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科学者の恋

タイトル:(仮)科学者の恋

▼登場人物
●芽野床 学(めのゆか がく):男性。35歳。独身。科学・生命科学分野に精通している。
●上司:男性。50代。学の研究所での上司。一般的なイメージでOKです。
●奥田遥香(おくだ はるか):女性。30歳。学の彼女。浮気性。本編では「遥香」と記載。
●河野明美(こうの あけみ):女性。27歳。学の研究所での同僚。
●有栖川佳代(ありすがわ かよ):女性。30代。学の本能と欲望から生まれた生霊。

▼場所設定
●学の自宅:都内にある一般的なアパートのイメージで。本編では主に「自宅」と記載。
●某研究所:都内にある割と大きな施設のイメージで。
●Home of Love:都内にあるお洒落なカクテルバー。学の通勤路にある。佳代の行きつけ。
●街中:カラオケ店やデートスポットなど必要ならで一般的なイメージでお願いします。

▼アイテム
●Element of Love:佳代が学に勧める特製の液体薬。景気づけの形で飲ませるが、その効果には(佳代との約束を破った場合)我欲一辺倒に走らせる力を秘める。その我欲は夢を叶える為の欲望を増大させ、学の場合は持ち前の科学力により遥香と明美をAIに替えてしまった形(この辺りはややニュアンスで描いてます)。

NAは芽野床 学でよろしくお願い致します。

イントロ〜

あなたは科学についてどれだけ詳しいでしょうか?
実は科学と生命学とは似たようなもので、
神秘の分野を追い駆けるその姿は変わりません。
でも余りのめり込んでしまっては、
「度を過ぎてはいけない」という言葉があるように、
やはりちょっとした危険がつきまとうもの。
今回は、或る科学者の恋。
その恋から不思議な展開になってしまった
少し怖いお話をご紹介しましょう。

メインシナリオ〜

ト書き〈研究所〉

俺の名前は芽野床 学。
生まれてこれまでずっと科学の分野に魅了され続け、
今はその夢を叶えて科学者になる事ができた。

学「ふぅ。この研究はちょっと時間がかかりそうだな。よし、ちょうど昼か。じゃあ休憩行ってきます」

上司「ああ」

俺は今、某科学研究所で働いており、
将来はきっと高名な科学者になれる…そう噂されていた。
俺は科学分野にも生命科学の分野にもどちらにも精通しており、
この研究所でも期待の星のように扱われていた。

でも幾らここで活躍していても…

(電話)

学「…ふぅ、やっぱり出ないか。もしかしたら今日もあいつ、誰かと浮気してるんじゃ…」

男女関係においては活躍できない。
俺は本当に悩んでいたのだ。

俺は今、遥香という彼女と付き合っている。
でも遥香にはきっと昔から浮気癖があって、
それが今になって顕著に出てきているように思えた。

男も女も暫く付き合っていれば
誰だってその関係にマンネリして他の刺激を求める。

学「くそっ、今日会う約束だったろ!」

その日は夜になっても遥香から連絡はなく、
やっとかけてきたと思ったら夜の10時頃。

遥香「ごっめんね〜!ちょっと友達と飲みに行ってて〜」

電話越しでも酒の臭(にお)いが漂ってくる。
そしてそれが嘘なのもはっきり分かる。
きっと他の男と居たのだ。

それが分かってながら…

学「あ、ああ、まぁそう言う事ならしょうがないなぁ」

なんで茶を濁すように言ってしまう。俺は気が弱い。

ト書き〈数日後〉

それから数日後の夜。
俺は1人で飲みに行く事にした。

いつもの飲み屋街を歩いていると、全く知らないバーがある。
名前は『Home of Love』。

結構よさげな店だったので俺はそこに入り
いつものようにカウンターについて飲んでいた。
するとそこへ…

佳代「こんばんは♪お1人ですか?もしよければご一緒しません?」

と1人の女性が声をかけてきた。
見るとまぁまぁな美人で俺は隣の席をあけ、
彼女を迎えて暫く談笑。

名前は有栖川佳代さんと言い、
都内でライフコーチの仕事をしていると言う。

そして少しして気づいたのだが、
彼女にはどうも不思議な魅力があった。
「昔どこかで会った事のある人?」
のような印象が漂い、そのせいか身内感覚があり
恋愛感情は湧かず、代わりに、
「自分の事をもっとよく知って貰いたい…」
「自分の今の悩みを解決してほしい…」
そんな気にさせられるのだ。

学「あは、すいません、自分の事ばかり言っちゃってw」

佳代「いえ構いませんよ♪そう言うお話を聞くの、私嫌いじゃないですから♪…でも、そうですか。彼女さんがそんな人で、今あなたは悩まれていると?」

学「え、ええ、まぁちょっと。そろそろ本気で別れなきゃいけないかなぁなんて、そんなふうに思う事もあります」

佳代「でもなかなか別れられない。彼女にどうしても別れたくない未練が残るんですね?」

学「あ、あはは…」

佳代「分かりました。私が何とかして差し上げましょうか?」

学「え?」

そう言って彼女はバッグの中から
1本の栄養ドリンクのような物を取り出し、
それを俺に勧めてこう言ってきた。

佳代「それは『Element of Love』という特製の液体薬で、それを彼女に飲ませれば、きっと彼女の浮気癖はすっかり治るでしょう」

学「…は?」

佳代「フフ、信じられない気持ちも分かりますが、何事も新しく物事を始めようとする時はその未来に必ず幸せがやってくると信じる事です。信じる心と言うのはときに何よりも強く、その人や周りに居る人を変え、その未来さえ変えてくれる力があるもの。どうか彼女と自分を信じて1度試してみて下さい」

全く信じられない話。
でもここで改めて彼女の魅力に気づく。
他の人に言われたって絶対信じない事でも
彼女に言われると信じてしまう。

ト書き〈数日後〉

それから数日後。

(カラオケ)

遥香「あはは♪」

学「世界が終わるまではぁ〜♫」

俺と遥香は久しぶりに1日中デートして沢山遊び、
その日はカラオケに行って何時間も一緒に居た。
ランチも楽しく2人で済ませ、夜は五つ星レストランを予約して
綺麗な夜景を見ながら2人でディナーを楽しむ。

学「(はぁ…こんな幸せな夜、いつぐらいぶりだろう…)」

俺はやっぱりこんなになっても遥香の事を愛していたのだ。
遥香には昨日、彼女の目を盗んでコーヒーにあの薬を混ぜ、飲ませていた。

その夜は本当に幸せだった。
しかもその幸せは、形となって更に現れたのだ。

(帰り道)

学「ん、どうした?なんだよ改まって」

遥香「あ、あのね、今まで本当にごめんなさい!」

学「え?」

遥香「私、正直に言うけど、今まで別の男の人とも遊びに行った事があったの」

いきなり遥香は今までの自分の事を告白してきた。
一瞬、別れ話かと思ったがそれは違った。

遥香「でも私、他の人とは一切関係を持ってないから!あの、男女関係の事…。私が本当に好きなのは、学くん、あなただけなのよ。これまでずっと私の我儘を大目に見てくれてたのが分かって、私なんだか自分が嫌になっちゃって…こんなこと勝手に言ってほんとにごめんなさい!ほんとに…」

その日、俺は更に遥香を愛した。
彼女は今までの自分を反省し、
ややほったらかしにしていた俺との関係をもう1度ちゃんと修復したい…
そんな事を言ってきたのだ。

ト書き〈数日後〉

それからまた数日後。
今日は俺のほうの仕事が遅くなり、遥香とは会えなかった。
でもこのまま帰るのも何となく勿体なく、
ちょうど帰り道にあるあのバーへまた立ち寄った。

(カクテルバー)

するとそこに又、あの佳代さんが1人で飲んで居た。
俺はすぐ彼女に駆け寄り、この前のお礼を言った。

学「佳代さん!この前は本当にどうも有難うございました!お陰で僕達、明るい将来を歩めそうです♪」

そう言って近況報告をすると彼女も自分の事のように喜んだ。
そしてその時ついでに1つ、忠告めいた事も言ってきたのだ。

佳代「そうそう、この前言い忘れてましたが、学さん、あなたにも1つだけ守っておいてほしい事があるのです。それは、あなたのほうが浮気しない事。まぁあなたは真面目な人ですからこんな忠告は必要ないかもしれませんが、一応念の為」

学「あはは、なんだそんな事ですか。大丈夫ですよ♪僕、これまでまともに付き合ったのが実はあの遥香だけで、そういう事にはほんと疎い性格ですから。それにほら、こんな器量でしょう?僕に寄ってくる女性なんて遥香以外には居ないですよ」

佳代「それなら大丈夫ですね。でも男は顔じゃありませんし、安心できる所があれば人は寄ってくるもの。その人の内には当然女性も含まれて、女性の場合は特にその人との将来を夢見、幸せにやっていけるなら恋人のようにやってくるでしょう」

学「えぇ?w」

少し気になる事を言ってきたが、俺は軽く聞き流した。

ト書き〈トラブル〉

でもそれから数日後。
彼女の言った通りになってしまった。

明美「私、前から芽野床さんのこと好きだったんです!ずっと見てました」

この告白に始まり、
一緒に研究所で働いてる1人の女子社員、
河野明美が俺の元へやってきて、
それから猛烈なアプローチをし始めた。

俺はそういう事に疎く、こんな時、
どう言って断れば良いかそれがよく分からない。
科学分野には答えがあるが、人間関係にはそれがない。

そんな事を考えつつモジモジしていると、
彼女は俺にその気があるように見たのかある夜飲みに誘い、
勧められるまま酒を飲んでヘベレケになった俺は
訳も分からず内にホテルに居たようで、
そこで彼女と関係を持ってしまっていた。

それまでの記憶は全くない。

明美「フフ、嬉しい。あなたとこんな関係になれるなんて♪…でも、ここまでしたからにはちゃんと責任取ってよ?私あなたと結婚するつもりだから♪」

なんとも一方的な物言いだったが、
確かにそこまでした俺には何も言えない。

(1人で悩む)

学「ど、どうしたら…どうしたらイイんだよ…」

俺は恋愛に奥手。
2人をキープしながら上手く付き合って行くなんてできない。

ト書き〈転機からオチ〉

それから俺は帰り、又あのバーへ向かった。
佳代さん、あの人に会う為だ。
あの人ならきっとこんな時、何とかしてくれる。
現に俺と遥香との関係をあんなに変えてくれたのだ。

その一心で店に入ると…

学「あ、居た!佳代さん!」

彼女はやっぱりそこに居た。

佳代「あら、学さん♪フフ、私ここが行きつけだから♪」

学「あ、あの!佳代さん!お願いなんですが…!」

俺はこれまでの一部始終を彼女に伝え、
全てが丸く収まる方法について聞いていた。
つまり助けを求めたのだ。

佳代「ふぅ。やっぱりそんな事になっちゃったんですね?」

学「まさか僕にあんなふうにして寄ってくる人が居たなんて驚きですが…でも今はそんなこと言ってる場合でもなくて、ほんとに記憶がなかったんです。あーもすーもない内にほんと知らない間にあんな関係になっちゃって、どうしたら良いか…」

佳代「まぁ今回の場合は、そうしてあなたを誘った女性のほうにも責任があり、お酒のせいで記憶をなくしていたあなたを一方的に責める事はできません。良いでしょう。では遥香さんの事も含め、全てが丸く収まるように計らってみましょう」

そう言って佳代さんが指をパチンと鳴らした瞬間、俺の意識は飛んでしまった。

(自宅)

気づくと俺は自分のアパートに居た。
起きて少しすると心の中に声が聞こえ、
その声に従う内に俺は落ち着いた。

そして部屋のクローゼットを開け、中から2人を取り出し、
今日の洋服に着せ替え、それから2人を食卓につかせ、
とりあえずモーニングを3人で一緒に食べる。

学「フフ、これからは3人ずっと一緒だ。まぁ仲良くやって行こうや」

俺の心に聞こえた声はこう言っていた。

(心の声・佳代の声として)
「あなたは自分に備わったその才能をフルに活用すべきです。それで全ては丸く収まる。外に居る人間を、あなたのテリトリーに置くわけです。あなたなら出来ます。そうでしょう?…フフ、結局そうしたワケね?ほら、あなたの愛する人が人形のようにクローゼットの中にあるわ。これからはその彼女達と一緒に3人で、秘密を守りながら平穏に暮らして行きなさい」

それを聞き、俺は行動したのだ。

ト書き〈学のアパートを外から眺めながら〉

佳代「私は学の本能と欲望から生まれた生霊。その夢を叶える為だけに現れた」

佳代「彼は女性関係に疎いなんて自分で言ってたけどそれは嘘。これまで浮気ばかりを繰り返し、その記憶を全部忘れて棚に上げていた。遥香が浮気に走ったのはそのせいなのよ。『彼がそんな事をしてるんだから自分もしたってイイだろう』そう思ってね。それでも遥香が彼の元に居たのは将来性があったから。その点では彼の科学分野での力を認めていたわけねぇ」

佳代「明美にしても遥香と一緒。自分の将来的な利益の為に学に近づいただけ。そんな愛の無い不毛な生活が学の心を更に狂わせ、彼は自分に持てるだけの力を発揮し、人間をAIのように造り替えてしまった。間違った方向に進んだ科学の力はやっぱり恐ろしいものね」

佳代「でもその秘密… 2人の人間をこの世から抹殺したその罪が消える事は無い。いつまでその秘密を警察の目から隠し通せるかしら?恋愛に疎いと言うよりあなたは、人間が共存する為のルールのほうに疎かったの。自分の罪を認め、遥香の浮気を大目に見て許していた自分を知っていたのに」

佳代「まぁ学に都合よく設定されたAIだから、遥香はもう浮気する事もなく、明美もずっと自分のそばに居てくれる。文句の1つも言わずにね。文字通りこんな形でだけど、八方丸く収まったでしょ?とりあえずその秘密をずっと守り続けなきゃいけない生活は、今後も続きそうね…」

動画はこちら(^^♪
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