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家がきたねえ

冷蔵庫の中が汚かったので、久しぶりに掃除した。

勢いよく扉を閉めた拍子にピッチャーから零れたお茶が乾いて茶色くなったやつとか、パックから零れた肉のドリップが結晶化してカピカピになったやつとか、とにかく汚かった。

中身を全部出して引き出しと棚を取り外して風呂場で洗った。

パーツが取り除かれて空っぽになって空気を冷やしているだけの冷蔵庫はいつ見ても思ったより狭い。

茶ばんだ野菜くずと、カッピカピのめかぶのパックが見えない部分に落ちていたので捨てた。

汚したらすぐにきれいにするものと、ある程度汚れが溜まってからきれいにしてもかまわないものの二つがこの世にはある。

前者は皿とか、服とか、浴槽とかだ。これは日々のルーティンに組み込みやすいので長期にわたって清潔を保持しやすい。

冷蔵庫とかトイレとか、モニターの裏とかコンロとか家の端っことかは、結局どのくらいの頻度でやれば清潔を保てるのかわからない。

できることなら二日に一回とかやったらいいのかもしれないけど、範囲が広いし割と大掛かりな動作をしないといけないので難しい。

なるべく毎週土曜日にまとめてやるようにしているけど、一週間ではそこまで汚くなってないようにも思えて、つい油断して一か月二ヵ月と放置してしまう。

そうしているうちに気が付けば触るのも嫌になるほど汚れが溜まっている。

そんなことになってからまた重い腰を上げてピカピカに掃除して、でももう数時間後にはまた汚れ始めていて、ものが清潔でいられる時間はあまりに短い。

清潔にしたいから掃除しているのに、ものは汚れるために存在していてやるせない。

加えて、かなり汚れが溜まってから掃除すると一部もうどうしようもないほど黒ずんでしまっている箇所とかが出てきて、それを見ると「もう完璧じゃないからいくら汚れてても変わらないじゃないか」と闇落ちしてしまったりする。

清潔な場所が好きなのに、自分の生命活動のせいでどんどん周囲が汚染されていく。


それに近しい話として、最近一日中頭を洗って乾かしている気がする。

朝と夜にそれぞれシャンプーしてドライヤーしてを繰り返していて、それらの最中は両手が使えないし視界も悪いし耳元で轟音が鳴っているのでとにかく暇で退屈なので、一日当たり合計20分にも満たないその時間がかなり苦痛である。

しかし洗わないとすぐベタベタするので洗わざるを得ない。

朝も夜も、「今こんなに綺麗にしたのにまた10時間後には同じ動作を繰り返すのか」と思って憂鬱になる。

いっそロングにして前髪も無くしてしまえば少なくとも朝は洗わなくて済むんだろうか。

でももうすぐ夏が来てしまうしなあ。


ルーティンをこなしているとどんどん時間が過ぎて行って、なのに死ぬまでは何十年も時間が余っていて、さりとて新しいことを始めるにはもう遅い。

遅いなんてことはきっとないんだけど、絶望せずにひたすら進める時間は過ぎていて、ずっと焦燥感と戦いながらこの先もルーティンをこなしていかなければならない。

無印のさくらまんじゅうおいしかった

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