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今シーズンを終えて

みなさんこんにちは。いかがお過ごしですか?

先日は大きな地震があり、余震を心配している方も多いと思います。私が住んでいる宮城県は特に揺れが強かったので、地震の最中もその後もかなりの恐怖感がありました。去年の2月の地震でものが壊れたりしたおかげで色々と気をつけていたので、部屋の中は大丈夫でしたが、さすがに私も動揺してしまいました。翌日にはリハーサルが中止になり、どうなることかと思いましたが、コンサートはその後2日間無事に開催。不安な中でも大きなソロをしっかりと演奏することができ、終わったあとには演奏家としての自信をまた少し持つことが出来ました。

さて、今月は山形交響楽団と仙台フィルハーモニー管弦楽団の合同演奏会があり、ワーグナーの前奏曲、愛の死とマーラーの交響曲第5番を演奏しました。山形交響楽団の皆さんと一緒に演奏するのはとても楽しかった!昔からよく知っている方たちと、信頼感を持ってお互いに切磋琢磨しながら演奏できるのはとても有意義な時間です。

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ワーグナーのオペラ「トリスタンとイゾルデ」の第1幕の前奏曲と第3幕の最後のシーンは、今回のように演奏会で独立して演奏されることがあります。もちろん本来のオペラには歌があるので、その違いを聴き比べるのも面白いですし、歌には歌詞があるので、イメージをさらに広げることができます。

約4時間のオペラの最後の場面。最愛のトリスタンを失ったイゾルデはショックのあまり呆然自失となり、最後は悲しみと苦悩を超越し、純粋な愛を歌いながら彼女もまた天に召されていきます。

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Eからこの曲の最後までの2番クラリネットのパートはとても重要です。ヴァイオリンとともに上行していく半音階は、天国のトリスタンに近づいていく高揚感に溢れているし、最後の段(1stオーボエと1stフルートと一緒)のメロディーには、死によってついに得ることの出来たイゾルデの心の平穏と幸福感を感じることができます。150年以上前に作られた曲から何かを得たり学んだりできたとき、私はいつも音楽の偉大さを感じるのです。

パンデミックが始まってから2年が経ちました。世界ではさまざまな規制が撤廃されてきていて、日本ももう出口に近づいているように感じています。コロナが終わっても世界はさらに混沌としていて、未来がどうなるのかわかりませんが、今私にできることは音楽家としてもっと成長することと、毎日をできるだけ楽しく幸せに過ごすことです。私たちが通り抜けた長いトンネルの先には、きっと美しい世界が広がっているはずです。



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