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犬も歩けば介護予防⑤ 歩行を取り戻す

歩けなくなったらどうするか?

ここまで、犬の介護予防には「歩けること」が鍵になるというお話をしてきました。
では実際に、愛犬の歩行に問題が出てきたらどうしたらよいでしょうか。
立てない、歩けないなどの問題には、生活上の困難を引き起こすケースが多いため、リハビリを適切に行うことでその解決をめざします。

現状把握をする

そのために、まずは現状把握が必要です。
それには「介護予防④」にあったように、動物病院で診てもらい、診断をしてもらうことがスタートです。
老化や病気、何が原因でこれからどうすれば良いのかを獣医に示してもらうことで、愛犬の現状を把握し、今後の対策を考えます。

安静?運動?

診察の結果では、獣医から安静にした方が良いと言われることも多いでしょう。しかし、現在はリハビリに力を入れている動物病院も増えてきました。
人の医療でも術後や老化の状態を見ながら、リハビリ運動を勧められることが多いのではと思います。
犬の場合も同じで「安静に」してそのまま動かない生活に入り、筋力が落ちて歩けなくなるのはもったいないことです。

注意が必要なのは、食欲がない、痛みが強い、熱がある、ぐったりしている、進行した重い病気、体力がないなど、状態によって安静が第一の場合もあることです。
運動か安静かの見極めには、獣医とよく話をして現状を把握すること、また治療で痛みのコントロールが出来ているかどうかも重要です。そのうえで運動能力の維持、向上をはかるとよいと思います。

歩けないことが大変になるのはなぜか?

犬にリハビリと聞くと、「そこまで必要になるのはどうしてだろう?」という疑問も出てくるかもしれません。
そこで、歩行と立ち上がりが自力で出来なくなることの先に、どんな問題があるのかをみてみます。

歩行困難の状態では、夜鳴き、床ずれ、身体の循環、もがき傷、排泄、寝不足、退屈、食欲低下、のどの渇き、便秘、身体の痛みなどの問題を引き起こしやすくなります。
動物は動くことで、心身の健康を維持しているのです。

そして、要介護の犬との生活で1番の問題となるのは、夜鳴きです。
ほとんど1日中、鳴き続けますが、特に深夜から早朝にかけて続く吠えは、介護者の健康と人間関係に深刻な影響を及ぼします。
老犬ホームに預ける理由で常時第5位以内に入るのも、この夜鳴きです。それは愛犬を手放すほどの状況になりえることを表しています。

リハビリを行うには

歩行の回復には、犬のリハビリを行う専門家に愛犬をみてもらいましょう。
現在は犬の整体、リハビリ、老化予防運動、温活やマッサージなどを組み合わせて、犬の身体のケアを行うところが多いです。
これらのペットサービスが関東エリア、特に東京に集中しているのがこれからの課題ですが、じわじわと全国に増えつつあります。

施術者には人の整体士、理学療法士が、犬の整体の世界に増えてきています。
犬の介護士も整体、リハビリ、老化予防運動、マッサージ、温灸などのケアを行います。介護士それぞれに特性があり、得意なサービスもさまざまです。

身体機能の回復に特化した悩みなら犬の整体士、ほかの生活上の悩み(排泄、食事、生活環境、身体のお手入れなど犬の生活全般)と身体の回復ケアを一緒に頼みたい場合は犬の介護士など、使い分けるとよいと思います。

リハビリの内容

獣医師の診断を元に、暮らしのカウンセリングを行い、飼主さんのご希望を聞き、それらに沿ってプランを立て、施術をするところが多いと思います。
問題が初期の場合から、進行したケースまで、その時点で出来ることを提案し、施術を行ってくれるでしょう。
家庭でできるケアや工夫のアドバイスもしてもらえると思います。

形態は訪問型と施設型とがあります。犬のイベントなどで施術を受けられることもあるので、そういった機会に何件かお試しで受けておくと、相性の良い施術者と出会えるかもしれません。

シニア犬では身体が楽になるのを感じると身を任せたり、寝落ちしたりするケースが多いように感じます。
若い犬では、人間の子どもがくすぐったがるのと同じように、マッサージなどはあまり喜ばないこともあります。

穏やかな時間のために

身体が楽になることは、心も楽にしてくれます。
犬にも健康寿命が第一に考えられ、その実現のために行われるケアサービスが充実してきました。犬の介護も生活の介助だけではなく、身体の自立支援を含んだケアが実践されています。

犬には年齢に関係なく、歩きたい欲求があります。歩くことで心身の調整をしているように見受けられることもあります。「自分で出来る」は犬のプライドを守り、尊重することにつながってもいます。
歩行を保つことは、犬のQOLを上げる大きな助けになってくれることでしょう。

飼主にとっても、介護疲れや介護うつの予防と軽減に一役買ってくれる歩行の回復や促進。
肝心なのは、介護する人の楽を作ることです。24時間毎日続く介護では、「楽にする」ことをどんどん取り入れ、味方につけていきましょう。

愛犬との時間を穏やかに、最期までずっと一緒にいられる。そんな願いのために、犬の介護サービスの努力はあるように感じています。

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