レンタルフレンドエッセイ 無音の時間
「へぇ、レンタル業と演劇の、どこが似てるんですか?」
郊外の公園を散歩しながら、横を歩く依頼者に質問を投げる。
依頼者は演劇を学ぶ芸大生で、よれたフードのパーカーにデニムのスキニーを履いている。質問を受けると思案の顔も「えーと」などの繋ぎもなく、たっぷり5秒、無音を作る。
最初は怖かったその時間を、今は彼女に委ねることができる。
彼女が自身を探索する時間、僕は周囲を見渡す。 公園内の池には花菖蒲の葉が揺れている。 花が咲いたら綺麗だろうなと思った。
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