レンタルフレンドエッセイ 誘う女

「ジビエが美味しいお店あるんですよ。それで、その…」

依頼者の女性の会話のテンポが崩れる。白とベージュの淡い服の印象に違わない声がさらに淡くなる。手で自分の顔をパタパタと仰ぐ癖が出ている。
僕は少し待ち、相手を見る。

「うみさんが、嫌でなければですけど、あ、その店この近くで、」

僕は彼女の意図を理解したが、そのまま黙って待つ。

「次回、そのお店、一緒にいかがでしょうか…」

誰かを誘うのは勇気がいることだったなと思いながら、僕は今まで数多の友人が僕にそうしたように答える。

「おーいいですね!たのしみ!」

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