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AIの未来を占う!NVIDIA破滅の前兆②

みなさん、こんにちは!

米国株式義塾です。「AIの未来を占う!NVIDIA破滅の前兆」第2回です。
今日は、「米国株式義塾」の購読者の皆さんに興味深いと思ってもらえるテーマを持ってきました。

第一回はこちらから


本連載では、AI関連の市場で耳にすることも多い超大型株、NVIDIAを取り上げます。

市場の注目を集める超大型株を記事に取り上げるのは怖さもありますが、先日のNvidia(NVDA)の暴落に関連し、AI産業全般についてのインサイトを3回に分けてご紹介します。

今回のNVIDIA(NVDA)の実績を見ると、売買しなければならない時、すべて売って去るべき時が分かるようになります。



先日、NVIDIAの株価が床が抜けるように突然10%暴落しました。これは恐怖に近いです。この恐怖の中でなんとか奮い立たせて買うことは少なくとも短期的に正しいと思われ、おそらく反騰を与えるだろうと思います。だから短期的にはロングコールを叫びますが、今日言いたい内容はこれではありません。

汎用AIビジネスバリューチェーンの考え方 - NVDAの売上に集中してみてみよう

AIにあるもの、ないもの、マージン率が高いもの、ないものなど多様

要約

まずは、要約から始めます。
NVIDIAの売上高は今が最も高いと考えられる。

  • NVDAは現在売上のピークに近づいた状態だと考えられる。長期的にショートポジションを取るべきである。

  • AIで新たに売上を作り出せそうな企業はロングポジションで投資し、バブルがクラッシュした後に再び投資する。

株式の価値を評価するには2つの方法があります。一つ目は、株式を財務的に判断し、市場状況、財務状況から、現在の株価が高評価なのか低評価なのかを見る方法です。これは私たちがよく知っているアナリストのやり方だと思います。

二つ目は、株価が反映している、未来に対する期待を見て、これが技術的、産業的に可能かどうか、逆にバブルかどうかを判断することです。実業家のやり方だと思います。

前者の方法で見ると、NVDAはバブルとまではいいきれないでしょう。現在AIセクターのリーディングカンパニーであることから考えると、PERがものすごく高いというわけではありません。

Google:株式収益率(PER)

現在、NVDAのPERは約69ほどですが、2000年代の初めのドットコムバブル当時、シスコシステムズ(CSCO)は200まで行きました。

Bloomberg

この時もブルームバーグはありましたね。 PERの数値はとても印象的です。
non-techとS&P 500のあまりにも常識的なPERも印象的ですね。


後者の方法で見た場合にはどうでしょうか?後者の方法で見ると、ピークに近づいている様子が見えると思います。つまり、今後上昇よりも下落に賭けるのが長期的に正しいと思います。つまり、私の見方を要約すると、短期的にはロング、長期的にはショートです。私たちがなぜそう思うのかを説明します。

「すべてのアメリカのオフィスの労働者をAIに置き換えるとしたら?」
この極端な仮定で、NVDAができるだけ多くのお金を稼ぐとしたらどれだけ稼げるかを計算しましょう。

NVDAの取りうる最大の売上を算定してみよう

米国全体のオフィス人口を置き換える場合...

まず、NVDAがすべての産業分野ですべての労働者を置き換えるとしたときにNVDAが稼げるお金を計算してみましょう。
現在、米国のフルタイムで働く労働者数は1.32億人、全体の賃金は2兆ドル程度です。
今、AIが人を完全に置き換えるとした時、企業を3種類に分類して考えることができます。

  • (1) 最終的にAIを使用する顧客企業: AIで人を代替する

  • (2)AIサービスプロバイダ:企業(1)にAIシステムを提供する

  • (3) インフラ提供者: 先ほど説明した 企業(2)に AI の開発と研究のための半導体やインフラを提供

ちなみに企業(2)にはOpen AI、Microsoft(MSFT)などがあり、
企業(3)にはパワーユーティリティ会社やNVDAがあります。

ここで(1)に属する企業の既存の人件費の支出の総和が2兆ドルだと見れば良いのです。そうすれば、AIの需要が最も高いと仮定した時(2)に属する企業が稼ぐことができる売上の限界もちょうど2兆ドルです。

このとき、(2)に属する企業が払わなければならない費用にはなにがあるでしょうか?

重要な部分だけを見るならグラフィックカード(ビデオカード)を買って使う費用、電力などの光熱費、エンジニアの雇用による人件費などがあるでしょう。その 売上と費用の差がこの(2)に属する会社の営業利益であるとざっくりと計算することができます。

その営業利益が+にならなければAIビジネスは成り立ちません

今(3)に属する会社はNvida(NVDA)です。今回のサイクルの中で、NVDAがほぼ唯一のAI半導体プロバイダであると仮定し、前述の3種類の産業界に何が起こりそうなのか計算してみます。

(1) 最終顧客会社: 人員が減りコストが削減される(2兆ドル*代替率)

(2) AIサービス提供者の売上: 節約した費用から一定の手数料を受け取る。つまり売上は最大2兆ドル*代替率*手数料率。ここでは単に節約した費用の半分を受け取ると仮定して、1兆ドルが上限となる。

(2) に属する会社が出す費用=グラフィックカード費用+電力+エンジニア人件費+その他の雑費

現在(3)に属する会社であるNVIDIAのグラフィックカード価格*売れた個数=(NVDIAの売上)

もちろん、NVIDIAがグラフィックカードだけを持ってお金を稼ぐのではありませんが、今のようにAIを学習するためのグラフィックカードの需要が天井にぶち当たったときは、グラフィックカードが事実上売上で非常に大きな部分を占めることになります。


図に表すとこのような感じです。
上記の仮定で、NVDAに最も有利な式での計算をしてみます。
計算は長くて複雑なので、面倒な方は途中の部分はお酒でも飲みながらざっと見て結論だけ読んでもOKです!


  • Llama3というLLMの場合、H200グラフィックカード8枚で2,400人のユーザーに対応することができる

  • 非常に簡単に計算して、これでアメリカの労働者がやるべきことをすべて賄わなければならないと仮定

  • 米国全体の労働者の数は約1.32億人だから、約44万枚のH200グラフィックカードが必要

  • このグラフィックカードの枚数は、莫大な数というわけではありません。既にマイクロソフトが18万枚、メタが35万枚を保有していて、理論上はアメリカの全労働者を置き換えたとしても対応できる

  • H200グラフィックカード1枚=4万ドルとすると、44万枚なら176億ドル

  • 実質的にはこれの5~10倍程度かかると見るのが適切で、米国の労働者全体をAIに置き換えるシナリオの場合、880~1,760億ドルほどかかる

現在、NVDA四半期ごとの売上が200億ドルなので、「理論上」今のNVIDIAの売上は既に上記のシナリオの額を超えていますね。理論上の米国の全オフィス労働者を置き換えたときの売上高を既に達成しています。(この数字は米国の全体労働者で計算した数字なので、オフィス労働者ははるかに少ないと考えられます。)

こうして簡単に計算してみると、NVDAは売上高の最高点にはかなり近づいてきたといえるかと思います。ただし、現在は、ビッグテックの企業間の競争やAI業界の過熱のため、今後NVDAグラフィックカードがより売れるだろうという見通しが反映されていると考えられます。


ここで、2つの私の考えを述べようと思います。


  • おそらくAIについてはもっと投資が行われるだろう。実質的に人員の代替を完全にAIによって実現できるかはまだまだ見守らなければならないが、明らかに削減できる部分はあると思われる

  • 上記の計算はホワイトカラーの事務所の労働者に関連する部分のみから算定したものなので、新事業がAIによって創出されれば、そこでさらなる需要を考えることができる。ただし、AIの市場規模に比べて、新事業の大きさが大きいかどうかについては、少し懐疑的にならざるを得ない。

このとき企業(2):AIサービスプロバイダはどれくらいの利益を得られるでしょうか?
マイクロソフト(MSFT)、Open AIのような競合他社がお金を稼ぐことができなければ、NVDAのグラフィックカードは売れるでしょう。

(2) AIサービスのプロバイダの売上: 顧客企業が節約できた費用から一定手数料を受け取る。つまり売上は最大2兆ドル*代替率*マルチプル。ここでは単に節約した費用の半分を受け取ると仮定して、1兆ドルが上限になる。

(2) に関連して会社が出す費用=グラフィックカード費用+電力+エンジニア人件費+その他の雑費

これをもう一度読み直しましょう。 (2)の売上がコストより高くなれば、(2)が儲かるでしょうし、(2)に供給されるべきNVDAグラフィックスカードは売れ続けるでしょう。 アメリカの全人口をAIに置き換えるという極端な仮定で、必要なH200グラフィックスカードは300万枚とします。

H200 1枚当たりの消費電力を0.7kW、電気料金は0.1ドル/kWhと仮定し、300万枚を1日10時間使用すると年間300万*0.1*0.7*365*10=7.6億ドル(累進税を考慮していないため少なく算出されている)

エンジニアの人件費に関連する数字は変動が大きいのだが、おおよそ解雇されるであろう人、1,000人分のAIを管理するメンテナンスエンジニアの1人当たりの年収を15万ドルとすると、年間15万ドル*13.2万ドル=198億ドルとなる。

電気代は非現実的な数値ですが、エンジニアの給与は少し現実的な数字です。ビッグテックの研究開発費の大部分はこうした人件費なのです。
ということで結論は!

(2) に属するすべての会社はこうして数百億ドル規模のいろいろなものをすべて合わせておよそ400~1,000億ドルのコストが必要になると見られます。最悪の場合を想定してコストが1,000億ドルまで上がると仮定します。

米国のすべての労働者を置き換えることができなくても、少なめに見積もって20%の事務所労働者はAIが代替できるとすれば、(2)に属する会社が稼げるお金の上限である1兆ドルからそれだけを差し引いた2,000億ドルを稼ぐことができます。


CNBC News

当然(2)に属する会社、マイクロソフト(MSFT)、グーグル(GOOGL)、Open AIなど少なくとも10を超えるビッグテックがこの中でパイを分けあうことになります。

ここで参考までに一つお伝えすると、MSFTは現在、Copilotで年間100億ドルの売上を2026年まで追加することを目標にしています。先ほど算出した数値もあながち外れていないことが分かりますよね。

とにかく(2)に属する会社が稼ぐお金をすべて合わせれば費用を除いても1,000億ドルが残るのです。現在、NVDAの1年の売上が1,000億ドルに近づきつつありますが、(3)に属するNVDAが、先ほどの試算で出した、代替される可能性のある労働者がすべてAIに置き換えられたときに(2)に属する会社が稼ぐはずの金額を稼いでいるということになります。ちょっと、今後NVDAこれ以上売上を伸ばせるのか疑念を抱かざるをえません。


だから第一回の結論はこうです。

  • AIをでオフィス労働者を置き換える産業はお金を稼げる

  • NVDAの売上はすでにほぼピークに近い

  • 競争はまだこれから起きるところであり、速やかではないけど、長期的に見るとNVIDIAの売り上げよりは落ちるだろうと見るのが妥当だ

推論の計算式が複雑で理解しにくいかもしれませんので、
ご不明な点はコメントでお聞かせください。

それではすぐに第3回でお会いしましょう。
第3回ではどんな話が繰り広げられるか、お楽しみに!


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