結局、簿記って必要なの？

大学に入ったときに簿記という勉強に出会う人、就職先から内定をもらい内定課題として簿記の取得を課されている人、就職後に経理に配属が決まり、簿記の取得を促されている方々。さまざまな方が簿記に触れる機会があるかと思います。簿記の重要性を紐解いていくことで、皆さんのキャリアップに少しでもお役に立つことができたら嬉しいです。

1. 簿記の歴史

簿記は、商取引の記録を行う技術として古代から存在しています。その起源は古代エジプトやメソポタミアにまで遡りますが、現代の簿記が確立されたのはイタリアのフィレンツェ出身のフランチェスコ・デル・メルカートが14世紀に執筆した「簿記の本」によるとされています。この書籍によって、簿記は体系化され、商業の発展に大きく貢献しました。簿記の歴史は、人類の商業活動の歴史そのものと深く結びついています。

2. 日本における簿記

日本でも、簿記は古くから重要視されてきました。日本の商業が発展する過程で、簿記の技術は広く利用されるようになりました。特に、江戸時代には町人の商業活動が活発化し、簿記の重要性がますます高まりました。その後、明治時代の近代化に伴い、簿記の教育が普及し、現代の日本においても企業の経理業務や個人の財務管理に欠かせないスキルとして定着しています。

江戸時代の帳簿

3. 簿記の難しさ

簿記は、一見すると単純な数値の記録に見えますが、実際には複雑なルールや慣習があります。例えば、二重簿記法や勘定科目の選択など、様々な概念が絡み合います。

初学者にとってはこれらの理解が難しく、特に初級の段階では概念の把握や計算の正確性が求められます。

4. 簿記資格の価値

簿記の資格は、個人事業主や投資家にとっても大きなメリットを提供します。個人事業主は、簿記の知識を活用して事業の収支を管理し、経営判断を的確に行うことができます。

特に、中小企業では簿記の知識が経営の安定に直結することが多く、資格取得は積極的に推奨されます。また、VCや投資銀行を含む投資家は企業の財務諸表を分析し、投資先を選択する際に簿記の知識を活用します。財務データの解釈や経済動向の把握によって、リスクを最小限に抑えた投資を行うことが可能です。

また、簿記の知識は企業の経理業務だけでなく、個人の資産管理や投資にも役立ちます。そのため、是非、自己投資として将来を見据える重要な一歩と考えて勉強してみましょう。

5. 簿記とデジタル化の関係

現代のビジネス環境では、デジタル化が進展し、会計業務も例外ではありません。クラウド会計ソフトウェアやAIを活用した自動会計システムが普及する中、簿記の役割は変化しています。

従来の手作業による帳簿作成から、データ入力や分析までをソフトウェアが行うことで、簿記の基礎知識に加えてデジタルツールの使い方も重要となっています。さらに、データの正確性やセキュリティに関する知識も求められ、簿記の枠組みを超えたスキルが必要とされています。

6. 簿記の取得とキャリアアップ

簿記の資格取得は、職場での評価やキャリアアップに大きな影響を与えます。経理部門や財務部門でのキャリアアップを目指す場合、簿記の資格は必須条件となることが多いです。

また、簿記の知識は管理職に昇進する際にも重要な要素となります。リーダーシップや戦略的思考と組み合わせることで、組織の財務戦略を立案し、実行する能力を高めることができます。

さらに、簿記の知識は起業家にとっても有用です。今後自身の事業を立ち上げたいと思っている方がいらっしゃれば、資金繰りや経営分析が不可欠です。簿記の知識を持つことで、事業の成長戦略を明確にし、持続可能なビジネスを構築することができます。

4. 簿記を取ったらどういった職業につけるのか

簿記の資格を持つことで、さまざまな職業に就くことができます。会計士や税理士として専門的な業務に携わることができます。経理部門や財務部門では、簿記のスキルが不可欠であり、経理や財務担当として企業で働くことが可能です。また、独立して起業する場合も、簿記の知識が事業の財務管理や会計業務に役立ちます。さらに、簿記のスキルは公務員や金融機関、監査法人など幅広い分野で活かすことができます。

結びに、簿記の取得は単なる資格取得だけでなく、個人の成長やキャリアの発展に大きく貢献します。簿記の知識は、ビジネスの基礎からデジタル化の時代における重要なスキルまでカバーし、幅広い分野で活躍するための基盤となります。興味を持った方は、ぜひ簿記の勉強を始めてみてください。

こちらのNoteでは、USCPAの科目まとめノートや、簿記2級のまとめノート、MBBといった戦コンやBIG4の転職体験談、大学院留学・海外生活体験談を紹介しています。