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KpopMVアートの世界-VM Project Architectureとアート(feat.SEVENTEEN)

VM Project Architecture:韓国の映像制作会社で、IU、EXO、BLACK PINK、など様々な韓国アーティストのMVを手がけている。

SEVENTEEN:韓国の有名なアイドルグループであり、13人のメンバーで構成、楽曲やダンスを自ら制作。HIPHOP TEAM、VOCAL TEAM、PERFORMANCE  TEAMの三つグループに分かれて楽曲を発表することもある


なぜ、人生で初めてのブログの初めての投稿がVM Project Architecture(以下愛を込めてVMとする)とSEVENTEEN(以下愛を込めてセブチとする )のコラボの作品の話なのか。理由はただ一つである。この不思議で面白くかっこよくセンス抜群のKPOPのMVアートの世界に連れてきてくれたのがセブチ HIPHOP TEAMのTRAUMAという曲のMVでそれを制作したのがVMなのだ。

SVT HIPHOPTEAM - 'TRAUMA'

このMVを見た時、正直やべえしか言葉が出なかった。かっこいいとか好みだなとかではなく、あまりのセンスと色感の良さにほとんど嫉妬に近い驚きがあった。それがKpopMVアートの世界との出会いだ。

少しこの曲の説明をすると、彼らはこの曲の中で、自分自身のトラウマについて歌っている。一人一人のトラウマは違うが、その根底には共通して孤独があることを感じられる。

HIPHOP TEAM-TRAUMAのMVは完全にセットでの撮影。ライト、色彩、セット、小物の配置、その全てが作られており鏡やライトを最大限使った視覚的に面白い構図のシーンが多い。色彩に富んでおり非常にカラフルで美しいのに、曲のテーマであるトラウマをうまく表している。色彩があるところ、白黒のところをうまく使い分けると同時にセットが全体的に閉塞的でなのでどこか窮屈で、鏡などを使い視覚的に不可思議なシーンを作ることで、不安感を生み出し、彼らのトラウマや彼らの孤独を確実に表現してる。

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絵画と現代アートの影響

このMVはアメリカの画家エドワード・ホッパーから影響を受けたという話をVMのインスタストーリーでしていたらしく、それをTwitterで翻訳してくださっている方がいました。Twitter情報なので確かではないけど、エドワード・ホッパーの作品の表現する、現代人の持つ孤独感からインスピレーションを受けたという話を知った時、すぐに彼の代表作「Nighthawks」を思い出した。

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(画像引用:ART INSTITVTE CHICAGO https://www.artic.edu/artworks/111628/nighthawks)

光の雰囲気や色など視覚的にも共通点はものすごく多いが、一番共通するところは、どちらも色彩や構図の巧みさなど視覚的にはすごく面白く美しいのに、その背景になんとも言えない孤独感を感じる。直接的な表現ではない分、その美しさが現代人の持つ孤独感のようなものを強く引き立てさせる。

もう一つエドワード・ホッパーの作品を紹介したい。

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(画像引用:https://www.edwardhopper.net/rooms-by-the-sea.jsp)

これは「rooms by the sea」という作品だ。雰囲気は少し違うが、左端に奥の部屋が見える構図がMVの中で壁が動いて奥の部屋が出てくる映像を思い起こさ、光の入り方などもどこか似た雰囲気を感じさせるシーンがある。


そしてさらにもう一つ、現代アートの影響について話したい。

00:28あたりから始まるこのシーン

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このシーンを見て思い出すのが、アメリカの彫刻家兼インスタレーションアーティスト、アリス・エイコット(Alice Aycock)さんの「Sand-Fans」という作品だ。

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(画像引用:WIKIART VISUAL ART ENCYCLOPEDIA https://www.wikiart.org/en/alice-aycock/sand-fans-1971 )

普段目に見えない風を動きを可視化させたようなこの作品。作品は非常にシンプルでそのシンプルさが作品の構造や、自然が作り出す形をありありと浮かび上がらせる。普段目にできないものだが身近あるのものの存在に再度気づかせてくれるような作品だ。

MVではその大元の形を引用しながらも、その構造ではなく視覚的にどう見えるかを重視していることがわかる。背の高さの違う扇風機を使うことにより構図のバランスを取り、壁を青く、砂を白くすることで視覚的にインパクトがあるように変えている。また青色に白い砂は海と砂浜を思い起こさせる。さらに窓から入ってくる強い日差しに扇風機。暑い夏や海を連想させるセットなのに、そこにいる人は暗い色の長ズボンに長袖のタートルネック。それが彼の居心地の悪さを感じさせる。そうの構造が彼のトラウマとリンクする。

VMが直接アリス・エイコットさんの作品に影響を受けたという話をしているのは聞いたことないが、間違いなく何かしらの影響を受けただろうなと思わざるおえない。



最後にたわごと

今や現代アートや近代・現代にかけての絵画の世界は一般大衆に開かれた世界ではなくなってしまっている。特に日本ではそれが顕著だ。それについて学ぶ者としては、アートの世界の魅力を痛いほど知っている者としては、多くの人がそれに触れられていない、親しみを感じていない現状に悔しさを感じる。そんな中、現代アートや絵画の世界を理解し、多くの人、特に次世代の人々の目につくところへ引っ張ってきてくれるVMの姿に感謝と同時に喜びを感じる。

正直真剣に現代アートについて考える人は社会からしたら突飛な変人なのかもしれないと気づいたこの頃。しかし現代アートをに従事している人の多くは普通の人で、普通の人が一生懸命考えて、頑張って世の中に新しい価値観を生み出そうとしているだけなんだと思っている。その新しい価値観は、世の中に新しい視点を生み出し、時にそれは人々の救いになる。それがアートの持つ本来の力だ。そんなアートの世界が社会と離れていることは本末転倒もいいところ。そんな現状に少し心折れかけていた私が、絵画やアートからインスピレーションを受け多くの人に影響を与えられる場で活躍しているVMに出会って少し勇気付けられた。






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