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私はお墓の前で誰を見ていたのだろう…?

タイトル:(仮)私はお墓の前で誰を見ていたのだろう…?毎回お墓の前で見ていたそのお婆さんは、段々若返っていった…

1行要約:
お墓の前で若返りの不思議に出会った女の情景

▼登場人物
●押川万葉(おしかわかずは):女性。25歳。普通のOL。盆で田舎の実家に帰郷する。独身。以前に事故で父親を亡くしている。
●押川和子(おしかわかずこ):女性。55歳。万葉の母親。夫が亡くなってからはずっと1人暮らし。
●琴絵(ことえ):女性。初めは80歳くらいだが、次第に若返って行く。享年25歳。幽霊。

▼場所設定
●万葉のアパート:東京で万葉が暮らしている。一般的なアパートのイメージで。
●田舎の最寄り駅:一般的な田舎の駅という感じで。
●万葉の実家:一般的な田舎に見られる長屋のようなイメージ。
●墓地:万葉の実家からそんなに遠くない。共同墓地。

NAは押川万葉でよろしくお願いいたします。

オープニング~

エクソちゃん:ねぇデビルくん、お盆とかっていつもどうしてるの?やっぱり田舎帰ったりしてる?
デビルくん:田舎だって?ハハ、俺の故郷は地獄だぜ?盆だからってそんな一々帰ったりするかってんだよ♪
エクソちゃん:なるほどねぇ。ま、アンタが帰ったって地獄の住人が迷惑するだけだもんね♪
デビルくん:オイ(汗)
エクソちゃん:今回はね、そんなお盆にまつわる怖ぁいお話なのよん♪ある日、お盆のお墓参りの時に万葉さんが見掛けたお婆さんが、実はとっても不思議な人だったんだ…

メインシナリオ~
(メインシナリオのみ=4270字)

NA)
私の名前は押川万葉。
私は今、東京でOLしてる。
今年の夏は久し振りに田舎に帰って、お盆だしお墓参りにでも行こうかなって考えている。

ト書き〈自宅から田舎の実家に電話する万葉〉

万葉)「あ、お母さん?お久し振り~♪」

和子)「万葉?もうアンタお久し振り~じゃないわよ。いつも電話の1つも寄越さないで!今年はどうするの?帰って来るの?」

万葉)「うん♪やっと休み取れそうなんだ♪」

NA)
こうして私は夏休みを取り、帰郷する事にした。
滞在日数を出来るだけ伸ばそうと土日を絡め、全部で一週間ほど滞在できる事になった♪

ト書き〈田舎に帰ろうといろいろ準備する万葉の様子〉

NA)
あれからあっという間に時間が過ぎた。
新幹線のチケットを予約して、東京のお土産を買っておき、荷物をまとめてすぐ帰郷。
これからはなるべく仕事を適当にして、母の待つ実家に帰ってあげようと思った。

ト書き〈自分の家庭の紹介の感じで〉

NA)
私がこう思ったのには理由(わけ)がある。
実は私の父親は少し前に事故で亡くなった。だから母はずっと実家で1人暮らしなのだ。
そんな母に淋しい思いをさせたくない私は、これまで以上に精一杯、親孝行してあげようと思った。

ト書き〈田舎の最寄り駅にて〉

万葉)「はーー着いた~~♪」

万葉)「やーっぱ東京からは遠いんだなぁ~。てか、ここも全然変わらないねー。昔のまんまだ(笑)」

ト書き〈実家に到着〉

和子)「よく帰って来たわね~♪疲れたでしょ?ちょっと体伸ばしてゆっくりしなさい」

万葉)「うん!やっぱ東京からは遠いよ~(汗)」(そう言いながら寝転ぶ)

NA)
久し振りに見た母はあまり変わってない。むしろ私が上京してからずっと1人で暮らしているからか、前よりなんか逞しくなったような感じがした。
顔のシワも以前より目立たなくなったように見え、テキパキ動いている母を見ていると、なんだか東京の生活で疲れている私より、ずいぶん若返ってるようにさえ見えた程だ。

万葉)「母さん、なんか前より若返ったんじゃない?(笑)」

和子)「(笑)そんな事ないよ。やっぱり歳ってのはね、着実に体に重なっていくもんよ」

万葉)「親戚のおじさんとかおばさんとか、よく来てくれてる?」

和子)「うん、大丈夫だよ。いつも母さんが家にいる時なんかね、夕飯のおすそ分けとか持って来てくれるのよ♪この前なんか結構な人数が集まって来て、わいわい騒いでたんだから♪」

万葉)「ふぅん。でもよかった♪みんな優しくしてくれてるんだね♪」

和子)「それよりアンタ、そろそろ良い男(ひと)見付けて、結婚の事とか家庭持つ事も考えなさいよ。のんびりしてるとね、あっと言う間に時間なんて過ぎちゃうんだから」

万葉)「わーかってるって!大丈夫!」

NA)
実家に帰って母さんと話す時、父の事はあまり話さない。
わざとそうしている。話すと決まって悲しい気持ちになるから。
そんな母を労りながら話すけど、母はいつも決まって最後には私の結婚の事なんかの心配をして来る。
いつも「大丈夫大丈夫」なんてごまかしてるけど、実際、イイ人なんて簡単には見付からない(汗)
そんなこんなで、いつもの会話が飛び交っていた。

ト書き〈その日の夜〉

和子)「あ、そーだ。万葉、あんた明日、父さんのお墓参り行くでしょ?」

万葉)「うん行くよ」

和子)「じゃあその時に持って行く蚊取り線香、買って来てくれない?ホラ、肩に掛ける用のやつあるでしょ?」

NA)
まだ19時過ぎだったからそこらのお店も開いてると思い、私は母に言われて蚊取り線香を買いに行った。
お墓の周りには小さな川やため池なんかもあるから、蚊が結構多いのだ。

ト書き〈翌日、お墓参りにて〉

NA)
そして翌日。昨夜は旅の疲れですぐに寝た。朝9時くらいに目が覚めて、早速お墓参りの支度をしていた。
そのうち母も起きて来て、一緒に朝ご飯を食べ、父さんが眠るお墓に行った。

ト書き〈お墓に行く途中〉

万葉)「か~~!やっぱ暑いね~~(汗)ちょっと歩いただけでもうこんな汗だく…」

和子)「今年1番の暑さだって、昨日ニュースでやってたわ(汗)」

万葉)「夏は基本的に好きだけど、この暑さだけはヤなんだよなぁ~」

NA)
歩いて行く内に、段々お墓が見えて来た。
ふと見ると、すでに先客がいたようだ。
遠目から見ても分かったが、どうやらお婆さんのようだ。

ト書き〈父親のお墓の前〉

NA)
父が眠る「押川家」のお墓に着き、私と母は墓石に水を掛け、少し荒れたお墓周りを掃除し、静かに目を閉じて線香をあげた。
あのお婆さんも私達のお墓から少し離れた所で、誰かのお墓に向かって合掌している。たぶん自分の身近な人・親戚のお墓なんだろう…と私は思った。

ト書き〈墓参りから帰って実家にて〉

NA)
暑すぎる外からやっと帰り、私と母は居間で寛いだ。
その時…

和子)「あ…!蚊取り線香、お墓に忘れて来ちゃった!」

万葉)「えぇ~!忘れたの~!」

和子)「ねぇ万葉、あんたちょっと行って取って来てくんない?」

万葉)「まぁた行くのォ~~ヤだなぁ~~」

和子)「あんた、若いんだからホラ!早く行って取ってらっしゃい!」

万葉)「もぉ~~~(汗)」

NA)
蚊取り線香を入れる用のホルダーを、母は父のお墓の前に忘れて来たらしい。
蚊取り線香なんかどうだっていいのに…なんて思いつつ、仕方なくまたお墓に行った。

ト書き〈お墓にて〉

万葉)「はぁ~~あっつ…。ん?あ…あのお婆さん、まだいる?」

NA)
私がお墓に着いた時、さっき見たあのお婆さんがまだいた。お墓周りの掃除をしたり、また合唱をしている。

万葉)「(大丈夫なのかなぁ…こんな暑いのに。熱中症とかにならなきゃいいけど…)」

NA)
外は稀に見る炎天下。
お婆さんの事を私は少し心配していた。

万葉)「あ、あのお婆さん?大丈夫ですか?」

NA)
私は何となくお婆さんに声を掛けた。

琴絵)「ん?ああ、大丈夫じゃよ、大丈夫」

万葉)「でもこんなに暑いですから、どうか熱中症とかには気を付けて下さいね。あの、もしよかったらコレどうぞ。まだ口付けてませんので」

NA)
私は来る時に買ったジュースを、お婆さんに手渡した。

琴絵)「ありがとなぁ(笑顔)そいじゃ遠慮なく。あたしゃ琴絵ってんじゃ。あんたは?」

万葉)「あ、あたしは万葉って言います」

琴絵)「万葉ちゃんか~、ええ名じゃの~」

NA)
お婆さんの名前は琴絵さんと言うらしい。
見るからにお婆ちゃんって感じの人で、歳は80歳くらいだった…

ト書き〈それから数日の間の出来事〉

NA)
今年は一週間滞在する予定。
だから私はせっかくのチャンスとばかり、懐かしい実家周辺や思い出の場所なんかを、心行くまで探索しようと思った。

ト書き〈お墓周りにも何度も行く万葉〉

NA)
家からすぐの共同墓地に父は眠っており、その墓地の周りも私は何度か行った。この墓地の横を通らないと、スーパーや駅なんかに行けないってコトもある…(汗)
気温も先日に比べて少し涼しい。探索は快適なものだった。
その途中、私はあの墓地で、何度か若い女性を見掛けた…

万葉)「あ…、また女の人がいる…。それもあのお婆さんが手を合わせてたお墓の前…?」

NA)
それまで気付かなかったが、私がこれまで何度か見ていた若い女性は、あのお婆さんが合唱していたお墓の前で、お婆さんと同じように合唱していた。
その女性はまるで毎日来ているようだ。
きっとお婆さんの身内の人か、親戚の人が来てるんだろう…と私は思っていた。
そんな探索を続けていたある日の事、私は何となくまた父のお墓の前へ行った。

万葉)「あ、こんにちは。暑いですねー」

琴絵)「え?あら、あなたもお墓参り?」

万葉)「ええそうなんです(笑顔)あの、あなたもですか?」

琴絵)「ええ(笑顔)あ、あたしは琴絵って言います。よろしく」

万葉)「あ、あたしは万葉です。よろしく…」

NA)
不思議に思った。この女性も琴絵と言う。
その女性は見た感じ、たぶん30代くらい。
あのお婆さんの親族か何かなのかなぁ…と思いつつ、「琴絵」って名前の人がお婆さんの家系には多いのかな…なんて思ったりもした。

ト書き〈その後、東京へ帰るまで万葉は何度かお墓へ行く〉

NA)
それから東京へ戻るその日まで、なぜか私は気になって、父が眠るお墓へ足を運んだ。また東京へ帰ればしばらく来れないから…という気持ちも確かにあった。
しかしその度、あのお墓の前に若い女性が立っている。女性は全て違う人。合唱していたり、お墓周りの掃除をしていた。

ト書き〈お墓の前の女性に挨拶する万葉〉

万葉)「あの、こんにちは。そのお墓に眠っている方の、ご親族の方ですか?」

琴絵)「あ、はい。あの、あなたは?」

万葉)「あ、すいません(汗)私、万葉って言います」

琴絵)「万葉さん、いいお名前ですね(笑顔)私は琴絵って言います」

NA)
この女性(ひと)も琴絵さん…。
もうこれまでに、このお墓の前で合唱していた何人かの女性に声を掛けて来た。

ト書き〈少し不思議に気付く万葉〉

NA)
この時、ふと私は不思議な事に気付いた。
初めにお婆さんが合掌していたこのお墓の前に来る女性の顔は、何となくあの「お婆さん」に似ているのだ。お婆さんを若返らせていったような…そんな感じに見えていた。
そんな不思議を心の中で思った時、ふと目の前に立つその女性が奇妙な事を言い出した…

琴絵)「…あなた、そう言えば少し前にここへ、蚊取り線香を取りに来てましたね?」

万葉)「え…、あ、はい…そうですけど…。え、でもなぜあなたがそれを…?」

琴絵)「フフフ…、私はねぇ、あなたが初めにここで会った、あのお婆さんの琴絵だよ」

ト書き〈一瞬、その若い女性の顔とお婆さんの顔が二重(ダブ)る感じになる〉

万葉)「…え…?」

琴絵)「実は私はね、事故で死んじゃってるのよ。享年25歳。ホラ、この墓石にも書いてあるでしょ?でもね…もし私が生きていたら…って人生諦めきれなくて…。80歳の私から、私が死んだ25歳までの人生を、少しずつでもいいからどうしても味わいたかったの…」

琴絵)「今ちょうど25歳まで戻っちゃった…。残りの人生を少しでも味わえて嬉しかったわ。私が生きてられるのは、このお盆の時期だけ…。一瞬ずつだけど30代…40代の自分の生(せい)を味わえた…。だから…もうそろそろこのお墓に戻らなきゃね…」

NA)
そう言った後、女性はフッと姿を消した…。
私はこの女性が何を言っていたのか良く解らなかった。
「自分があのお婆さんだ」と言っている…。
その女性が戻ったお墓…私が最初に見たあのお婆さんが手を合わせていたそのお墓には、「琴絵」という名前と「享年25歳」という文字がはっきり刻まれていた…

エンディング~

デビルくん:ふぅ~ん。てか、このお婆さん一体何者?
エクソちゃん:うーん、見る限りじゃ、たぶん生霊のように彷徨ってた人…かなぁ。実は享年25歳で死んじゃってて、でも人生諦めきれなかったからって理由で、自分の30代から80代までをちょっとでも生きたかったんじゃないかな。
デビルくん:なるほど…。ん?でもそれじゃ、なんでいきなり80歳からなんだ?確か万葉が最初に見たのは80歳くらいのお婆さんで、それから若返って行ったって感じだったろ?
エクソちゃん:よくわかんないけど、多分「享年25歳」をゴールみたいにして、折り返しの形で生かされた…んじゃない?
デビルくん:まぁ確かに、そう考えりゃわかりやすいかもな…。
エクソちゃん:でもまぁお盆の時期だし、いろいろ不思議な事があってもおかしくないわよね。

動画はこちら(^^♪
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