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詩ことばの森(113)「微笑の香り」

微笑の香り

夢でみた高原を
人びとの影が歩いていく
あれは 風にゆらいだ
コスモスの群だったか

異世界へとつづく
真青な空のカンバスに
あざやかな白線が引かれる
ひとすじの細い雲の流れ

きみの水彩画のまえで
ぼくは知ったのだ
旅は まだ続いていたらしい

少年の瞼に映っては消えて
微笑の香りを残したまま
また一つ 夏が過ぎていく

(森雪拾)


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