます。

開催するのが一番易しいのはWEBオンリーです。WEBオンリーであれば、主催1人だけでも全ての作業を行うことが可能です。プチオンリーや個人主催となると、社会人1人が捻出する時間でできる作業量を超えます。覚悟があればなんとかならなくもないですが、身体に悪いので(経験談)、手伝ってくれる人を何人か確保しておくことを強くおすすめします。
さてWEBオンリーで最低限必要なのは、WEBオンリーを開催するサイト(pictSQUARE、とらのあなWEBオンリー、ピクリエなど)への申込です。そういったサイト内では企画の告知が難しいので、告知用のサイトやTwitterを事前に作ることからイベントの準備がスタートします。
告知をしつつ、イベントの規約やスケジュールを作り、ロゴやイベントマップ、共通サークルカットやオリジナルのアバター・店舗外観、サークル用の告知タグ、イベント内企画の内容などを決めていきます。これらは主催者によってどれくらい力を入れるか千差万別ですが、規約だけは最初にきっちりと決めておくのをおすすめします。規約が曖昧だと、非常に多くの問い合わせが来ます。対応が大変ですし、参加者側から見てこのイベントは大丈夫なのだろうかと不安になります。
そのあとサークル募集を行い、募集期限が来たら主催が配置を設定します(自動配置のままのイベントもあります)。
イベント当日は企画がなければ主催としての仕事はスケジュールの告知以外にほぼありません。サークルさんの掲示板に書き込みをしたり、期間の最後までイベント内に残っている方へご挨拶をしたりする方が多いです。
最悪、WEBオンリーであれば主催が失踪したとしても、設定された時間通りにイベントが開かれます。実際、主催の方がイベントを忘れていて開催期間中一度もログインしなかったイベントに参加したことがありますが、企画なしのゆるいイベントだったので大きな混乱は起こらずに済みました。でも失踪しないでください。
参加の敷居が低い分、問合せや要望が多いのがWEBオンリーの特徴かもしれません。主催の記載ミスを指摘されることもあれば、ちゃんと規約を読んでくれていれば分かるであろう質問もあり、主催に求めすぎだよと言いたくなるような要望も来ます。実に多様な問い合わせが来るのですが、へこたれずに誠実な対応をしていきましょう。
マシュマロのような匿名フォームは設置せず、DMやリプライ、問い合わせフォームで質問を受け付けたほうが良いです。匿名フォームは自分の名前や問合せ先を書くというワンクッションがなく、強い口調の意見を送ってしまいやすいからです。それは主催にとっても問合せした人にとっても良くない結果になってしまいます。
時には悪意ある問合せが来ることもあるかもしれませんが、腹を立てるだけ無駄です。肩の力を抜き、軽く流すことも大切です。
WEBオンリーの魅力は突発的な開催のしやすさにあります。推しの誕生日が2ヶ月後だと公式で判明しましたのでその日にWEBオンリーやります!と言っても良いのです。そう考えると、推しカプを盛り上げたいという方にはぴったりのイベントなのではないでしょうか。

プチオンリーといえば、参加者向けの企画やアンソロの発行がメインで行われているイメージがありますね。しかしそういった花形企画を立てるのと並行して、事務手続きを行わなければなりません。
プチは赤ブーブー通信社のイベントの間借りでやらせてもらうので、ある程度の内容は事前に赤ブーブー通信社へ申請しておく必要があるのです。イベントバナーの掲載、プチ参加サークルの隣接配置の依頼、大看板のイラストデータの入稿など、項目ごとに申請期限が決まっているので、期限までに細かな手続きをこなすスケジューリング能力が必要です。何か落とすと当日、周りのプチと比較されてしまうので精神的に辛いと思います。どのような理由があろうとも、申し込み遅れには絶対に対応してもらえないとの話です。
脅しのようになってしまいましたが、プチは遅くとも6ヶ月前くらいから準備・告知をしていくのが通常の流れです。極道入稿スタイルで行かなければ締め切りには十分に間に合うと思います。
また、サークルリストやサークル地図の作成、印刷所への支援申請など、サークル・一般ともに参加しやすい環境を作ることも主催には求められています。究極的にはやらなくても良いことなのですが、せっかくプチを開いたのなら色々工夫した方が参加者も主催も楽しいと思います。
ちなみに、花形であるアンソロ発行をプチ主催と同時に行おうとすると主催の作業量は倍以上になります。事務手続きよりも人とのやりとりの方が時間がかかるので…。どちらの主催も初めて挑戦する、という方にはあまりおすすめできませんが、自身の新刊を諦め、アンソロの内容を工夫すればやれます。完全依頼制で参加人数を絞れば、主催1人でもなんとか編集・入稿できました(経験談)。その時には表紙イラストを好きな絵師さんに、ロゴと表紙デザインを同人誌デザイナーさんに外注し、それ以外は全て自分で作業しました。入稿後に寄稿作品内で性器の修正漏れが判明し、畏れ多くも修正させていただいたのは良い思い出です。
忙しすぎて辛かったので、もう一生プチとアンソロを同時並行でやるもんかと当時は思いましたが、現在準備中のプチでも同時並行でやってます。愚かですね。しかも今回のアンソロは公募制、参加人数もかなり多いものを作ろうとしています。なぜ大きく出たかというと、アンソロの編集・デザインを手伝ってくれる友人を何人か捕獲しているからです。友人たちには頭が上がりません。
イベント主催は人手を見つけることが全てを解決します、お金のこと以外であれば。

個人主催はまず会場の選定から始まるのが難しいポイントです。そもそも同人誌即売会を受け入れて貰えるのかという問題があるのです。ですので、基本的には他の個人主催即売会の方の告知サイトを見て会場を検討することになると思います。そんなこんなで会場を決めたら規約を一から考えなければなりません。私の場合は支払い方法をどうするかで悩んだおぼえがあります。イベント開催のだいたい1年前くらいからそういう準備をし始めました。
個人主催はとにかく自分で決断しなければならないことが多く、金銭のやり取りが様々なタイミングで発生するため、難易度が高いと思います。しかし難易度とやりがいは比例します。イベントにやって来た参加者さんに「開催ありがとうございます!」と言われると、やって良かった~~~!!ってなります。人と関わるのが好きな方であれば、個人主催は一度やってみても良いのではないでしょうか。
また、独自性の高いイベントを計画するならば個人主催一択です。
WEBオンリーはサーバーや運営サイトの規約・仕様に縛られていて、プチオンリーは赤ブーブー通信社の規約に縛られます。何か明確なコンセプトがあったり、変わった企画を作りたいと考えているならば、個人主催即売会がおすすめです。もちろん、会場の規約には従う必要があります。
企業主催イベントのせわしなさが苦手で、ジャンル内でまったりとイベントを行うために個人主催即売会をやるという人もいます。ただ、まったりと言いながらも主催は全然まったりしてる場合じゃなかったりします。そういったコンセプトの場合、小規模ジャンルであれば即売会ではなく、オフ会ついでにコピー誌交換のような企画が負担が少なくてやりやすいと思います。

参加者同士の交流のしやすさ

薄い WEBオンリー < プチ < 個人主催 濃い
WEBオンリーはどうしても短い文章のやり取りのみになってしまうので、思いの丈をお互いに語り尽くすにはとても時間と文章量が足りません。
その点、プチ個人主催ではスペースでの会話の他にアフターや前夜祭を行うことが出来るので参加者同士の交流は一気に深まります。
ただしプチオンリーは必ずしも参加サークルのスペースを固めてくれる訳ではない(赤ブーブー通信社の配置は受け基準のため、例えば攻めプチオンリーを開催した場合には完全にバラバラになります)ので、イベント中の交流を重視するのであれば個人主催が一番です。
絶対に推しカプだけの空間をつくりたい、という方はどう考えても個人主催を行うのがベストです。次点でWEBオンリーでしょうか。
もうひとつ、WEBオンリーのメリットはイベント会場に行けない方とも交流ができる点にありますが、イベント外でも各種SNSで簡単に交流ができますから、そこまで大きなメリットとは言えない気がします。

新刊期待度

低い WEBオンリー <<< プチ・個人主催 高い

推しカプの新刊が欲しくてイベントを主催するのならば一番気になるポイントです。
感染症が蔓延している時にはWEBオンリーでもたくさんの新刊が発行されましたが、今はそうでもないです。もっと言えば、展示がされてないままスペースが放置されていることもよくあります。
参加を決めやすいということは、辞退も決めやすいということ。新しい作品を展示してくれるだけでもありがたいことなのです!
主催が率先して新刊を出すアピールを行っていれば、一緒に頑張ってくれるサークルさんがいるかもしれません。また、リアルで開催されるジャンルオンリーとなるべく日程を離すことでも期待値が高まります。
とはいえWEBオンリーは参加の気軽さが大きなメリットですから、求めすぎてはいけません。気軽に印刷費や新刊の制作時間を捻出できる人なんていませんよね。新作を出してくださる神々に感謝。

一方、プチ個人主催の場合は参加する段階で覚悟が決まっているサークルさんが多いので新刊を出してもらえる可能性が高いです。推しカプのめでたいイベントなので新刊出しました、と書いてくださる方もいて、本当に感謝感謝感謝しか言えません。
プチオンリーは自ジャンルのオンリーと併設ですので、他のカップリング目当ての人が一緒に手に取ってくれるという理由もあり、頑張って出してくださる人が多い印象です。
個人主催の場合、気を遣っておきたいのは印刷所の手配です。プチは申請しなくても赤ブーイベントのくくりで特典をつけてくれる印刷所が多いです。会場まで直配してくれる印刷所もあります。しかし個人主催イベントは主催が事前に申請しないとイベント特典はつきませんし、送り先の準備(そもそも会場で受け入れてもらえるか)も必要です。場合によってはサークルさんに予定外の出費を強いることになりますので、注意が必要です。


随分と長くなってしまいましたので、一度ここで区切ろうと思います。後編ではお金の話とイベント主催の注意点を書いていきたいと思いますが、何か他にも比較して欲しいというものがありましたら教えてください。それでは。

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