ワンピースはキャプテン・クロが一番渋い

22歳、大学卒業してからやる事もなく毎日キルミーベイベーのOPを聴いて踊り狂って、たまにそのまま電車乗って実家帰ったりしててんけど、ある日そうして家に着いてオカンと二人で踊りながら焼肉食うてたらNSCに入れと言われた。かなりビビった。どしたのわさわさ?ってなもんである。だって俺は友達の前ではともかく、家族の前では面白いどころかまともな会話をした記憶すらない。親族が集まった時も一人だけ会話に参加せずずっと電卓でなんか計算してた。婆ちゃんがめちゃくちゃ気遣ってた。老人が気遣ってる所、あんま見た事ない。爺ちゃんは俺が来た時と帰る時で明らかにシワの量が増えてた。そんな様子を見てきたオカンが何故俺をお笑い養成所に入れようとするのか全く意味不明であった。俺は一旦踊るのをやめて席に座り直してどういう了見かと尋ねると、周りから息子は何をしている人なのか聞かれた時に無職は流石に世間体が悪過ぎる、と踊りながら返事をされた。ふざけるな、踊るな。俺は入らん、第一そんな金はない。と答えたらば、「うるせぇ!!!行こう!!!!」と怒鳴られた。お前はモンキー・D・ルフィか。俺はこれから毎日アニメを見たり、寝そべってネットサーフィンをしたりしようと、ありったけの夢を掻き集めてたっていうのに、このモンキー・D・ルフィのお陰でそれらは泡沫の夢と成り果てたのである。母親がモンキー・D・ルフィの気持ちが君らに分かるか。同級生からモンペモンペとからかわれるし(モンキー・D・ルフィ・ペアレント)、たまに腕とか伸びてるし、麦わら帽子鬼臭いし。とにかくそんな奴の言いなりになって俺のアニオタ王への道が閉ざされては堪ったもんじゃないのでイヤダイヤダと駄々をこねまくってると、ついに業を煮やしたモンキー・D・ルフィことオカンが、行きたいと言えーーーー!!!!!!!と叫びながらATMのボタン押して俺の口座に入学金の45万円を振り込んできたから、俺もその覇気に気圧され、い″ぎだい″!!!!!!と号泣しながらATMを操作しNSCに入学金を振り込んだのであった。世は、大後悔時代...!

提出せなあかん健康診断表を作るために病院へ行くと何やら採血をせなあかんらしくて、俺は注射がガチで苦手やから何か良い方法は無いかと看護師に頼むと、針をがちゃがちゃ弄りながら「気分がまぎれるようにお話しましょうか~」と何の解決にもなってへんカス案を出してきた。しかもそのお話が「もう就活終わった~?」とかいうカス話で、気まずい沈黙になった瞬間注射されてほんまに意味分らんかったし、また別のNSCへの提出書類に「自分のキャッチコピー」の欄があったから「爆乳野郎 等」って書いて送ったら「字が汚すぎる」って理由で返送されたし、コンビ組むために相方探しの会なるものに出たら全員売れた後のビジョンとか好きな芸人の話で盛り上がってて居心地悪すぎて隅の方座って睨んでたし、睨んでるのに自己紹介シートのキャッチコピー「爆乳野郎 等」やし、おかんモンキー・D・ルフィやし、たまらないですよね。おかん初ライブ見に来てくれてたけど前の席の客が邪魔やったんか「ゴムゴムの鞭」で全員なぎ倒してたし、警備員が腕つかんで連行しようとしてたけど「効かないねぇ...ゴムだから(にぃっ)」とかほざいてたら逮捕されて行ったし、はぁ…、毎日たのし…。



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