見出し画像

詩ことばの森(163)「深い水」

深い水

わたしの魂は
深い水のなかに潜んでいる
だれかが   岸辺をさまよっている
足音も無く   気配さえ感じさせず
ときに親しげな眼差しを水面へ

彼の瞳は   少年の輝きに満ちる
すべての真実が顕らかとなり
名前を告げて   羽ばたき去る鳥
わたしたちは風に   招かれているらしい

池の底に沈んでいる
過去も現在も未来も   一切を脱ぎ捨てて
こころもからだも透明になっていく

(森雪拾)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?