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人事を7年やっている自分が情シスを2年やってみて感じた情シスの今

この記事は「corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#2 Advent Calendar 2021」の12/13の 担当となります。

<自己紹介と今回のテーマ>

こんにちは、レシピ動画サービス「クラシル」、ライフスタイルメディア「TRILL」、グロサリーデリバリーサービス「クラシルデリバリー」を運営しているdely株式会社で情報システムをやっている大倉です。

とても簡単にキャリアを説明すると人事を約7年やってきながら、ここ2年は主に情シスをやってきました(今も人事は兼任でやってます) 。

人事をやっていると社内の面談や面接などで様々な職種の人と話す機会があります。 ここ2年は特に情シス界隈の人とたくさん話をする機会がありました。また情シスとして、人事としてdelyの情シス採用に尽力してきました。

そんな人事と情シスの自分から見た情シスのキャリアや企業側の目線での情シス労働市場の分析をしてみたいと思います。なおベンチャースタートアップ30~1000人の規模の会社をイメージしています。

<情シスの労働市場について>

わざわざ解説するまでもなく人材不足であり売り手市場です。 しかし、募集に対して人材の総数が不足しているという単純な話ではないかと思っています。 そのことについて触れていきたいと思います。

<情シスのスキルの細分化とそれに伴うキャリアの細分化>

近年の情シスのスキルセットは多岐に渡ります。スキルセットの幅が広がった要因としては
・macOS導入の企業が増えたこと
・クラウドサービス(SaaS)が発展したこと
・サイバー攻撃の手段が発展したこと
・それに伴いセキュリティの考え方が変わったこと
・コーポレートエンジニアという職種が発展したこと
などが挙げられるかと思います。

情シスの業務の範囲は広がりながらも従来からある、ヘルプデスク、ネットワーク管理、監査対応などがなくなったわけではありません。 これらのことについて全て専門性を持っているスーパーマンはそんなに多くはありません。
またその中でも
・立ち上げが得意な人
・すでにある仕組みを改善するのが得意な人
・スケールする仕組みを作るのが得意な人
などフェーズによる得意/不得意もあると思います。

<企業側の情シスへの採用期待値は>

情シスに理解があるコーポレートの責任者がいたり情シス部門のトップが経営と会話できたりする距離感にあるのであればいいのですが、そんな会社は多くありません。会社の要因計画を考える人は「情シスという職種の人を雇って任せば丸っと会社の情報システムの問題を解決できる」と期待してしまいます。

すると募集要項がモリモリになっていきます。特に一人目の情シスや責任者候補を採用するとこのような期待値になりがちです。
またフェーズによる得意の話をしましたがこの場合多くは会社のフェーズに合わせて柔軟に役割を変更してくれるような人を期待します。

情シスに素養のある人からすると「この募集はヤバそう」と察したり、あるいは面接を受けてみて「この期待値(=その会社の情シスの理解度)は厳しい」と感じたりする機会もあるかと思います。

さらにカルチャーフィットへの期待値の課題もあります。
情シス界隈の人はエンジニア気質の方が多く、特にコーポレートエンジニアの方はエンジニア出身の方がほとんどです。しかしコーポレート部門に配属されるため、文化理解への期待度も一般社員より高くなる場合がままあります。

開発部門の配下に置かれれば快適に仕事ができる場合もありますが、開発部門の責任者の価値観によって情シスの文化が左右されるという話も聞きます。 つまり、「人材不足の要因は情シスという仕事の現状に対して会社の期待値が合っていない場合が多いのではないか」と分析をしています。

<企業側で情シスをいい感じに整えるために要件を整理した>

これは実体験でもありますが、私が情シスの採用を始めて初期の頃は同じこと(=期待値モリモリ情シスが欲しい)を考えており、採用活動はなかなかうまくいきませんでした。そこで全知全能のなんでもできるスーパー情シスを求めることをやめることからスタートしました。 社内で「今、情シスに求める要件」を改めて整理し、足りないピース総合的に埋めるという順番で考えるようにしました。 delyで求める条件は以下の通りです。

  1. グループ会社監査対応、IPO監査、ISMS認証取得など監査対応ができる人 

  2. キッティング、ヘルプデスク業務、アカウント管理など定常業務を任せて効率化できる人 

  3. ゼロトラスト環境を目指し、Idaas、EDR、CASB、グループウェアの設定などセキュリティをいい感じに管理してくれる人 

  4. エンジニアリングの技術でSaaS間のapi連携やslack,Googleworkspace、アカウント発行の自動化など社内業務の効率化をしてくれる人 

  5. 全体的に情シスの方針決めて社内調整しながら予算引っ張ったり採用を担当できたりする人

この中で2個くらいは持ってる人はいるかもしれませんが、全部できる人はなかなかいません。 ちなみに自分は1と5が得意です。
また、例えばゼロトラスト環境を目指すに際して社内のネットワーク環境の管理などは強くなくてもなんとかなります。求める要件はやるべきことに絞り、あったたらいいなというレベルの話は要件に含めないようにしました。そしてこれらの要件を一人の採用ではなく情シスチームとしてクリアするという発想に切り替えました。

<情シスの要件を整理したメリット> 

・候補者の安心感が違う
・外部リソース積極活用の発想が生まれる 
このように整理してから候補者の方と話す時も、「全部お願いします!」という会話ではなく得意分野で役割分担しましょうという会話に変わりました。また足りない部分の埋め方として外部リソースの活用という発想が生まれました。
要件の整理が一定できている分外部の方へ業務の切り出しをして渡すことがしやすくなります。今はさきほどの要件の中で主に3と4の部分を外部の方にお願いしています。 その辺りはインタビューをしていただいたので興味がある方はみてください。
長らく一人情シスをしてきましたがこのような整理をして以降幸いなことに一緒に働くメンバーに出会うこともできましたし、社外にも素敵な繋がりができました。外部リソースの活用はお世話になっている会社さんに導入インタビューもしていただきましたのでご興味ある方はご覧ください。

企業ごとに情シスでやりたいミッションが異なり、ミッションに応じて社員と外部の専門家が集まりミッション達成と共にpjtチームが解散するという世界線があるのではないかなと思っています。

<情シスのキャリアを考えている方に>

情シスのキャリア形成の話は情シスの大先輩がいい記事を書いていただいていますのでそちらを参照しただければと思います。(勝手に参照してごめんなさい)

 さて、これまでお話ししてきた通り情シスの企業が求めることと情シス界隈の方のキャリアの課題がある中で自分にピッタリ合う会社に出会える確率は低いのではないかと予想しています。その間、副業という選択肢をとるのもいいのではないかと考えています。
たとえばID基盤を作るという会社があった時にAzureADが得意な人、oktaが得意な人、oneloginが得意な人がいた時に企業の要件に満たした人がpjt単位で手伝うという事があってもいいと思います。そして特定の分野への専門性を実務を通して伸ばしながら、関わった会社のフェーズと文化とご自身のキャリアのタイミングがマッチしたタイミングで社員として働く会社を選ぶのもいいと思います。

<まとめ>

ながながと書いてきましたが言いたいことをまとめると、情シスの採用に困っている場合は
・スーパーマンを求めることを辞める
・本当に必要な要件を洗い出す
・要件を満たすためのリソースを細分化して社内外関わらず探し出す
と言うことかと思います。
書いてみて当たり前のことを言っているしどの職種にも当てはまることなのかなと感じました。

<delyの情シス部門について(少しだけ宣伝させてください)>

副業もいいのではいう話をしましたがdelyは今も情シスを絶賛採用中です。 募集としては ・情シス担当 ・コーポレートエンジニア の募集があります。なかなか人数的に業務の担当分野の細分化をしきれないところもありますが、幅広な業務の中から適正や本人のキャリアの方向性から役割分担をします。イケてるdelyの情シス文化を作っていく仲間を募集中です!

またdelyは情シスへの理解が深く投資も積極的でいい環境だと感じています 直近では
・Notionの導入
・Figmaの導入
・Googleworkspaceのenterpriseプランへの切り替え
など 業務効率化のためのツールへの投資も積極的に行っており、経営層と直接協議をしながらさらなる効率化のためのツール導入を検討しています。

モリモリの募集要項になっていますが適正やご経験に応じて担当分野を決めますのでご安心ください。ご興味ある方はぜひ募集要項をご覧ください。



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