見出し画像

【学科】海の博物館(用途/博物館)

前回からの続き【建築作品を学ぼう♪】シリーズ

今回は、三重県は鳥羽(とば)市にあります、海の博物館。
Google Earthはコチラ. 


■解説

~↓↓↓1分で解説!YouTubeショート動画↓↓↓~

大きくは2つの展示室,研究棟と3つの収蔵庫から構成される(下記参照).それらに,ギャラリーやカフェ,体験学習館(特別展示室)が付随する.

配置計画

メインとなる2つの展示室には,木造の大架構がチューブ状に連続する空間となっており,瓦による切妻屋根の頂部となる棟の部分に,トップライトが走る.壁面の足元にも開口部が連続し,自然光を巧みに取り込んだ優しい光の空間が,漁船などの展示品を浮き上がらせている↓

展示棟(連続する木造の大架構+トップライト)画像は三重の里 いなか旅のススメ様のHPより

一方,収蔵庫は,海に面したロケーションであることに配慮し,塩害に強い瓦屋根を採用し,コンクリートのアルカリ成分の影響をおさえるためのプレキャスト・プレストレスト・コンクリートを連続させることによって,チューブ状の大架構を実現させている↓

収蔵庫(瓦屋根とプレキャスト・コンクリート)

収蔵庫架構組立図

■学科試験ではどう問われる?

平成14年の一級建築士「学科」試験で問われた知識です↓

「海の博物館(三重県)」はプレキャストコンクリートや瓦屋根を採用する等,地域性を踏まえながら,性能,コスト,耐久性を検討し,「収蔵品のための空間」を実現している.

【解答】◯
【解説】「海の博物館(内藤廣,1988~1992,三重県鳥羽市,収蔵棟:プレキャストコンクリート造(ポストテンション組み立て工法)・展示棟:木造+RC造2階建)」は,伊勢志摩地方を中心として全国から収集した漁労用具を展示する博物館である.

全体計画のうち,収蔵庫の建設から始まった.それまで海に漬かっていた船や魚網を地上で保存展示するため,収蔵方法についてきわめて細かい検討がなされている.

すべての保存環境の維持を空調設備のみに頼らず,在来の建築工法の工夫により解決している.船の保存など高い湿度が必要な部屋の床仕上げをたたき土間(真砂土,厚150mm)とし,コンクリートからのアルカリ成分の影響を低く抑えるためのプレキャストコンクリートの採用,塩害に対する瓦屋根の採用など,地域性を踏まえながら,性能,コスト,耐久性が検討された「収蔵品のための空間」が実現されている.
「展示棟」は,瓦屋根に,外壁は杉板貼とし,鋼材を内蔵した大断面集成材による木の大空間となっている.


平成21年には,↓のような知識が問われました.

【計画問題コード21173】正しい記述かどうか?
「海の博物館(三重県鳥羽市)」は,螺旋状の動線空間で構成された博物館であり,周囲の自然観察と展望が可能な施設である.

【解答】✖ 
問題文の記述は潟博物館(青木淳,1997,新潟県豊栄市)の特徴です♪


令和元年(2019年)には,↓のような知識が問われました.

【計画問題コード01153】正しい記述かどうか?
海の博物館展示棟(三重県)は,主要構造部の柱や梁には,鋼材を内蔵した集成材を使用し,外壁にはガラスカーテンウォールと木製ルーバーを使用した建築物である.

【解答】✖
【解説】外壁にカーテンウォールや木製ルーバーは使用されてません.

■まとめ【サマリーキーワード】

 ✅収蔵庫はプレキャストコンクリート大架構空間
 ✅展示棟は木造大架構空間
 ✅展示棟は切妻屋根頂部にトップライト
 ✅屋根は塩害対策で瓦屋根採用

■建物概要(製図試験対策用)

 【建  物  名】海の博物館
 【設  計  者】内藤廣建築設計事務所
 【施     工】大西種蔵建設 収蔵庫:鹿島建設名古屋支店
 【所  在  地】三重県鳥羽市浦村町大吉1731-68
 【竣  工】1992年 収蔵庫:1989年
 【階  数】 地上2階 収蔵庫:地上1階
 【構  造】 木造(壁・床:鉄筋コンクリート造) 
        収蔵庫:プレストレスプレキャストコンクリート造
           ポストテンション組立工法 
           風除室部分 鉄筋コンクリート造
 【敷地面積】 18,058.83m2
 【建築面積】  1,487.30m2 敷地内計 4,016.22㎡
 【延床面積】  1,898.83m2 敷地内計 4,424.77㎡
 【道路幅員】 北6m
 【駐車台数】 7台
 【杭・基礎】 深礎およびラップルコンクリート
        収蔵庫:鉄筋コンクリート造

今回は以上です♪
次の建築作品へ続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?