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だから僕は歌を作るのだと思い当たる

2024年5月3日の朝、今朝。夢をみた。そのことを書き留めておこうと思い久しぶりにnote開くと、2022年12月頃の下書きと出会った。忘れていたけれど、忘れてはいけないような気がしたので、ここに置いておこうと思う。読み進めるうちに今朝の夢の熱も下がり、今度はそれが下書きに眠ることになりそうだ。

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12月26日は今年3度目のライブをする。場所は東京の高円寺にある座・高円寺というホールで、普段は演劇などが多く行われる場所だ。実はFIELDSというイベントの第二弾の為に抑えたのだが、スケジュールの都合やらもあり、巡り巡ってレコ発ライブをすることになった。

今年は1月に「Embankment」、そして今月21日に「Little Bug」、1年に2枚のLPがリリースされることになる。過去最高にライブが少ない状況だが、作品発表は過去最速のペース。この極端さに自分でも驚いているが、まぁそうなるよな、とも思ったりする。

今はライブに向けて演奏のクオリティーを整える日々。例えばこの状況でアルバム制作も並行するとなるとかなりキツい。ただ、目指すところはライブのように録音をすることなので、そのバランスの取り方は今後の課題でもある。

この2年間のライブを数えてみると10本以下。それだけ制作に費やす時間を作れたのだと思う。毎日スタジオへ行くけれど、何かが生まれる日もあれば何も生まれない日もある。他の音楽家の録音に立ち会えることも、いい刺激になっている。

実のところ、音楽家としての僕を育ててくれているのは、録音エンジニアとして関わるミュージシャンの皆さんに他ならないと、そう思っていたりもする。かれこれ15年くらい、たくさんの人たちの演奏を見させてもらい、学んだことは数知れず、それは演奏クオリティーだけではない、時間を記録する行為に向き合う人の意識体というものに触れさせてもらったことだったり、まだ言葉に消化できないものも沢山あるだろう。

初めは自分の為に身につけたことがいつの間にか人の役に立っているという実感は、実のところ自分が作る歌とか作品よりも、録音技師をしている時の方が今は大きい。でもふとした時、もしも録音エンジニアをしていなかったもう一つの人生についても考えたりする。そんな沢山の’’もしも’’を振り切って、これまでの全てに感謝を向ける。

本当は今すぐにでも、この国を飛び出したい。海か、もしくは山のある街、川でもいい、荒野でも、何でもいいから心が惹かれるもののある風景のある街で暮らしてみたいと思ったりもしている。新しい言語に困り果てたり、五感に耳を澄ませたい。それをしない自分に、理解と納得が行ったり来たりしながらまた明日が来る。

一体、何の為にライブをするのだろうか。考えれば、それらしいことが浮かぶ。そのどれもが本質を問いただせば、自分で自分を打ち負かすだけの威力を持っている。それでも’’やる’’という決断をすることは、やらないという選択肢がもたらす''無''  という状態をきっと何よりも恐れているのだろう。そうやって、前に進む。諦めて、前に進むという道を選んでいる。それが僕なりの、今の歩みだと思う。

あの人が生きていたら。そう思うことがある。僕はいつだって自分で決めたことなど無かったとすら思える。選択をしていただけに過ぎないような気がしてくる。しかし、選択肢を選択肢として認識すること自体を自分で決めることだと定義するのであれば、それはそれで自分で決めたことになるのだろうか。決定と選択の違いを延々と考える。そんな言葉の深度の中でいつも彷徨い、全てが逆相の波形で打ち消し合う思考の波に浮かんでいる。

歌声紀行として始めたnoteも、歌のことには触れなくなった。日々発見がある度、過去の発見を打ち消し、更新が絶え間ないので、書けなくなった。結局何が正解なのか分からず、人にひけらかすものではないと思うようになった。そんな時、量子と出会った。この世界の先端を行く学者たちの今持っている答えは「わからない」だった。発見を繰り返すほどに広がる未知に共感をして、言いようのない安堵を感じた。人の歌声に今僕が言える最新の答えも同じだが、あえて言えば上唇鼻翼挙筋を鍛えることが今のトレンド。ただ、歌は、気持ちが宿っていたらそれで良い。それに勝るものは無い。

人は少なからず、自分を騙してしまう。しかし騙すことが悪いことだろうか?と最近思う。自分で自分を騙すことは時に必要だ。そして発見の向こうにあることが、発見を否定する類の発見なのだとすれば、騙したと感じたその先にあるものを見てみる他に、それの是非の所在は明らかではない。

考えをまとめようとすると、考えがまとまっていないことに気が付く。

そして、だから僕は歌を作るのだと思い当たる。

少ない言葉にメロディーが乗る。

言葉の背景は自由で、更新してゆける。

そんな歌を僕は作っているのだと思う。

その日、その時に舞う思考を泳ぐのみ。



12/26(月) 高円寺 座・高円寺2
開場18:00 開演19:00
前売 ¥4,500 当日¥5,000(自由席、当日先着順)
ご予約 ZAIKO https://puffin.zaiko.io/item/352260
イープラス URL https://eplus.jp/sf/detail/3761680001-P0030001
チケットぴあ URL https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2240653 (Pコード 231467)


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