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我、死の陰の谷を歩むとも、我、恐るまじ

壽屋(現サントリー)のコピーライターであり、晩年は「オーパ!」など釣りをテーマにした著作を数多く発表した 作家 開高 健。

1965年2月、彼はベトナムでの従軍取材中、敵に包囲され、部隊200人の内、わずか17人のみが生還する過酷な体験をしています。

この体験をもとに、サイゴンの路地裏にあった彫り物屋で、愛用のジッポライターに、彼はある魔よけの言葉を刻ませました。

元ネタは米兵から聞いたスラングだそう。
もちろん、英語で書いてあります(原文ママ)。

YEA THOUGH I WALK
THROUGH THE VALLEY
OF THE SHADOW OF
DEATH I WILL FEAR NO
EVIL FOR I AM THE
EVILEST SON OF BITCH
IN THE VALLEY

開高 健 / 風に訊け

和訳するとこんな感じです。

「イェー
たとえ、我、死の陰の谷を歩むとも、我、恐るまじ
なぜなら、
俺こそが、死の陰の谷に住むド畜生野郎だからよ」

聖書の一節をパロディ化したと思われますが、戦場で明日をも知れぬ若者が、運命を自嘲しながらも、開き直って生に向かおうとする魂の叫びを感じとれます。

なんでこんなことを書いたかですって?

それは…
我が家が全員そろって凶のおみくじを引いたからです。

死の陰の谷のド畜生野郎どころか、
サバイバル一家になってしまいました。
これからは家族皆でたくましく生き抜こうと思います。

皆さん、どんな状況になっても、
開き直っちゃいましょう。

道も業も未完成だ
両方ともこれほど不完全だとは
それを自覚すると心はますます乱れ
かえって迷うばかりだ

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