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タダヨシユキ「ミュージックマガジン」

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記事一覧

クリエイティブの共通項:音楽のサンプリングとリミックスがデザイン開発にもたらすインスピレーション

イントロダクション 音楽とデザイン開発は、見た目と聴こえに違いはありますが、共通のクリエイティブなアプローチを共有しています。特に、音楽制作におけるサンプリングとリミックスと、デザイン開発における市場調査やアイデアの吸収、再構築といった要素には驚くほどの類似性が見受けられます。この記事では、音楽とデザインがクリエイティブな観点で繋がり合う魅力的な側面に焦点を当てます。 サンプリングの本質 サンプリングは音楽制作において、特定の音の素材を得るための手法です。これは、楽器の

ピンクパンサレスの魅力に迫る:『Heaven Knows』アルバムインプレッション

2023年のブレイク・アウト・アクトとして脚光を浴びるPinkPantheress(ピンクパンサレス)が、11月10日にリリースしたファースト・オリジナル・アルバム『Heaven Knows』に注目が集まっています。イギリスやアメリカでは既にチャートを席巻し、高い評価を受けている中、日本でも話題となりつつあります。 PinkPantheress 『Heaven knows』 Release Date:2023.11.10 (Fri.) Tracklist: 1. Anoth

NewJeans『Ditto』のボルチモアクラブ・ジャージークラブ感を解剖

本稿は、高橋芳朗氏が、2023年1月26日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でニュージーンズについてトークについてまとめたものと、音楽情報サイト「YGDB」からの情報をまとめたものです。 NewJeans『Ditto』のサウンド面の特徴、ボルチモアクラブ・ジャージークラブ感についての解説となります。 NewJeans(ニュージーンズ)の最新ヒット曲「Ditto」は、ボルチモアクラブとジャージークラブの魅力的な融合を堪能させる楽曲として注目されています。この

ジョン・ボーナムのドラミングの魔法: テクニックの奥深さ

序章: ジョン・ボーナムとは ジョン・ボーナム、その名前はレッド・ツェッペリンとともにロックの歴史に刻まれた伝説的なドラマー。彼のドラミングはただ演奏に留まらず、まるで魔法のようなリズム感とテクニックが詰まっていました。この記事では、彼のドラミングテクニックの奥深さに迫ります。 第1章: リズムの魔法 ジョン・ボーナムの特筆すべき点の一つは、そのリズム感です。彼は裏の拍を小刻みに刻む独自のスタイルで、まるでシンコペーションの魔法をかけるかのようにリズムを操りました。その

『ビッチェズ・ブリュー』:ジャズとロックの融合から生まれる革新的な音楽の傑作

序論 1970年にリリースされた『ビッチェズ・ブリュー』は、マイルス・デイヴィスの音楽の歴史においてもっとも驚嘆すべきアルバムの一つであり、ジャズとロックの領域を融合し、新たな音楽の地平を切り拓いた傑作です。このアルバムは、西洋音楽の先鋭的な側面と深遠なグルーヴが結びつき、ジャズとロックに対して全く新しいコンセプトを提示しました。 マイルス・デイヴィスの前進 1969年、マイルス・デイヴィスはジャズの帝王として知られていましたが、若手ミュージシャンの躍進や時代の変化に対

ボサノヴァと暮らしのエッセイ

ボサノヴァというジャンルは、その柔らかくスウィングしたリズムと独特のメロディーで、ブラジル音楽の中でも特に魅力的なものとされています。ボサノバは単なる音楽だけでなく、生活様式や文化とも深く結びついており、これを日常に取り入れることで、心地よいリズムに包まれた暮らしを楽しむことができます。 ボサノヴァの魅力は、その起源にも関わります。1950年代初頭、ブラジルのリオデジャネイロで、アントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトなどの才能あるミュージシャンたちによって生ま

シンセサイザーを使ったドローンサウンドの魅力

シンセサイザーは、その多様な機能と柔軟性から、様々な音楽ジャンルで重要な役割を果たしてきました。特に、シンセサイザーを使ったドローンサウンドは、その特異な響きとエモーショナルな表現力で、多くのアーティストやリスナーを魅了してきました。今回は、シンセサイザーを使用して生み出されるドローンサウンドの魅力に焦点を当て、その代表的な機器と音楽について紹介します。 ドローンサウンドの特徴ドローンサウンドは、持続的な音色やフィードバック、ループ、ノイズなどの要素を組み合わせて構築される

反抗のエッジ:リザードという名のパンクアイコン

New Kids In The City (リザード) 子どもたちが遊んでいる 裏通りの陽だまりで きらめく風に吹かれながら 子どもたちが駆けていく そして未来が呼んでいる お前の未来が呼んでいる 子どもたちは空を見上げて 来るべき時を待っている New kids In the city Good bye old World Bonsoir 子どもたちが遊んでいる 裏通りの陽だまりで きらめく風に吹かれながら 子どもたちが駆けていく 新しい子どもたちが生まれ 新

マイルス・デイヴィスのジャズと現代アートの対話

マイルス・デイヴィスは20世紀のジャズシーンにおいて、音楽の新しい領域を切り拓く存在として不動の地位を築いてきました。特に、彼のインプロビゼーション(即興演奏)とその音楽の進化は、現代アートとの深い対話を引き起こしました。このコラムでは、マイルス・デイヴィスのジャズと現代アートとの関わりに焦点を当て、1970年代の作品を中心にいかにして新たな芸術の可能性を切り開いたかを探求します。 1. インプロビゼーションの美学 デイヴィスは常に即興演奏において冒険を求め、音楽の瞬間的

人生のメロディーを巡る和やかな旅: Getz Au Go Go ジャズボッサ探究

はじめに 人生の中で、記憶のキャンバスに鮮やかな色彩のように浮かび上がる音楽がある。私にとっては、スタン・ゲッツとアストラッド・ジルベルトが、1964年8月と10月の録音でジャズクラブ「カフェ・オー・ゴー・ゴー」でライブ共演した魅惑的なアルバム『Getz / Gilberto at Caf'e Au Go Go』が、そのひとつである。このエッセイでは、このアルバムが、私の感性と感覚の一部を作り上げた偉大なジャズボッサ作品として取り上げる。 舞台の背景 このアルバムは、ニ

20世紀の音楽に革新をもたらした4人の作曲家――ジョン・ケージ、ラ・モンテ・ヤング、テリー・ライリー、スティーヴ・ライヒ

音楽は常に変化と発展を続ける芸術であり、その歴史には多くの革新的な作曲家や作品が登場してきました。その中でも、20世紀の音楽において特に大きな影響を与えた4人の作曲家がいます。それは、ジョン・ケージ、ラ・モンテ・ヤング、テリー・ライリー、スティーヴ・ライヒです。彼らはそれぞれ異なるアイデアとアプローチを持ちながらも、共通して音楽の限界を広げ、新たな可能性を探求しました。この記事では、彼らの音楽とその特徴について紹介します。 ジョン・ケージジョン・ケージは1912年にアメリカ

ミニマル・ミュージックとは

ミニマル・ミュージックとは、20世紀の音楽において新たなアイデアとアプローチを提供し、音楽の限界を広げた音楽のジャンルです。ミニマル・ミュージックは、最小限の音の動きの中で繰り返しが起き、その曲調が洗練された音楽で、聞き手をじっくり心地の良い世界へと連れていき、「音楽に酔いしれる感覚」を刺激することが特徴です。 ミニマル・ミュージックの誕生ミニマル・ミュージックは、1960年代にアメリカで生まれました。その時期には、テリー・ライリーの「In C」(1964年)やスティーヴ・

パンクロックとデザイン

ロンドンパンクの登場 1977年、私が小学校5年生の時、音楽とデザインが私の人生に大きな影響を与える瞬間を迎えました。1977年10月、唯一のオリジナル・ファースト・アルバム『勝手にしやがれ!!』を発売、セックスピストルズがデビューした。これは音楽シーンにおける一つの革命でした。当時、私の音楽の世界はクイーン、キッス、エアロスミス、レッドツェッペリンなどのハードロックバンドに支配されており、姉の影響で音楽に親しむ日々を過ごしていました。また、渋谷陽一氏のラジオ番組をエアチェッ

ジェネラティブアート: コードから創造性への旅

芸術は常に進化し続けています。新しいテクノロジーの登場は、芸術の可能性を広げ、アーティストたちに新たな道を切り拓く機会を提供してきました。その中でも、ジェネラティブアートは、コンピュータープログラムとアルゴリズムを使用して新しい芸術を生み出すアート形式として注目されています。この記事では、ジェネラティブアートの面白さと創造性に焦点を当てて探ります。 セクション 1: 創造性の未知の領域ジェネラティブアートは、伝統的なアート形式とは異なり、予測不可能な創造性の可能性を秘めてい