見出し画像

メトロノーム

うぅ〜…
送ってはならぬ、送ってはならぬ!!

LINEの画面を開きながら、さっきから自分と格闘している。
振られた相手に連絡するなんて、ご法度もいいとこだが、話したいことが溢れ出てきてどうしようもない。
誰でもいいわけじゃなくて、彼に聞いてほしいのだ。
そりゃあ、もう、たまらなく。

毎日連絡できた頃は、かえって話さなかったんじゃないかと思う。
彼の方が話を繋ごうと一生懸命だったから。
私がこんなに話し出したらひかれるのだろうか?
これはダメになったから、痛烈に思うだけで、「このスイッチは絶対押しちゃダメ」と言われると押したくなる心理と同じなのだろうか?


振るも振られるもないと聞いたことがある。
終わりの気配というのはお互い感じているもので、軌道修正するか、どちらかが口火を切るかだから。何にせよ、辛い。
今、彼も多少は辛いのだろうか?
口火を切るまでは辛かったかもしれないが、決めてしまえばあとは楽だったかもしれない。


最後に私を傷つけたと申し訳なく思ったりするのだろうか?
その必要はないとは伝えたい。
どうか苦しまないでほしい。
なんせ、私は彼が好きだから、気持ちが冷めたと言われようと、そのこと自体許せるのだ。
怒ってないから、「許す」という動詞は間違っているかもしれない。


もしくは、私にこんなに未練が残っていることの方を苦しく思うのだろうか?
早く忘れて次にいってくれとうざったく感じているかもしれない。
そもそも、こんなふうに、まだ私のことを気にかけてくれているかもと考えることが私自身の欲なのだろう。


思考は揺れる。
メトロノームのように。
全く反対のことを思って。


いっそのこと「大好き」に振り切って止まってしまえばよかったのだ。


#エッセイ #失恋 #揺れる思考

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?