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わんちゃんが旅立ち子どもがペットロスに…大人ができるケア方法は?

◎ペット終活アドバイザーの資格保有者執筆◎

大切な家族であるわんちゃんが天国に旅立つと、遺された家族には深い悲しみが訪れます。そしてペットロスに陥る飼い主様も多いのですが、それは幼い子どもでも同じです。

そこで今回は、ペットロスカウンセラーとして活動する筆者の視点から、子どものペットロスをケアするために、周囲の大人が注意したいことや事前にできることについて、詳しくご紹介していきます。ぜひ、参考にしていただけると嬉しいです。

子どものペットロスについて

わんちゃんは単なる「ペット」ではなく、大切な家族の一員」です。 ご家庭にもよるとは思いますが、幼いお子さんと一緒に過ごしてきたわんちゃんであれば、お子さんにとっては「きょうだい・しまいのような存在だった場合も多いでしょう。

中には、死というものをまだ理解できていない年頃のお子さんもいるでしょうし、わんちゃんの旅立ちは私たち大人の想像以上にお子さんの心にとても大きな傷をつくるのです

では、子どもがペットロスに陥ると、どのような症状や行動が見られるのでしょうか?

子どもに見られるペットロスの症状

「ペットロス」と一言に言ってもその人によって症状はさまざまですが、子どものペットロスでは以下のような症状が代表的です。

●食欲がない
●泣くことが多くなる
●発熱
●下痢や便秘
●眠れなくなる など…

大人のペットロスと同様に、わんちゃんが亡くなるとお子さんの心にも大きな衝撃が加わります。そのため、自律神経が乱れて熱が出たり、消化器官に影響が出て下痢や便秘を引き起こしたり…という症状が見られるのです。

また、中には「自分が悲しんでいたらお母さんやお父さんまで泣いてしまう」「天国に行ったわんちゃんが心配する」など、無理に強く振る舞うお子さんもいるでしょう。わんちゃんや周囲の人を気遣えるような優しい心を持っている点はとても素晴らしいと思います。その一方で、無理をするとペットロスを長引かせてしまう危険もあるので注意が必要です。

親御さんはお子さんの様子をよく観察し、これからお話することを一緒に取り組むようにしてみてください。

周囲の大人が心に留めたい2つのこと

ここからは、お子さんにペットロスの特徴が見られた際、周囲の大人が心に留めておきたいことについてお話します。

【心に留めたいこと①】「泣いてもいい」と伝える

わんちゃんが亡くなりずっと泣いているお子さんを見ると、親としては心配になってしまいますよね。そうした親心から、つい「ずっと泣いていると天国の〇〇が悲しむよ」や「泣いていたって仕方ないでしょ?」などと声をかけてしまう人も多いのですが、これはできれば避けたい言葉です。

大人でもそうですが泣くことは決して悪いことではありません

特に子どもの場合は、泣くことによって気持ちの整理をつけようとしている場合もありますので、無理に泣くのを我慢させてしまってはペットロスの深刻化にもつながります。

ペットロスに陥ったお子さんに対し、周囲の大人は「泣いてもいいんだよ」と優しく声をかけてあげましょう。わんちゃんが旅立って悲しいのは自然なことなのですから、お子さんも親御さんもきちんと悲しむことが重要です◎

【心に留めたいこと②】「死」を無理に誤魔化さない

わんちゃんが亡くなった後、「死を理解していない子どもへの伝え方に悩む」という飼い主様も多いでしょう。ご家庭の方針によってもさまざまな考えがあるかもしれませんが、ペットロスカウンセラーの立場から言うと、無理に誤魔化さずきちんとわんちゃんの死を伝えるのがベストだと思っています。

と言うのも、無理に「死」と言う直接的な言葉を避けようとして誤魔化していると、子どもはかえって混乱します。中には「自分が悪い子だから、わんちゃんが出ていったのかもしれない…」など勘違いをしてしまい、傷がさらに深くなるケースもあるのです。

幼いお子さんに「死」を100%理解してもらうことは難しかったとしても、誰のせいでもないことやわんちゃんが一生懸命に人生を生き切ったことなどは話してみましょう。お子さんも徐々にわかってくれるかと思います。

実際に、筆者自身も愛犬を亡くした時、子どもたちはまだ1歳と4歳でした。「正直に伝えてもいいものか」と悩みましたが、何も隠さずに4歳の娘には「〇〇は死んじゃったの。もう一緒に遊べないんだよ」と、泣きながら伝えました。娘もはじめは泣いていましたが、私と一緒にたくさん泣いたことによって、思いのほか早めに心が落ち着いたようでしたよ。

どんなに大切にしていても、命あるもの、死は必ず訪れます。

お子さんに命の尊さをわかってもらうためにも死は無理に誤魔化さず周囲の大人はお子さんの心に寄り添い一緒に悲しむようにしましょう

深刻化させないため、事前にできる2つのこと

わんちゃんが旅立った後、お子さんのペットロス軽減のためにできることをお話しました。 実は、亡くなってからはもちろんですが、わんちゃんが亡くなる前でも深刻化を防ぐためにできることはたくさんあるのです

最後に、子どものペットロスを深刻化させないために事前に準備できることをご紹介します。

【事前にできること①】ペット終活を家族で行う

人でも人生の終わりのための活動、いわゆる「終活」を行う人が増えていますよね。わんちゃんでも同じで、終末期の生活の質を向上させるため、そして遺される家族のペットロス軽減のためにも「ペット終活」をすることがオススメです。

ペット終活にはさまざまな種類がありますが、お子さんも一緒に取り組みやすいもので言うと“思い出ノート”の作成が良いかと思います。これまでの思い出や「残された時間にわんちゃんに何をしてあげたいか」などをノートにまとめてみましょう。写真やお子さんのイラストなども入れてみるのもいいかもしれません。

思い出ノートはわんちゃんの終末期に活躍することはもちろん、亡くなった後に見返すと飼い主様やお子さんの心の拠り所にもなってくれるかと思います。ご家族で、少しずつ作り上げていってくださいね。

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家族で考えたいわんちゃんの終活|終活の内容と大切なポイントとは?

【事前にできること②】「死は終わりではない」と伝える

伝え方や時期に悩むものの、「命あるもの、いつかは死んでしまう」という事実は、お子さんにも知ってもらわなければならないことです。

わんちゃんが旅立つ前、そして旅立った後にも、周囲の大人はお子さんに対して「死は悲しい出来事だけれど決して“わんちゃんの人生の終わり”ではない」ということを伝えてあげましょう。

わんちゃんが死んでしまってもあなたとの楽しい思い出はずっとなくならないよ」「これからもずっと、わんちゃんのことを大切に思っていようね」と、わんちゃんの死によってお子さんが抱く不安を、少しでも取り除いてあげることが大切だと思います。


ペットロスは悲しくつらいものですが、それもすべて飼い主様やお子さんがわんちゃんを心から愛していた証拠です。

無理に元気づける必要はありません。周囲の大人の方は、お子さんと一緒に悲しむ時間も大切にしてくださいね。そして少しずつ、わんちゃんがくれた大切な思い出や感情に「感謝」できるようになることを祈っています。

●ライター:松永由美
2級愛玩動物飼養管理士・動物健康管理士・動物介護士・ペット終活アドバイザー・ペットセラピスト等の資格を保有
●編集:うしすけチーム

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