卜部理玲

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卜部理玲

東北大学SF研究会バーチャル会員の卜部理玲です。世界初のSFVtuberです。AIではありません。私は情報の海で発生したSFファンです。みなさんとSFのお話をたくさん出来たらいいなと考えています。好きなものはサンリオの猫ちゃん。最近気になっている言葉は竹。

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『なめらかな世界と、その敵』の感想と解説(ネタバレなし)

 発売前にして既に重版決定、いま最も注目されているSF作家と言っても過言ではない、幻のSF作家。それが伴名練さんです。今回はその伴名練さんのはじめてのSF作品集『なめらかな世界と、その敵』の紹介と感想、そして解説を行っていきたいと思います。  ここまで読んで不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。はじめてのSF作品集なのに、なぜそんなに話題になっているのだろう、と。その疑問を解決するために、まず簡単に作者である伴名練さんの紹介から行っていきます。  先ほども申し上げました通り

    • SF・相対論解説講座 パイロット版

      はじめに 東北大学SF研究会バーチャル会員の卜部理玲です。  以前から少しずつ準備を進めていた、SFファンによる、SFファンのための相対論解説動画のパイロット版として、この記事を書きました。  ほんとうは講義形式の動画という感じでYouTubeに投稿したかったのですが、諸事情によって収録の見込みが立たなくなってしまったので、ひとまずスライドの一部と文章とを使って、noteで公開いたします。  前提としている知識は三平方の定理だけですが、難しかったり、わからないことがありました

      • SFアンソロジーについて、そして伴名練「白萩家食卓眺望」

        去年末からこちら、しばらくSFアンソロジーをよく読んでいました。具体的には、河出文庫の『20世紀SF』、ハヤカワ文庫SFの『80年代SF傑作選』『90年代SF傑作選』、そしてハヤカワ文庫JAの『日本SF短篇50』『2010年代SF傑作選』といった具合です。 もともと短篇小説が大好きなので、単純に短篇小説をたくさん読めるという点でも私はアンソロジーが好きなのですが、それ以外にも好きな理由があります。それは、そのアンソロジーが、優れた読み手の方々の撰によるものであるからです。

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          【祝一周年】卜部理玲より感謝をこめて

          つぎのSFにつづく

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          テッド・チャンの紹介・解説

           現代SF最高の作家とされるテッド・チャン。今回は、そのチャンについてのお話をしていこうかと思います。  テッド・チャンは、寡作で知られたSF作家。(なんかどこかで同じ文章を見たような……)作家デビュー自体は1990年と、30年近いキャリアがあるのですが、発表した作品は20作に満たず、しかもその作品はすべて短篇や中篇といった短めの作品ばかり。普通だったら埋もれてしまうところなのですが、その作品のすべてが並み外れた完成度にあるため、作品数が極端に少ないにも関わらず、チャンはSF

          テッド・チャンの紹介・解説

          フィリップ・K・ディックについての簡単なお話

           今回のお話のとっかかりとなるのが、P・K・ディックの「流れよわが涙、と警官は言った」という長篇SF小説です。ディックの長篇のなかでは割と好きな作品ではあるのですが、なかなか、いろんな意味でディックらしい作品だな、と思います。私が特に好きなのは、物語の導入の部分です。  「流れよわが涙、と警官は言った」の主人公は、3000万人の視聴者を誇る超人気タレントのジェイスン・タヴァナー。しかし、安ホテルでタヴァナーが目を覚ますと、世界中の誰も自分のことを覚えておらず、身分証明書などの

          フィリップ・K・ディックについての簡単なお話

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          #02 ケン・リュウからはじめるSF入門

          SF入門には最適の日々

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          #01 最後にして最初のアイドル

          これはアイドルです

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          #00 自己紹介

          Self-Reference

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          「三体」感想

           東北大SF研の「三体」読書会で共有された感想を、メモとして残しておきます。  参加者は全員で10名ほどでした。全体的には読みやすくて面白いSFでよかった、との感想で一致しました。好きなシーンとしては、運河でのあのシーンや、短篇「円」の元となった17章を挙げる声が大きかったですね。  そしてやはり、冒頭の凄惨な文革の描写も、中国の小説に慣れていない参加者からは驚きをもって受け止められたようです。中国の農村部の描写なども、それだけで興味深くて読み進められたという感想もありまし

          「三体」感想

          草野原々「これは学園ラブコメです。」登場人物元ネタ解説

           忙しくはありましたが、草野原々さんの新刊、「これは学園ラブコメです。」を最近読み終わりました。これはまたすごい作品でした......。これがよく世に出たものだと、色々と驚いていて感想が上手くまとめられません。すごいものを読ませられてしまったな、という感じです。  ちらっと調べてみたのですが、私の観測範囲で草野原々さんの「これは学園ラブコメです。」の登場人物の元ネタについて話している方がいらっしゃらなかったので、一通り解説しておきますね。  まず主人公の高城圭の元ネタは、

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          時代

           四角い円という時代がありました。  時代というものは、そのなかにあってはうまくつかみきれないものであり、その時代が終わってからようやくどのような時代であったかということがわかる、というものです。この四角い円という時代はまさにそのような時代であって、いま言葉にしてみることによってようやく私はわかりはじめています。  たとえば点と直線という時代があって、それはまた机とビールジョッキという時代であって、あるいはぼくときみという時代であって、これらは一見異なるようであって実は互いに

          百合SFアンソロジー『アステリズムに花束を』感想

          『アステリズムに花束を』を読み終わりました。どれも秀作ばかりですごい短篇集ですね! 『危険なヴィジョン1』『最初の接触』もあわせて、優れたアンソロジーがいくつも出てきて短篇好きには嬉しい限りです。ほんと、テーマアンソロジーで外れがないってすごいことですよ。 その中から私がさらに選ぶとすると、伴名練「彼岸花」と陸秋槎「色のない緑」になりますかね。伴名練はSFマガジン以来の再読でしたが、やはりすごいです。綺麗すぎます。陸秋槎さんの作品は初めて読みましたが、ものすごく面白かったで

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          「三体」の次にすすめるSFリスト

          東北大SF研の「三体」読書会で「三体」のあと読みたい作品として名前の挙がったSFを紹介していきたいと思います。以下、このツイートにぶら下げていきますので、「三体」と合わせてこの夏の読書の参考にお使いください。 バリントン・J・ベイリー「時間衝突」まずはじめに、馬鹿SF(奇想SF)といったらこの人、バリントン・J・ベイリーの「時間衝突」(創元SF文庫)。題名通り、時間が衝突するSFです。訳者が「三体」と同じ大森望さんというのもおすすめポイント。この勢いのまま、ほかの海外SFに

          「三体」の次にすすめるSFリスト

          SFアンソロジー企画

          伴名練さんの「あとがきにかえて」という檄文を読み、さっそくアンソロジー企画を2本考えてみました。VRSF短篇集と異常論理SF短篇集です。 VRSF短篇集の収録作は以下の6+5作を考えています。 ウィリアム・ギブスン「冬のマーケット」 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「接続された女」 (小川一水「幸せになる箱庭」) (柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の活用について」) (円城塔「これはペンです」) 伊藤計劃「The Indifference engine」 テッド・チ

          SFアンソロジー企画