【社会人】仕事をしながら漫画同人誌を作る

はじめに

こんにちは。
社会人の私が2ヶ月で漫画同人誌を出したので
具体的なスケジュール感と、作業工程をまとめたいと思います。
基本的な知識や製本の情報などは省いています!
漫画の作画についてだけまとめています。


自己紹介

フルタイムで在宅でデスクワークをしています。
2歳児を育児をしているため残業は少な目です。

作った本

瓜を破るの二次創作同人誌です。
A5サイズ24P(本編8P+8Pの短編集)

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2173526

作った本の解説もあります。読んだ人はこちらもどうぞ。https://note.com/unknownshuriken/n/n990882acfdd8

制作時間について

制作に充てた時間

平日は23時に自由になり、1時半ごろまで作業するため
平日使える時間はおおよそ2時間ほど。
土日は魔法の力で大体5時間ほど作業していました。

10月初め~11月25日頃まで作業していたので作業期間はおおよそ2ヶ月
単純計算でおそらく±100時間ほどでした。(計算間違ってたらすみません)

制作物の概要

全部で16Pです。
数えたらコマが70~80あったので、単純計算で80体ほどキャラクターを描きました。
時間で割ったら1体にかけられる作業時間は1.4時間ほど。
そう考えると漫画って恐ろしいですね!
つまり、漫画を完成させる上では如何に時短するかが重要なのです。

漫画の制作工程

今回は「花のような私、ここにいる証」に収録されている「熱を出したようです」の制作工程を解説していきます。
内容は下記で読めます。
https://www.pixiv.net/artworks/113844879

0.スケジュールを立てる

まずはこちらにアクセスします。
これは必須です。毎日進捗を記入することで〆切意識を持って制作することができます!!

  1. 作業開始日と〆切をぶち込みます。

  2. ページ数をぶち込みます(決まってない場合はあとで入れますが、なるべく早く決めましょう!)

  3. 作業工程を決めます。私はざっくり以下のように割り振ってます。

    1. 表紙

    2. ネーム(プロット込み)

    3. ラフ

    4. 清書(線画、トーン、写植)

  4. 予想時間をぶち込みます。さっきのように割って算出してもいいですし、自分がなんとなくこれぐらいで行けるやろ!で出してもいいです。ただ、一コマ当たり時間をかけすぎないために3時間以内に収めるのが理想です。

  5. 一日の作業時間をぶち込みます。

1.プロット

やることを箇条書きしていきます。
起承転結をなんとなく決めつつ作業していくとやりやすいと思います。
板倉先生のプロットがめちゃくちゃ参考になります!
https://shukanmanga.jp/news_list/detail/20231215/

今回のプロット。シンプルすぎてキレそう。

雰囲気すぎてキレそうですが、同人誌なのでこれでよしとします。

今回は自分の日常のあるあるからひねり出しましたが
プロットの着想は作品によって様々です。

これを描いたときはお題が決まっていたので、資料集めに奔走しました。
具体的には世にも奇妙な物語を全部見ました。

2.ネーム

前述のようにかなり荒いプロットだったのでネーム作業に難航しました。
ネームの工程でコマ割り、構図、演出、セリフを確定させます。
漫画の骨組みみたいなものですね。
ここで上記の項目を確定させないと巻き戻りの作業が発生してしまい、作業時間を大幅にロスしてしまうので
ここで決めたことは後工程で大きく直さないよう誓いを立てます!

ネームを作成するときに考えてることは…
多分…なんか…リズム感とか、テンポ感…とかじゃないですかね…
漫画のコマを利用した演出とか考えるのが好きです。
プロットで出したやりたい要素をピックアップしたりされたりしながら、気持ちよく読めるようにひたすらコマを並び替え、セリフを修正したりしてます。
あといつもオチを押し込めるためにはどうしたらいいか悩んでいます。
オチから逆算して描くのもいいかもしれません。

コマ割りについては1つ参考にする漫画作品を用意して
それをひたすら参考にして作るとよいです。
少女漫画だとコマ割りが派手だったり、少年漫画やアメコミはシンプルだったり…
私はTHE ビッグオーのコミカライズやアメコミを参考にしているので、コマ割りはかなりシンプルだと思います。

3.ラフ

清書の際に迷わないように詳細に詰めます。
何度も言いますが、悩んでしまうと作業が巻き戻り大幅なロスタイムが発生してしまい、最悪の場合本が出なくなってしまいます!
線だけで描くと仕上げの印象が分からないので、黒ベタやグレー、トーンを最低限の情報量置いて画面のバランス見ることをお勧めします。
背景も清書の際に迷わないようにパースと物の比率をしっかり確定させておきましょう。

キャラクターの身長比や、キャラクターに対して家具の大きさや部屋の広さなど頭に入れておく

複雑な形のものはクリスタの3Dアセットを使ってアタリをとります。

クリスタの3Dアセットを積極的に使っていきましょう。

あとは同じキャラをひたすら描いていくので、違和感ない程度にラフを流用していきます。
自分のイラストだったらトレスや改変しても大丈夫なのです。

ラフが同じ、清書し直しています。
清書を流用した例。右の顔はほかのコマでも沢山使わせてもらいました。

あとはこういうキャラクター表みたいなのを作っておくと迷いがなくスムーズに作画できます。
一番右のキャラの横顔はかなりの頻度でトレス、改変をして使用しました。

4.清書

急にイラストの構成要素の話をします。
イラストを見るときに無意識下で重要視している要素をピラミッド化した図です。
下に行くほど重要度が高く、上に行くほど実はさほど重要ではない要素になっています。

今回は仕事や家事の合間の短い時間で締め切りまでに漫画を描かなければいけないうえに、前述のとおり16Pで80体ほどキャラを描く必要があるため、どうしてもフルパワーを出した完璧な筆致の作品を生み出すのは難しくなっていきます。

プロット~ラフでやってきたことは、図でいうとコンセプト~輪郭(構図)に値します。
ここまで固まっていれば、見る人に刺さるいい絵の条件は大体クリアしていると思います。

清書は、絵を綺麗にしてより人に伝わりやすく行程です。
図で言うところの輪郭、明暗、タッチの部分を最低限クリアしていきます。(色価、固有色はモノクロなのでなし)

ペン入れの解説をします。

カラーイラストのときに下書きで使ってる「鉛筆R」ペンを使ってなるべくラフに清書しています。
線が重なっているのも味だと思いましょう。

Hmm…さんのペンは手振れ補正が入っていてラフに描ける場面も多いので、要所で使い分けています。

ラフに…とはいいましたが私も正直めちゃめちゃ時間かかってます、ペン入れ。
なのでもっとラフに描ける方法も紹介します。
それは「シャーペンで描く」です!

シャーペン/マーカー/カラー印刷

これはカラー印刷なので参考になりづらいのですが、
これぐらいの筆致ならグレスケでもきれいに印刷されると思います。
私の身の回りの同人作家の方でも鉛筆で漫画を描いてる方は多数いました。
もし使い慣れてるようでしたらおススメです。

あとは…
ラフが間に合わなかった部分は、写真を撮ってそのままペン入れして10分で仕上げたりしてました。

トーンの話をします。
作風によるのですが、今回同人誌を作った原作「瓜を破る」はかなりトーンワークが多く、
今までの同人誌ではカゲと中間色の2色のみしか貼らない自分にとっては慣れないことだらけでめちゃめちゃ大変でした。
それでも原作と比べると少しトーンの箇所が減っていたり最小限にして対策をしています。

仕上げはめっちゃ簡素

webに上げる場合はサムネの戦闘力とか考慮して
グラデトーンなど多用してリッチにしたほうが見栄えがいいのですが、
前述のとおり、本当に時間がないので優先度を下げています。

あと作画終わってから気づいたんですが、今は全部トーン化じゃなくて、グレスケ+一部トーンが主流っぽいですね。
おれの原稿、なんかツブツブしてると思ったぜ!

それに気づいてから描いたのでグレスケ+トーンになっている

5.文字入れ

本はなんたら明朝(忘れた)で打ったのですが、webにサンプルで上げる場合は読みづらかったので以下のフォントに置き換えました。

文字打つのすぐに終わるだろと思って舐めてたら普通に3時間以上かかりました。
吹き出しの清書は友達にやってもらったのですが、その時に文字入れも頼めばよかった。

おわりに

いかがでしょうか。
生活の隙間に漫画を描くのはとても大変で、過去にも想定していたクォリティに達しなかったことや漫画を出せなかったことなどあり、悔しい思いを何度もしてきました。
そのたびに計画を見直して、なんとか完成させられる工程を編み出しました。
これから漫画を描き始める人や同人に興味のある人の参考になれば幸いです。
この度は読んでくださってありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?