見出し画像

【介護】そのままでいい

年齢は記号だという人が多い。わたしだってそんな風に思って生きてきた。

ところが、この年齢って、、、と思うことがある。

母は3月で90歳になった。

周りの人から80代までは全く問題なかったのに、、、という言葉をよく耳にしていた。

それは本当かもしれない。

ちょっとしたことで転んでしまう。

家の中で転んだだけなのに、毎度1カ月ほど後遺症が残る。

生まれてから我が家にくるまで、母は田舎の広い家で暮らしていた。父が亡くなり車で動けなくなると、広い庭で花を植えて一人過ごすようになった。庭には一年中花が咲き、わざわざ人が花を見にきたり、木の実を分けあったり。

動けなくなっても、母には友が多い。

毎年、ヨモギの季節には緑色のヨモギ餅を送ってくれて、手作りの品を決まった月に送ってくれていた。そうした品は、母のお友達が母を車で迎えに来て、いつもの場所に集まって、ワイワイガヤガヤおしゃべりしながら作っていた品だった。

その品は今も我が家に送られてくる。

だから母の体はそんな風に動く。

都会育ちの子どもや夫には乱暴に思える動きが多いはず。娘のわたしでさえ、何たる粗野な動き!と呆れるぐらい。

都会の小さな家で暮らしてきたわたしたちとは、母の体の使い方はぜんぜん違う。

だから転ぶ、

と思いがちなのだ。

もっと、丁寧に周りを見て動いたらいいのに、、、、

と思うのだけれど、

そうはいかない。

あゝ、なんてお転婆な、、、と思う。


そんな思いを訪問医の先生に話してみた。

先生は、先日総合病院で撮ってもらったレントゲン写真のCDを手に、わたしの話をじっと聞かれている。

それから、

「そのままでいいんですよ。その動きがお母さんの本来の動きですから。黙って見守ってあげてください。そのままがいいんです」

とおっしゃった。


先生を見送ってから、なんだかいつまでも目頭が熱かった。

いい先生と巡り合えたものだと思う。

先生は病気を診ているわけじゃない。

母をみてくださっている。

そのままでいいだなんて、

こんな出会いに感謝。


※最後までお読みいただきありがとうございました。



※5月26日㈰大阪で講演会を開きます。よかったら遊びに来てくださいね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?