音咲うた

オートマティズムや一次創作のSSなどを投稿していく予定。

音咲うた

オートマティズムや一次創作のSSなどを投稿していく予定。

マガジン

  • ゆるうさもっちーかんさつにっき

    百福堂さまが作るぬいぐるみ「ゆるうさもっちー」の写真から生まれる物語を綴ったもの。 ベリーショート。

  • アクアリウムを忘れない

    「アクアリウムは踊らない」の二次創作。 レトスズ多め。

  • 紡詠

    オートマティズム。 出てきた言葉を台本風な形で紡いでいきます。 ジャンルは様々。 その時でてきた言葉をそのままの形で。

  • Sucreries de Lapin

    お菓子のお店「Sucreries de Lapin」…通称しゅくらぱのクロエ店長と3人のシェフ、6体のドールが織り成す、ほんわか日常物語。 ほんのり百合要素含みます。

  • Stellar Magic

    友人との共有創作「Stellar Magic」の登場人物の日常を垣間見たりするところ。

最近の記事

海がみえるよ

あら?電車の中にみつばち……いえ、みつもちとにゃんばちがいますね。 のぞいてみましょう! 「みつもち、あれなあに?」 「海っていうんだよ。きれいでしょ?」 「うん。とてもきれい。」 でも…とみつもちは続けます。 「海を初めて見たとある詩人は、『青くなんかなかった、ただまぶしすぎるだけ。大きくなんかなかった、ただ途方もないだけ。』と言ったらしいよ。」 「たしかにまぶしいね。きらきらしてる。でも私は好きかな、海。」 「うん、ぼくも海は好きだな。」 そう言って2ぴょんは電車に

    • 夜桜ひとひら

      月のともしびも 星のかがやきも 泡沫に消えて 空から色彩を奪う 言の葉も 内緒話も 君の笑顔もあくびも おやすみとともに ぼくのもとを去る 時代はいつも諸行無常で 移りゆく季節とともに 新しい風が心を過(よ)ぎる 桜舞うこの季節に 行き交う出会いと別れに 一縷の感謝を

      • ぽっかりぽっかり

        ぽっかりと小さな穴 最初ははほんとに小さな穴 水が流れて 風にさらされて いつの間にか大きな穴 人間は塞ごうと 必死に必死に頑張るけれど 穴は大きくなるばかり 心に穴が空いた

        • ビターな記憶に甘い温もりを

          「レトロ、本当に行きたいところはないの?」 朝起きてまだ布団の中。 あの一連の出来事から数年、私はレトロと2人暮らしをしている。 「スーズと居られれば私は満足なのだ。」 「あの大佐がねぇ、そんなことを言うようになるとはねぇ。」 「あの時は仕方なかったのだ。それにいい加減その呼び方辞めれないのか。」 「え。だって大佐みたいな服着てるし。」 「趣味だ。」 「ならいいじゃん。」 「辞めろと言っているのだ。」 「きゃっ…。」 レトロが私に覆い被さる。 「大…佐?」 「ほう、こ

        海がみえるよ

        マガジン

        • ゆるうさもっちーかんさつにっき
          1本
        • アクアリウムを忘れない
          1本
        • 紡詠
          2本
        • Sucreries de Lapin
          1本
        • Stellar Magic
          1本
        • Another Song Story
          3本

        記事

          Prolog

          「クロエさーん!」 カトリーヌの声がする。 ここはお菓子屋『Suicreries de Lapin』通称『しゅくらぱ』である。 私クロエは、サークル時代の後輩3人を巻き込んで経営している店長だ。 「クロエさん、お菓子見に行く予定でしたよね?」 そういえばそうだった。 「アドちゃんとエメちゃんも待ってますよ。」 エメリーヌ、アドリーヌ、カトリーヌ、この3人が私後輩だ。 「おまたせ。」 「クロエさんから言ったんじゃないですか。まあ、いつもの事なので慣れましたけど。できたお菓子

          心というもの

          私はEspoir Choirの指揮者をしている。 団員6人と私一人の少人数アンサンブルだ。 ソプラノにマリィとルシィ、メゾソプラノにソフィとジュリィ、アルトにシルヴィとリリィと各パート2人ずつの、比較的バランスのいい合唱団ではある。 今度の合唱祭に向けて、練習をしているのだが、人間というのは非常に難しい。 「はい、今日はここまで。各パート課題があると思うから、それを忘れないように。それではお疲れ様でした。」 そう、人間は難しいのだ。 「自動人形だったら音のピッチも完璧な

          心というもの

          ラプンツェル

          春を待つ胸が苦しいのだ 僕は失った。それはとても大切な存在を。 「愁くんまだー?」 僕を呼ぶ彼女の声。 その声に手は届かず、ぼくは彼女を探し続ける。 またこの夢だ。 どこか懐かしいような声。思い出せない。何かを忘れている。 2月。スギ花粉が飛び始めて、春がすぐそばまで来ている……ともいかす、辺りはまた雪景色だ。 この夢を見る度に、僕は苦しくなる。何かを待っているような、待たせているような。 「いい加減、思い出してよ。もう、3年経つんだよ。」 苦しい。トラック

          ラプンツェル

          泥中に咲く

          君を照らすために咲く花さ 「ふぅ。」 私はそっと本を閉じる。 ここは病院。生まれつき体が弱く、入退院を繰り返している。 「ひーいーらーぎーーー」 元気に私の名前を呼ぶ声がする。……厳密に言うと彼女も患者なので元気ではないけれど。 「柊!私も戻ってきたよ。」 「戻ってきてどうするのよ。また倒れちゃったの?そんなさけんじゃだめでしょ?」 「あっははは……。まあでも柊がいる時でよかったわ。あんたいないとやっぱり寂しくてさ。」 彼女も入退院を繰り返しており、入院歴は長い。

          泥中に咲く

          夜明けと蛍

          水に映る花を 花を見ていた これは、まだ暑い夏が来る、その前のお話。 「何を見てるんですか?」 女の人はそう話しかけてきた。 僕は一瞬だけ声の方へ視線を移したが、また湖へと戻す。 すると彼女はあろうことか、僕の隣へと腰掛ける。 「私はあそこに浮かんでいる花を見てるんです。いつまでも枯れないなと思って。あなたは、よくここに来られてますよね。」 内心驚きながらも、僕は答えない。いや、座る場所を移動することで、拒絶という答えを出した……はずだった。 「あなたは毎日、何を

          夜明けと蛍