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「泣ける映画TOP30」に入れられなかった極私的号泣映画

U-NEXT映画部・林です。映画部員5名が本気で選んだ「泣ける映画TOP30」がU-NEXT SQUAREで公開されました。これ、結構気合いが入っておりまして、U-NEXTで配信中の映画1万6000本の中から5名でそれぞれに泣けると思うノミネート作品を合計100本以上選出し、それらに対して全員で得点を付け、ディスカッションを重ね、映えあるTOP30を決定したものです。

いやー我らながら素晴らしいラインナップですね!どんな映画でも泣こうと思えば泣ける涙腺弱々マンの僕にとってこのTOP30は、場面写真を眺めているだけで号泣可能。流れる涙を拭うことなく、ひとり頷きながらアルコールを啜りたいと思います。

さて、厳正な審査を経て決まったTOP30ですので、個人的には「これも入れたかった!」という作品がたくさんあります。面白いことに、映画の「泣ける」について議論していくと、「それは『まっすぐ泣ける』じゃなくて『ある意味泣ける』だよね」ということが多々ありました。そういうちょっと特殊な、注釈付きの泣ける、は断腸の思いで選外にしましたので、ここではそんな"ある意味"系の極私的号泣映画をご紹介します。

▶"トムには何度ありがとうを言っても言い足りないよ"泣き
トップガン マーヴェリック

映画本編も問答無用に傑作ですが、この映画への涙は、本当に世界中の観客のことを大切にしているトムの愛とか、コロナ禍なのに配信だけで終わらせずとことん映画館での上映にこだわってくれたところとか、ヴァル・キルマーやトニー・スコットへの想いとか、歳を重ねた主人公とトムの境遇が重なるところとか、そういう「背景」とも言える数々が本編の素晴らしさと相俟って涙腺ツンツン力増幅→決壊となった結果なのです。

▶"こんなハッピーエンドがあるのかよ"泣き
『パンズ・ラビリンス』

スペイン内戦の時代、大人の都合に翻弄され、苦し過ぎる毎日を送る少女が、現実と空想の世界を行き来し、その境界線は次第に曖昧になっていく…。『シェイプ・オブ・ウォーター』でオスカーを獲得したギレルモ・デル・トロですが、彼の最高傑作は2006年に撮ったこれだと個人的には思っています。あまりにもつらく切ない物語に、恐ろしくて美しい描写の数々。最後には、これはもうハッピーエンドだということにしたい…いや、お願いだから誰かハッピーエンドだと言ってくれ!と痛切な感情が湧き起こるダークファンタジーの最高峰です。

▶"完璧なものに触れてしまったよ"泣き
パラサイト 半地下の家族

完璧なものを観ると人はワケもわからず泣いてしまうのだな、ということを『殺人の追憶』鑑賞時に経験したのですが、15年ぶりにそれを味わったのは、結局同じ監督の作品でした。でも、この映画を観終えて劇場から出てくる人たちは一様に無表情あるいは思案顔だったので、一般的には「泣ける映画」ではないのでしょう。そんな中、僕以外に涙を流しながら出てきたのがひとりだけいて、それは妻でした。あらま素敵な話。

▶"本編観る前に仕上がっちゃうよ"泣き
『ジョーカー』のUS版予告

これもある意味「完璧泣き」ですね。映画本編ももちろんいいんですけど、この完璧な予告には感情が揺さぶられ過ぎて、最後にはもう震えが来そうになるんですよね。800回くらい観たと思います。

▶"カラダの中の全水分が目から出ちゃうよ"泣き
『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん~』

こちらは"ある意味"系ではなく"まっすぐ泣き"の映画ですが、単純に配信前だったのでTOP30に入れられず、ここでご紹介させてください。

認知症になった80代の妻を、90代の夫が支える姿を綴り、話題を呼んだドキュメンタリー映画の続編です。老いや認知症への恐れ、介護問題、超高齢社会の実情、という身につまされたり考えさせられたりする部分ももちろんあるのですが、そこを遥かに超えた感動や温かい余韻が残るのは、類稀なる被写体の魅力と、実の娘である監督の愛があるから。特に、ひとつのゴールに辿り着く続編には、もう号泣を超えて、烈泣。老父、老母と娘、この3人による全関係性=6本の矢印は、すべて完全な慈しみからできていて、画面に映し出される生活の景色は決して綺麗なものばかりではないのですが、本当に「美しい」と思わされる映画です。

7月7日配信開始ですので、まずは前作をご覧になってお待ちください。

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