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【オピニオン】首相訪米 信教の自由問題提起を 法の支配は日米同盟の根幹

ニュート・ギングリッチ元米下院議長

岸田文雄首相の米ワシントン訪問は、中国を封じ込めるための「自由同盟」の重要な一歩だ。

具体的には、岸田氏は政治と国家の自由、さらに航行の自由を維持するという複合的な目標を達成しなければならない。

「法の支配」による適切な対応を 家庭連合の解散命令でギングリッチ氏

日本は米国にとって最も強力な太平洋の同盟国である。その経済力はこの地域の他のどの同盟国よりもはるかに強い。科学的研究能力も高く、高度な医療、強力な軍事力、先進的な宇宙開発計画を開発するための強力なパートナーとなっている。

例えば、2人の日本人宇宙飛行士が米国の宇宙計画と連携し、米国人以外で初めて月面に降り立つ。これは素晴らしいことだ。

防衛産業での共同生産を巡る協力は、自由主義国の同盟を大幅に強化し、危険性を増す世界で米国が世界の防衛義務を維持するのに役立つだろう。

岸田氏は11日に米議会上下両院合同会議で演説する。温かく迎えられることは間違いない。世界はますます危険になっている。ウクライナやガザで戦争が起き、台湾や南シナ海では中国の脅威が深刻化している。米議員らは、太平洋地域で最強の同盟国の首脳の訪問が歴史的に重要であることを知っている。

日米関係の明るい側面に焦点を当てることに全く異論はない。だが、岸田氏との会合で信教の自由の問題を提起する議員が現れることを期待したい。

日本は米国の重要な同盟国であるが、岸田氏が信教の自由の問題への対応を一変させたことは、奇妙で、支持できるものではない。

岸田氏は、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)など、いくつかの宗教団体に敵対的な態度を取っているが、これは奇妙と言わざるを得ない。故安倍晋三首相の支持者と統一教会との関係を断ち切ろうと、意欲的に取り組んでいる。重要なことは、1954年に文鮮明師によって創設された統一教会は、日本共産党への主要な敵対勢力であり、日本の民主主義を破壊しようとする共産党の活動を封じ込めるために30年間闘ってきたということだ。

岸田政権は、教会のあらゆる活動、組織に関して長い質問書に記入し、調査を受けるよう要求した。時間と費用のかかる措置だ。岸田氏は2022年10月18日、刑法に抵触するものは何も見つからなかったため、統一教会を解散させることはできないと発表した。しかしその翌日、民事裁判の判決でも解散させられると一夜にして方針を変えた。

これはおかしい。民事の判決で宗教団体を解散させる規定はなかったからだ。日本では、解散理由は刑法違反でなければならないとされてきた。首相自身もそのような刑事罰がないことを認めている。

米国民として、自国の司法制度と法の支配が政権政党によって損なわれるのを見てきた。バイデン政権は、政府の力で政敵をつぶそうとしている。私は、法の支配ではなく、権力で支配しようとすることに強く反対する。

そこで提案したい。上下両院議員は岸田氏と話をする機会があれば、法の支配と、自由の究極の基盤としての信教の自由の重要性に触れてほしい。

軍事協力は重要だ。一緒に月に行くことも、防衛産業協力も重要だ。

しかし、これらすべての同盟活動以上に、法の支配と信教の自由に真剣に取り組んでいくことが日米関係の鍵である。これは、日本が第2次世界大戦後に自由を守るための憲法を採択して以来変わらない。

日本政府が法の支配と信教の自由の原則の順守を再確認することは極めて重要だ。これらは、真に自由な社会の核心だからだ。

今回の訪米を機に、米国の指導者は岸田文雄首相にそのメッセージを伝えるべきだ。

(『世界日報』2024年4月11日付より)
※同紙の許可を得て転載


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