ドラマ「滅相もない」第五話

昨日のドラマ「滅相も無い」はこれまでで一番身に染みた。


司法試験を目指して就職もせず母親の仕送りで生活している渡邊。54歳。
母も高齢になり、今は姉にお金を借りてるようだけど、
それももう次で終わりと言われ
「俺に人生終われって言うのか」と逆ギレする。
仕方なく映画館でバイト始めても屈折しまくってるから、自
分の時給では到底変えない飲み物とポップコーンを買いに来る
客への嫉妬心から店のアイスをこっそり食べてくびになる。
他のバイトをしても続かず、人生一発逆転目指してサラ金らしきところで
借金してタイに行こうとするけど飛行機乗り遅れてタイには行けず、
ドバイに行く。
YouTuberに会えるかと思ったけど会えるはずもなく
買春した相手が日本人でそこで身の上話を始めて、これまでの人生で
初めてまともな会話をしたらしい。
そんなこんなで穴に入ることにしたみたいだけど、
穴に入る前に姉と電話で話してるうちに引き返して、母と姉に会いに行き
穴には入ったんだか入らなかったんだか…
という「取り返しがつかない」男の話

働く気もないし、働くことにもとことん向いてない男。
そしてそのことに恐らく罪悪感もない。
普通に考えればどうしようもないクズなんだろうけど
こういう人って絶対世の中に一定数いるんだよね。
いつの時代も。

そういう人の中で奇跡的に後世に名を残した偉人が
ルターだったりマルクスだったりゴッホだったりする。

のちに偉人になる人とこの渡邊の違いって何?
志?志があれば働かなくても許される?そんなことないと思うんだよね。
たまたま後から評価されるけど生きてる当時は周りから
色んなこと言われてただろうし
きっとクズ扱いもされてたと思う。

のちの評価は生きてるときには関係ないし
ドラマの渡邊とゴッホって生きてるときの事象としては
何の違いもないと思う。
だから渡邊みたいな人を否定するつもりにはなれない。
彼を否定すると「人間はただ存在するだけでよい」
ということを否定することになるから。

とはいえ身近にいたら大変だよなとは思う。
姉が「私が死んだらどうするの?だから私より先に死んでよ」って
言う場面があって家族の心情としては本音なんだと思う。

私の兄がうつ病になって仕事を辞めてその後も就職できないまま
あるとき突然死のような形で亡くなったのだけど
本人の生きる気力というものが奪われていくと
緩やかに死へ向かって行くのだと思う。

そういう人が生きていけない社会ってシステムとして限界だと思うけど
それが新しい資本主義ってやつで解決したらいいのになぁって思う。

知らんけど。



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