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タダヨシユキ「デザインビジネス」

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デザイナーの視点でビジネスを考察する
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記事一覧

実用と美:日本の製品文化の真の意味

我々が日常的に使用する製品は、実用性を重視したものがほとんどです。それらは、生活や仕事を行う上で欠かせない道具として設計されています。しかし、実用性だけでなく、美しさも重要な要素です。 日本の製品には、「実用の美」と呼ばれる独自の美しさがあります。これは、実用性を重視しながらも、美しいデザインや工芸品としての価値を持つ製品を指します。日本の製品は、その製造者が持つ精神や伝統を反映しており、世界に誇るべきものです。 一方で、市場ではマニュアル化された製品や虚飾化されたものが

意外な発想を持たないとあなたの価値は出ない----迷ったら、危険な道に賭けるんだ

これは、芸術家である「岡本太郎」が、『自分の中に毒を持て』という著書の第一章の中のタイトル文です。 岡本太郎は常に斬新なアイデアや挑戦的な発想で知られています。彼の作品や言葉は、従来の概念や価値観に挑戦し、新しい視点を提供しています。彼の「意外な発想を持たないとあなたの価値は出ない」という言葉は、そのまま彼の芸術的哲学を体現しています。この言葉は、私たちに、既存の考え方にとらわれず、常に新しい視点を求めることの重要性を教えてくれます。 人は普段、安定や予測可能性を好みます

感受性と感性:心の表現の奥深さ

感受性と感性は、人間の心理や行動における重要な要素であり、個々の人格形成や芸術的表現、創造性などに影響を与えます。これらの概念はしばしば混同されることがありますが、微妙な違いがあります。 感受性は、外部からの刺激に対する反応の強さや速さを指します。感受性の高い人は、音楽や美術、文学などの芸術に深く共感し、強い感情を抱く傾向があります。彼らは日常的な出来事にも敏感であり、繊細な気質を持っています。また、他人の感情に共感しやすい傾向があります。 一方、感性は、内面的な情報処理

もうけを先に考えると、ことが汚くなる

松下幸之助は、日本を代表する実業家であり、パナソニック(当時の社名は松下電器産業)の創業者として知られています。彼の経営哲学や名言は、今日でもビジネスの世界で広く引用され、その洞察力と哲学的な側面から多くの人々に影響を与えています。その中でも、「儲けを先に考えるとことが汚くなる」という言葉は、特に深い意味を持ち、経済活動や社会における価値観について考えさせられる重要なメッセージを含んでいます。 松下幸之助の背景と思想松下幸之助は1894年に和歌山県で生まれ、幼少期から起業家

デザイン感性の重要性:感性の乏しい者と感度の高い者の行方

デザインは、単なる視覚的な魅力を追求するだけではなく、製品やサービスの価値を最大化する重要な要素です。しかし、そのデザインの背後には感性が不可欠です。感性とは、芸術的な鍛錬や文化的な経験から得られる洞察力や直感力のことです。 感性の豊かな人々は、デザインの細部や意図を敏感に捉え、それによって製品やサービスに対する満足度が高まります。 一方、感性の乏しい人は、デザインの重要性や意図を理解しにくい傾向があります。彼らは単に視覚的な美しさだけを追求し、製品やサービスの本質を見逃

モノづくりの成功に欠かせない協力業者とのコミュニケーション術

私が普段お付き合いしている協力業者さん、製造メーカーさん、とモノづくりを行う上でいつも心掛けている内容をまとめてみました。交渉にあたってのノウハウも記しておきます。 皆さんのお仕事に何か役に立てればと考えてブログとして簡素にまとめます。 1.協力業者との対等な関係構築【アクション: 50/50(フィフティ、フィフティ)】 協力業者を下請けではなく仲間と見なし、対等な関係を築くことが重要です。上位企業であるかのような態度ではなく、心のこもった付き合いが大切です。フィフティ

クリエイティブの共通項:音楽のサンプリングとリミックスがデザイン開発にもたらすインスピレーション

イントロダクション 音楽とデザイン開発は、見た目と聴こえに違いはありますが、共通のクリエイティブなアプローチを共有しています。特に、音楽制作におけるサンプリングとリミックスと、デザイン開発における市場調査やアイデアの吸収、再構築といった要素には驚くほどの類似性が見受けられます。この記事では、音楽とデザインがクリエイティブな観点で繋がり合う魅力的な側面に焦点を当てます。 サンプリングの本質 サンプリングは音楽制作において、特定の音の素材を得るための手法です。これは、楽器の

カニバリ恐怖症

ビジネス用語の中で「カニバリ」という言葉をご存じだろうか。もともとは共食いを意味する英語で、カニバリゼーションから派生しています。 もう少しわかりやすく言えば、「自社の新製品や新事業によって既存の製品や事業の売上が減少すること」です。 この言葉がもたらすビジネス上の悩みや誤解、そして新しい視点について考えてみましょう。 1. カニバリの本質 「カニバリ」とは、新たな製品や事業が既存のものと競合し、その結果として既存の売上が減少する現象を指します。 これは共食いの英語

エリートが経営において「アート」と「サイエンス」を求める理由

【はじめに】 エリートたちがなぜ経営において「アート」と「サイエンス」の両方を求めるようになったのか、その背後にある理由に迫る画期的な視点を提供しています。従来の論理的思考やMBAだけでは戦えない現代社会において、「美意識」がいかに重要であるかを明らかにしています。 【直感と感性の時代】 複雑で不安定な時代において、エリートたちは従来の「分析」「論理」「理性」に基づく経営が限界に達していることを認識しています。そのため、直感と感性が重要視され、これまで以上に「美意識」

デザイナーは目立ちやがりですか?

デザイナーの傾向は人により異なりますが、一般的にはデザイナーが自分の仕事に誇りを持ち、その成果を他人に見てもらいたいという気持ちが強い場合があります。 これは、創造的な仕事であるデザインが視覚的に目に留まることや評価されることを望む自然な傾向かもしれません。ただし、目立つことが目的ではなく、製品やデザイン自体が際立つことが本質的な目標とされます。 個々のデザイナーの性格や価値観によりますが、デザインの成果物が注目されることでクリエイティブなフィードバックを得ることや、プロ

ビジネスの未来を切り拓く:ニッチの論理と小規模企業の挑戦

ビジネスの世界において、大手企業が確立したビジネスモデルが確実性を重視する一方で、小規模企業は市場投入の速さやチャレンジングな開発を通じて競争力を発揮します。本記事では、大手企業が避けがちな領域である「ニッチの論理」に焦点を当て、小規模企業がどのようにその中でビジネスチャンスを見出し、成功を収めているかを探っていきます。 ​​ 大手企業は多くの社員を抱え、収益を確実に上げる必要があります。そのため、確実に売れる商品づくりに焦点を当て、無難なノウハウを重視することが一般的です

本当の幸福と使命感:自分が良いと思えないものを売る苦しみ

「自分はいいと思えないものを売らねばならぬ仕事」。この言葉に共感する人は多いことでしょう。特に組織で従事するサラリーマン。自らの価値観や信念と合わない商品やサービスを提供することは、精神的な負担とモラルの葛藤を引き起こします。 今回はこの厳しい現実に直面する、特に企業に勤めるサラリーマンへの精神的支援と、これから使命感を持ちつつ幸福なビジネスを築く方法を模索していきます。 売れそうもない商品を売らなければいけない葛藤 ​​ 会社都合で出来上がった商品「いいと思えないもの

開発者の極意:大阪弁で語る、技術者の心得!

「開発者の極意、まぁ分かるか! 大阪弁で語る技術者のノウハウや! 最初やな、ベースはコツコツ地道に。一発逆転もアリやけど、日々の努力がええ仕事に繋がるねん。あかんことがあっても、『やり直せるやろ』って気持ちを忘れずに。 次に、好奇心が大事や。技術はどんどん進化してくもんや。新しいことにチャレンジせんと、お前の時代は終わっとるで。新しい技術やツールに敏感になって、常にアップデートや! おお、もちろんやけど、チームワークがあかんとな。一匹狼でも、一緒に働くんやから仲間との連携

商いってなんやねん! 大阪弁でビジネス論

おおきに!商いって、まあなんやろなぁ。お金のやりとりしてるってだけやなくて、心と心のやりとりやねん。まず一番大事なのは、お客さんとのコミュニケーションやで。商いは言葉でつながるもんや。おおきな声で挨拶して、笑顔で接することが大事やな。 ワシら大阪の商人は、おおらかで温かいんやで。お客さんが来たら、毎度おおきに!って、もてなしの心を忘れずに。商いはお互いが嬉しい気持ちで成り立ってるもんや。一緒に笑って、一緒に喜んでもろて、それが商いの基本やで。 でもな、商いはただ笑顔だけし