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🎋 映画監督 布施理恵子の手帳 『かぐや姫』製作記 135

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「もっとあるよ」

やったー!ありがとう!プーさん!もう一皿頂きたいわ!って言おうとしたけど、さすがに止めた。お茶も飲んだ、うん。準備オッケーよ。ミケ。じゃあわたし、説明するね、プーさんに。

「軽尾さん、もうニュースでお聞きになったと思いますけど」

「えっ⁈うん」

「という訳で、久美ちゃんはわたしの方から、はい、今回の撮影は見合わせて頂く様に、正式に先程伝えました」

すると奥様。
「そう…やっぱり。久美ちゃん、『かぐや姫』降板…」
奥様、目だけあらぬ方へ。

「はい」

「映画は?」
こりはプーさん。

「はい。交代を立てて」

ミケ、お耳がピーン!逆立ってるー!

「誰か…いるの?正直、ボカァ松浪…」

「軽尾さん!お姉ちゃんを起用したいの!」

ミケプー奥様、シーン…
フフーン、言っちゃった。

「お、お姉ちゃん?もしかして、ウチのお姉ちゃん?」
「そう!そうですの!是非!『かぐや姫』に!」
「ちょっとちょっとちょっと」
くまプー、頭掻く。ビックリしたー?ね?わたしもビックリ!だって何か偶然なよな狙ってたかのよな、何が何だかクルクルポンですもんね、クルクルポンッ!あ、しつこいですけど、クルクルパーではありません、ネンタメ。
「ウチのお姉ちゃんだって?そんな…だってお姉ちゃん、演技なんかやった事ないよ?」
くまプー、やっぱ混乱してる。ちょっと表情が…困ってる?あんまり嬉しそうじゃなさめ。うーん…
「それはわたしどもに任せて下さい。お姉ちゃんは、“絵”になります」
ピッと核心を突く。どうかなぁ…
「母さん…」
軽尾さん、奥様の方を。すると、わたしも奥様を見たら、何と、スンゴイ笑顔!歯が全部見えました!嘘じゃありません事よ!ワー…圧倒的ー!

「いいじゃない。お姉ちゃんに聞いてみましょ」
その笑顔のまま軽尾さんの方を向いて、奥様は言いました。
「お姉ちゃんに聞く?いや!しかしボカァ…」
「ボクも何もないの。布施さん達も切迫詰まってるんだから。あなたは久美ちゃんが好きだから、出れなくなったのが残念で後ろ髪引かれてるだけでしょう?」
「それは…しかし。いや、そりゃあそうだよ。けれど、お姉ちゃんはもう留学するじゃないか。来月」

はい!皆んな止まりました、止まりましたよー!どうするフセリエ?でもここが正念場なんです!はいぃ!

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